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{{天体 基本 | 色 = 白色矮星 | 和名 = LB 11146 | 仮符号・別名 = PG 0945+246{{R|simbad}} | 星座 = [[しし座]]{{R|kaler06}} | 視等級 = 14.32(合成){{R|gsl86}} }} {{天体 位置 | 色 = 白色矮星 | 元期 = [[J2000.0]] | 赤経 = {{RA|09|48|46.6403501651}}{{R|simbad}} | 赤緯 = {{DEC|+24|21|25.879142400}}{{R|simbad}} | 視線速度 = 62.7 km/s{{R|mmm00}} | 固有運動 = 赤経: -70.218 [[秒 (角度)|ミリ秒]]/[[年]]{{R|simbad}}<br />赤緯: -108.182 ミリ秒/年{{R|simbad}} | parallax = 27.3754 | p_error = 0.0679 | parallax_footnote = {{R|simbad}} | 絶対等級 = 12.16 / 11.94{{R|liebert93}} | 星図位置画像 = Leo constellation map.svg | 位置画像left = 81 | 位置画像top = 27 | 画像説明 = LB 11146の位置(丸印) }} {{天体 物理 | 色 = 白色矮星 | 質量 = a: 0.91 ± 0.07 [[太陽質量|''M''<sub>☉</sub>]]{{R|liebert93}}<br />b: 0.90 {{+-|0.10|0.14}} [[太陽質量|''M''<sub>☉</sub>]]{{R|liebert93}} | 表面重力 = a: 2.6 {{e|7}} G{{R|liebert93}}{{R|注1|group="注"}}<br />b: 3.2 {{e|7}} G{{R|liebert93}}{{R|注2|group="注"}} | スペクトル分類 = DA + DAXP{{R|liebert93|gls94}} | 光度 = 0.004 [[太陽光度|''L''<sub>☉</sub>]]{{R|kaler06}} | 表面温度 = a: 14,500 ± 1,000 [[ケルビン|K]]{{R|liebert93}}<br />b: 16,000 ± 2,000 K{{R|liebert93}} | 色指数_UB = -0.728{{R|ms14}} }} {{天体 軌道 | 色 = 白色矮星 | 平均距離 = 15 ミリ秒{{R|nelan07}} | 公転周期 = ∼ 130 日{{R|nelan07}} | 軌道傾斜角 = < 3°{{R|gls94}} }} {{天体 別名称 | 色 = 白色矮星 | 別名称 = [[ガイド星星表|GSC]] 01960-00759, PM J09487+2421, WD 0945+245{{R|simbad}} }} {{天体 終了|白色矮星}} '''LB 11146'''あるいは'''PG 0945+246'''は、[[しし座]]にある[[白色矮星]]同士の[[連星]]である。その中でもとても珍しい星系で、白色矮星のうち1つは、ありふれた[[水素]]の大気を持つ白色矮星だが、もう1つは既知の白色矮星の中で最強水準の[[磁場]]を持つ{{R|liebert93}}。また、2つの白色矮星の[[質量]]を合計すると、[[チャンドラセカール限界]]を超え、[[Ia型超新星]]の理論に一石を投じる存在でもある{{R|kaler06}}。 == 名称 == LB 11146という名称は、[[ミネソタ大学]]天文台の[[ウィレム・ヤコブ・ルイテン|ルイテン]]が1955年から1969年にかけて発表した、50本に及ぶ『微光青色星の捜索 (A Search for Faint Blue Stars)』の一連の報文に記載の[[天体]]一覧を総合した、ルイテン青色 ('''L'''uyten '''B'''lue) [[天体カタログ|カタログ]]の11146番目の天体であることを意味する{{R|vh14|simbad}}。 == 特徴 == === スペクトル === LB 11146が注目を集めたきっかけは、その[[スペクトル]]にある。スペクトルに水素の吸収線がみられる、[[スペクトル型]]DAの白色矮星約130個の中で、ただ一つ水素だけでは説明できない輪郭のスペクトルを示したのが、LB 11146であった{{R|bsl92}}。 LB 11146のスペクトルは、水素と同定できた吸収線の輪郭も、単独のDA型白色矮星では説明できないもので、連星ではないかと考えられた。観測されたスペクトルから、理論的に再現したDA型白色矮星のスペクトルを差し引くと、化学特性の不明な白色矮星のスペクトルが残った。残ったスペクトルの[[紫外線|紫外域]]のエネルギー分布を調べると、強い磁場の影響下にある水素の[[ライマン系列|ライマンα]]のものと解釈できる成分が存在し、白色矮星としての物理的性質が予想できるようになった。その結果、LB 11146は、表面[[温度]]や質量がよく似た二つの白色矮星からなる連星で、白色矮星の一方は通常のDA型星 (LB 11146a)、もう一方は強磁場白色矮星 (LB 11146b) と考えられるようになった{{R|liebert93}}。 ライマンα成分の他に、[[赤外線|赤外域]]でも[[バルマー系列|バルマー線]]由来の成分がみられることから、LB 11146bも水素を主成分とする大気を持つと考えられ、スペクトル型はDAXPとされているが、水素では説明できない吸収成分が存在し、[[ヘリウム]]によるものではないかと考えられている{{R|gls94}}。 === 磁場 === LB 11146bの磁場の強度は、およそ670[[メガ]][[ガウス (単位)|ガウス]]と見積もられており、これは既知の白色矮星の中で最も強いものの一つである。