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{{観点|date=2020年2月}} [[ファイル:LIMEX limestone plastic, 2022 Japan.jpg|サムネイル|LIMEX]] '''LIMEX'''(ライメックス)は[[TBM (企業)|TBM社]]の登録商標および同社の製品群の名称である。 == 概要 == === 由来 === もともとTBM社は、台湾の「Run Men Environment Friendly Paper Product社(龍盟社)」が製造していたものを{{sfn|特開平11-277623|1999}}、Keeplusという商品名で販売していた{{sfn|ストーンペーパーKeeplus(キープラス)の特性と可能性|2011}}。LIMEXは、KeeplusをベースにTBM社で改良して製造販売を始めたものである。 === 原料 === [[ファイル:LIMEX limestone plastic, 2022 Japan 2.jpg|サムネイル|詳細]] TBM社の出願特許によるとLIMEXの原料は「無機物質粉末を60から80%程度、残りを[[熱可塑性樹脂]]で補い、数パーセントが補助剤」とされている{{sfn|特開2013-010931|2013}}。「無機物質粉末」は[[炭酸カルシウム]](石灰石)であり、また「熱可塑性樹脂」は、[[ポリエチレン]]、[[ポリプロピレン]]、[[ポリスチレン]]および[[ポリエチレンテレフタレート]]の中から一種類以上の樹脂を指している{{sfn|特開2013-010931|2013}}。 ただし、コート紙や光沢紙とも呼ばれる[[塗工紙]]には、顔料として[[炭酸カルシウム]]が1960年代より使われている{{sfn|This Paper Is Made From Stone, But It Isn't Exactly Eco-Friendly}}{{sfn|田中.西口(2000)}}。日本では特に、軽質炭酸カルシウム(PCC)が特に使用されている{{sfn|田中.西口(2000)}}。軽質炭酸カルシウムはコート紙などでも白色度を高めるために使用されており、日本では100%自給可能で比較的安価である{{sfn|田中.西口(2000)}}。 === 製造 === TBM社の特許によると以下の手順で製造される{{sfn|特開2013-010931|2013}}。 # 原料である炭酸カルシウムと熱可塑性樹脂・補助剤を、二軸混練機を使用して混合ペレットを生成する。 # 混合ペレットをTダイ方式の押出機で中間体を成形する。 # 中間体を圧延機により引き伸ばし、薄膜シート化する。 == TBM社の主張 == TBM社はLIMEXについて以下の主張を行っている。 === 代替紙としての利点 === * 従来のストーンペーパーより軽量、安価{{sfn|LIMEXの紙代替}}。 * 高耐水性 - 浴室などの水回りや屋外で利用可能{{sfn|LIMEXの紙代替}}、水中での筆記も可能{{sfn|LIMEXの紙代替}}。 === 代替プラスチックとしての利点 === * [[リサイクル法]]で義務付けられている「再商品化委託料金(リサイクル委託金)」の納付から逃れることができる{{sfn|LIMEXのプラスチック代替}}。 * 石灰石は石油由来のプラスチックより比較的安価のため、コスト低減を図ることができる{{sfn|LIMEXのプラスチック代替}}。 * LIMEXはエコを謳っており、導入企業のイメージ向上につながる{{sfn|LIMEXのプラスチック代替}}。 === 製造時の優位性 === 石灰石を主原料とすることで森林保護、製造時の水使用の削減ができる{{sfn|LIMEXの紙代替}}。 === アップサイクル === LIMEXの廃棄時には、TBM社で再生ペレット化し、「LIMEXの製造時に一部投入」「プラスチックの代替成形物として再利用(アップサイクル)」「燃料として使用」できるとしている{{sfn|LIMEXのリサイクル}}。TBM社は「'''LIMEXを既存の紙(古紙回収)やプラスチックの回収ルートに混ぜないでください'''」と記載している{{sfn|LIMEXのリサイクル}}。また、「石油由来樹脂を100%バイオ由来の素材に置きかえた」と主張する「Bio LIMEX」も発表している{{sfn|LIMEXのプラスチック代替}}。 === ライフサイクルアセスメント評価 === TBM社によると、ライフサイクルアセスメント評価におけるLIMEXの原料調達から製造までの二酸化炭素排出量は、LIMEXシート1トン当たり1,666kg、LIMEXペレット1トン当たり847kg{{sfn|TBMと環境側面}}。 