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'''EI法'''(EIほう)とは、[[質量分析法]]において、[[フラグメントイオン]]を発生させる方法の一つ。{{Lang|en|EI}}とは、{{Lang|en|Electron Impact}}(電子衝撃)または{{Lang|en|Electron Ionization}}(電子イオン化)の略とされ、[[フィラメント (電気)|フィラメント]]から発生する[[熱電子]]を試料に照射してフラグメントイオンを発生させる方法である。他の[[イオン化法]]と比べて[[原理]]や[[装置]]が単純であることから、広い範囲に適用されている。 また、フラグメントイオンのライブラリ([[スペクトルデータベース]])が充実していることも特徴の一つと言える。このライブラリは、特に[[ガスクロマトグラフィー]]({{Lang|en|GC}})と組み合わせた{{Lang|en|[[:en:GC/MS|GC/MS]]}}などの手法で[[定性分析]]を行う際に有用である。具体的には、[[クロマトグラフィー]]によって分離された各成分ごとにフラグメントイオンを検出し、更に検出されたフラグメントイオンの[[スペクトル]]をライブラリから検索することで、各成分の同定を簡便に行うことができるというものである。 ==動作原理== [[ファイル:Schematic diagram of an EI ion source.jpg|thumb|right|300 px|電子イオン化法のイオン源を表わした図]] 以下の[[相 (物質)|気相]]反応は電子イオン化の過程を表わしている<ref>R. Davis, M. Frearson, (1987). ''Mass Spectrometry – Analytical Chemistry by Open Learning'', John Wiley & Sons, London.</ref>。 :<math>M + e^- \to M^{+\bullet} + 2e^-,</math> Mはイオン化された検体分子、e<sup>−</sup>は電子、M<sup>+•</sup>は得られた[[イオン (化学)|イオン]]である。 EIの[[イオン源]]では、電流が流れるフィラメントを加熱することによって[[エジソン効果|熱イオン放射]]を通じて電子が生成する。この電子はフィラメントとイオン源ブロックの入口との間の領域において70[[電子ボルト|eV]]で加速される。加速された電子はトラップ電極へ引き寄せられることによって集中されビームとなる。中性分子を含む解析試料は、この電子ビームと直角方向にイオン源に導入される。「硬い」イオン化ソースと呼ばれる高エネルギー電子の近接通過は、中性分子の周囲の電場に大きな変動を引き起こし、イオン化およびフラグメント化が導かれる<ref>K. Robinson ''et al.'' Undergraduate Instrumental Analysis, 6th ed. Marcel Drekker, New York, 2005.</ref>。生成した[[ラジカル (化学)|ラジカルカチオン]]はリペラー電極によって質量分析計へと押し出される。このようなイオン化過程では、しばしば予測可能な切断反応が起こりフラグメント(断片)イオンが生じる。このフラグメント化から分析試料の構造情報が解析できる。 フラグメントイオンのイオン化効率および生成は検体の化学的性質と電子のエネルギーに強く依存している。低エネルギー(約20 eV)では、電子と検体分子の間の相互作用はイオン化を生じるのに十分なエネルギーを伝達しない。約70eVでは、電子の[[ド・ブロイ波|ド・ブロイ波長]]が有機分子の典型的な結合長(約0.14[[ナノメートル|nm]])と一致し、有機検体分子へのエネルギー伝達が最大化され、最も強いイオン化およびフラグメント化が起こり得る。これらの条件下では、試料中の大体1000検体分子の内の1分子がイオン化される。より高エネルギーでは、電子のド・ブロイ波長が典型的な検体の結合長よりも小さくなる。この時、分子は電子にとって「透明」となり、イオン化効率は低下する。 ==脚注== {{Reflist}} ==参考文献== {{refbegin}} *{{cite book | author = Edmond de Hoffman | coauthors = Vincent Stroobant | title = Mass Spectrometry: Principles and Applications | edition = 2nd ed. | publisher = John Wiley and Sons | year = 2001 | isbn = 0-471-48566-7}} *{{cite book |author=Stephen J. Schrader |title=Interpretation of Electron Ionization Data: The Odd Book |publisher=Not Avail |location= |year=2001 |pages= |isbn=0-9660813-6-6 |oclc= |doi= |accessdate=}} *{{cite book |author=Peterkops, Raimonds |title=Theory of ionization of atoms by electron impact |publisher=Colorado Associated University Press |location=Boulder, Colo |year=1977 |pages= |isbn=0-87081-105-3 |oclc= |doi= |accessdate=}} *{{cite book |author= |title=Electron impact ionization |publisher=Springer-Verlag |location=Berlin |year=1985 |pages= |isbn=0-387-81778-6 |oclc= |doi= |accessdate=}} {{refend}} == 関連項目 == * [[質量分析法]] ==外部リンク== * [http://webbook.nist.gov/cgi/cbook.cgi?ID=C108883&Units=SI&Mask=200#Mass-Spec NIST Chemistry WebBook] {{質量分析法}} {{Chem-stub}} {{デフォルトソート:いいあいほう}} [[Category:イオン源]] [[Category:質量分析]] [[Category:科学的技法]]
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