一方で、LB 11146aの方は、検出できる程の強さの磁場は持っておらず、LB 11146bと比較すると、少なくとも数千倍は弱い{{R|gls94|liebert93}}。LB 11146以前には、接触連星や[[質量移転|質量移動]]がある連星以外で、強磁場白色矮星がみつかった例はほとんどなかった{{R|liebert93}}。このような奇妙な対の連星が、どのようにしてできるのかについて、個々の恒星の進化と連星の進化、いずれに原因があるのかは不明である{{R|sls98|kaler06}}。 === 質量・軌道 === [[ファイル:Artist’s impression of two white dwarf stars merging and creating a Type Ia supernova.webm|thumb|2つの[[白色矮星]]の合体は、[[Ia型超新星]]を発生させるかもしれない(想定は{{仮リンク|Hen 2-428|en|Hen 2-428}}){{R|eso1505}}。]] LB 11146の二つの白色矮星は、どちらも質量が、[[太陽質量|太陽]]の9割程度と推定される{{R|liebert93}}。つまり、系の合計質量が、チャンドラセカール限界(太陽質量の約1.4倍)を上回っており、もし二つの白色矮星が合体することがあれば、Ia型超新星になる可能性がある、ということである{{R|sls98}}。 Ia型超新星の前駆天体は、白色矮星を含む連星と考えられており、広く支持されている理論では、白色矮星と低質量の[[主系列星]]の連星だが、白色矮星同士の連星も候補としては挙げられている。チャンドラセカール限界を突破しうる白色矮星同士の連星は、ずっとみつかっていなかったが、LB 11146の「発見」によって、その実在が初めて確認された{{R|kaler06}}。 ただし、LB 11146の二つの白色矮星が将来合体するかどうかは、LB 11146の連星間距離に問題がある{{R|sls98}}。[[ハッブル宇宙望遠鏡]]の{{仮リンク|ファイン・ガイダンス・センサ|en|Fine Guidance Sensor (HST)}}による観測で、連星の分解に成功し、時間をおいて複数回観測した結果、連星の軌道を求めることができた。LB 11146の連星間距離はおよそ0.5[[天文単位|AU]]で、[[公転周期]]は130[[日]]程度と推定される。この軌道は、将来LB 11146の二つの白色矮星が合体して超新星になると考えるには、離れ過ぎている{{R|nelan07}}。しかしながら、LB 11146の存在は、チャンドラセカール限界を超える質量を持つ白色矮星同士の連星の証明であり、白色矮星同士の合体でIa型超新星となる筋書に可能性を示すものであって、実際他に、Ia型超新星の前駆天体候補とされる白色矮星同士の連星もみつかっている{{R|kaler06|eso1505}}。 LB 11146の連星間距離は、合体して超新星となるには離れているが、一方で、質量からして白色矮星へ進化する過程で経てきたであろう[[漸近巨星分枝|漸近巨星枝星]]段階では、双方の恒星[[半径]]が連星間距離を上回り、[[共通外層]]を形成していたことが予想されるので、共通外層の進化理論を検証する上では、格好の実例ともいえる{{R|nelan07}}。 == 脚注 == === 注釈 === {{Reflist |group="注" |refs= <ref name="注1">出典での表記は、<math>\log g [\mbox{cgs}] = 8.4</math></ref> <ref name="注2">出典での表記は、<math>\log g [\mbox{cgs}] = 8.5</math></ref> }} === 出典 === {{Reflist |refs= <ref name="simbad">{{Cite web |url=https://simbad.u-strasbg.fr/simbad/sim-id?Ident=LB+11146 |title=PG 0945+246 -- White Dwarf |work=[[SIMBAD]] |publisher=[[ストラスブール天文データセンター|CDS]] |accessdate=2020-07-16 }}</ref> <ref name="kaler06">{{Citation |last=Kaler |first=James B. |date=2006-05-07 |title=The Hundred Greatest Stars |pages=116-117 |publisher=[[シュプリンガー・サイエンス・アンド・ビジネス・メディア|Springer Science & Business Media]] |isbn=9780387216256 }}</ref> <ref name="gsl86">{{Citation |last1=Green |first1=Richard F. |last2=Schmidt |first2=Maarten |author2-link=マーテン・シュミット |last3=Liebert |first3=James |date=1986-06 |title=The Palomar-Green Catalog of Ultraviolet-Excess Stellar Objects |journal=[[アストロフィジカルジャーナル|Astrophysical Journal]] Supplement Series |volume=61 |pages=305-352 |doi=10.1086/191115 |bibcode=1986ApJS...61..305G }}</ref> <ref name="mmm00">{{Citation |last1=Maxted |first1=P. F. L. |last2=Marsh |first2=T. R. |last3=Moran |first3=C. K. J. |date=2000-11 |title=Radial velocity measurements of white dwarfs |journal=[[王立天文学会月報|Monthly