またライフサイクルアセスメント評価におけるLIMEXの水消費量は20m{{sup|3}}{{sfn|TBMと環境側面}}。 == 問題点・批判 == TBM社はLIMEXを環境負荷の低い、[[持続可能な開発目標|SDGs]]に適応する製品と主張している{{sfn|LIMEXの紙代替}}。しかしLIMEXのような石灰石と熱可塑性樹脂からなるシート類は、紙やプラスチックと比較して環境負荷が低いとは言えないという指摘がなされている{{sfn|Stone Paper, Not as Recyclable as You Might Think}}{{sfn|This Paper Is Made From Stone, But It Isn't Exactly Eco-Friendly}}{{sfn|Paper or plastic?|2016}}{{sfn|緊急連載「石灰石ペーパー類」は本当にエコか(上)|2019}}{{sfn|Life cycle assessment of stone paper|2016}}。そしてLIMEXのように、上辺だけの都合の良い部分環境訴求している商売方法は[[グリーンウォッシング]]そのものという批判がある{{sfn|Paper or plastic?|2019}}。 === 石灰石採掘 === TBM社は「(LIMEXの主成分である)石灰石は世界中に豊富に存在し、パルプ紙のように森林資源を消費しない{{sfn|LIMEXの紙代替}}」「通常、普通紙1トン生産する場合、木を約20本、水を約85トン使うが、LIMEXは使用しない{{sfn|TBMプレスリリース20200210}}」と主張している。 しかし森林は植樹により資源再生することができるが、石灰石は一度採掘すると復元することができない。日本国内において、石灰石は[[露天掘り]]による採掘が一般的であり、これによって森林破壊される可能性は存在する。また石灰石の採掘には、樹木の伐採と比べて大型の重機が必要となる{{sfn|Paper or plastic?|2016}}。 また石灰石を粉砕して粉末にするためには、石灰石1トン当たり100から1000kWhのエネルギーが必要となる{{sfn|Paper or plastic?|2016}}。 === 紙パルプ製造との比較 === TBM社は「通常、普通紙1トン生産する場合、木を約20本、水を約85トン使うが、LIMEX は原料に木や水を使用しない」と主張している{{sfn|TBMプレスリリース20200210}}。しかし、日本製紙連合会の技術環境部長は「『木を約20本使う』という表現は、森林伐採を連想させるが、日本の紙パルプ産業が使用する木材原料の約90%は他に用途の少ない低質材や間伐材、製材残材、製紙用に植林された小径木」であるとし、水についても「紙を作る際に川から取水し、洗浄などに利用した後はきれいにして川に戻しているので、利用はするが消費しているわけではありません」と述べている{{sfn|緊急連載「石灰石ペーパー類」は本当にエコか(中)|2019}}。従ってTBM社の主張について「紙の生産が森林伐採や水の大量消費につながるかのようなこの文言は不適当と言わざるを得ません」と批判している{{sfn|緊急連載「石灰石ペーパー類」は本当にエコか(中)|2019}}。 またTBM社が示した外部評価によるサスティナブル評価を説明する資料で、LIMEXの1トン製造に水20m{{sup|3}}(20トン)が必要としている{{sfn|TBMと環境側面}}。一方、紙・板紙の生産での水使用量は、[[2003年]]で紙・板紙1トン当たり、87.4m{{sup|3}}(87.4トン)である{{sfn|紙とその製造技術|2007|p=137}}。従って、紙・板紙と比較してLIMEXの水使用量は23%程度となる。しかし、TBM社は発表資料では「通常、普通紙1トン生産する場合、木を約20本、水を約85トン使うが、LIMEXは使用しない{{sfn|TBMプレスリリース20200210}}」と、サスティナブル評価と異なる説明している{{sfn|TBMプレスリリース20200210}}。 === 古紙リサイクルへの影響 === LIMEXの主成分は炭酸カルシウムと熱可塑性樹脂のため、古紙の回収やプラスチックの回収サイクルにのせることはできない{{sfn|Stone Paper, Not as Recyclable as You Might Think}}。