Notices of the Royal Astronomical Society]] |volume=319 |issue=1 |pages=305-317 |doi=10.1046/j.1365-8711.2000.03840.x |bibcode=2000MNRAS.319..305M }}</ref> <ref name="liebert93">{{Citation |author=Liebert, James; et al. |date=1993-11 |title=Discovery of a Magnetic/Nonmagnetic Double-degenerate Binary System |journal=Astrophysical Journal |volume=418 |pages=426-434 |doi=10.1086/173403 |bibcode=1993ApJ...418..426L }}</ref> <ref name="gls94">{{Citation |last1=Glenn |first1=Jason |last2=Liebert |first2=James |last3=Schmidt |first3=Gary D. |date=1994-07 |title=Follow-Up Observations of the Remarkable Double-Degenerate Binary LB 11146 |journal=Publications of the Astronomical Society of the Pacific |volume=106 |pages=722-725 |doi=10.1086/133435 |bibcode=1994PASP..106..722G }}</ref> <ref name="ms14">{{Citation |last1=McCook |first1=G. P. |last2=Sion |first2=E. M. |date=2016-10 |title=Spectroscopically identified white dwarfs |work=VizieR On-line Data Catalog: B/wd |bibcode=2016yCat....102035M }}</ref> <ref name="nelan07">{{Citation |last=Nelan |first=Edmund P. |date=2007-11 |title=Resolving LB 11146 with Hubble Space Telescope's Fine Guidance Sensor |journal=[[アストロノミカルジャーナル|Astronomical Journal]] |volume=134 |issue=5 |pages=1934-1937 |doi=10.1086/522628 |bibcode=2007AJ....134.1934N }}</ref> <ref name="vh14">{{Cite book |last=Van Horn |first=Hugh M. |date=2014 |title=Unlocking the Secrets of White Dwarf Stars |page=69 |publisher=Springer |isbn=9783319093697 |url=https://books.google.co.jp/books?id=WjVpBQAAQBAJ }}</ref> <ref name="bsl92">{{Citation |last1=Bergeron |first1=P. |last2=Saffer |first2=Rex A. |last3=Liebert |first3=James |date=1992-07 |title=A Spectroscopic Determination of the Mass Distribution of DA White Dwarfs |journal=Astrophysical Journal |volume=394 |pages=228-247 |doi=10.1086/171575 |bibcode=1992ApJ...394..228B }}</ref> <ref name="sls98">{{Citation |last1=Schmidt |first1=Gary D. |last2=Liebert |first2=James |last3=Smith |first3=Paul S. |date=1998-07 |title=The Close Magnetic/Nonmagnetic Double-degenerate Binary LB 11146 |journal=Astronomical Journal |volume=116 |issue=1 |pages=451-454 |doi=10.1086/300425 |bibcode=1998AJ....116..451S }}</ref> <ref name="eso1505">{{Cite web |url=https://www.eso.org/public/news/eso1505/ |title=Stellar Partnership Doomed to End in Catastrophe |date=2015-02-09 |publisher=[[ヨーロッパ南天天文台|ESO]] |accessdate=2020-07-18 }}</ref> }} == 関連項目 == * [[かに座HM星]] * [[SDSS J065133.338+284423.37]] {{Sky|09|48|46.6403501651|+|24|21|25.879142400|119}} [[Category:しし座]] [[Category:白色矮星]] [[Category:連星]] [[Category:天文学に関する記事]]
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