プラスチック混入により出来上がった再生紙の品質が下がり、炭酸カルシウムが製紙汚泥になる{{sfn|緊急連載「石灰石ペーパー類」は本当にエコか(中)|2019}}。またストーンペーパー類が多量に入るとパルパーで目詰まりを起こすことがあり、操業を停止して取り除く必要がある{{sfn|緊急連載「石灰石ペーパー類」は本当にエコか(中)|2019}}。 公益財団法人古紙再生促進センター(東京・中央区)が発行する『古紙ハンドブック2019』には、禁忌品A類に「ストーンペーパー(プラスチックと鉱物でつくられているので、正確には紙でない)」と記載されている{{sfn|緊急連載「石灰石ペーパー類」は本当にエコか(中)|2019}}。LIMEXなどストーンペーパーが古紙から再生紙を生成する工程に混ざると、スクリーンや配管を詰まらせる原因となりうる{{sfn|緊急連載「石灰石ペーパー類」は本当にエコか(中)|2019}}。このため「再生紙の製造工程にLIMEXが混入すると迷惑」(大阪府の再生紙工場)という声もある{{sfn|緊急連載「石灰石ペーパー類」は本当にエコか(中)|2019}}。TBM社も「'''LIMEXを既存の紙(古紙回収)やプラスチックの回収ルートに混ぜないでください'''」と記載している{{sfn|LIMEXのリサイクル}}。 === 光分解 === 炭酸カルシウムは、光分解することが知られている{{sfn|Characterisation and deterioration of stone papers|2019}}。Cancy Chuらは、石灰石と熱可塑性樹脂からなるシート材を[[可視光]]、[[紫外線]]、熱、[[湿度]]に長時間暴露したときの劣化を調査した{{sfn|Characterisation and deterioration of stone papers|2019}}。これによると、石灰石と熱可塑性樹脂からなるシート材を日光の当たる野外に放置すると約14ヶ月から18ヶ月後に、ひび割れが生じて卵の殻のように炭酸カルシウムが剥がれ落ちることが観察された{{sfn|Characterisation and deterioration of stone papers|2019}}。ついで、可視光、紫外線を昼夜パターン(12時間ごとに照射と消灯を繰り返す)で試験片を暴露したところ、共に4週間後に大きな劣化が観察された{{sfn|Characterisation and deterioration of stone papers|2019}}。 小林らは、無機質のフィラー(炭酸カルシウム)を[[ポリプロピレン]]に充填した複合材の紫外線による劣化について調査している{{sfn|炭酸カルシウム充てんポリプロピレンの耐候性|1985|pp=406-413}}。実験は、紫外線照射時間を0から600時間、炭酸カルシウムの充填率を0から50%まで変化させて行った{{sfn|炭酸カルシウム充てんポリプロピレンの耐候性|1985|pp=406-413}}。ポリプロピレンの試験片(炭酸カルシウム0%)も炭酸カルシウムを充填した試験片も共に紫外線による劣化が観察でき、炭酸カルシウムの充填率が高いほど劣化が増大した{{sfn|炭酸カルシウム充てんポリプロピレンの耐候性|1985|pp=406-413}}。 なお、TBM社はLIMEXの光分解特性について見解を示していない{{sfn|LIMEXのFAQ}}{{sfn|LIMEXのリサイクル}}{{sfn|TBMと環境側面}}。 === 熱劣化 === Cancy Chuらは、石灰石と熱可塑性樹脂からなるシート材を熱、[[湿度]]に長時間暴露したときの劣化を調査した{{sfn|Characterisation and deterioration of stone papers|2019}}。室温60度で4週間放置したところ、大きな変化は観察できなかったが、室温100度下においてはサンプルは黄色に変色、シートの反り、脆性が増加した{{sfn|Characterisation and deterioration of stone papers|2019}}。一方、湿度による劣化は観察できなかった{{sfn|Characterisation and deterioration of stone papers|2019}}。 小林らは、無機質のフィラー(炭酸カルシウム)をポリプロピレンに充填した複合材の熱劣化について調査している{{sfn|炭酸カルシウム充てんポリプロピレンの熱劣化|1984|pp=337-344}}。試験片を80度から120度、加熱時間を0時間から1200時間、炭酸カルシウムの比率を変化させて実験を行った{{sfn|炭酸カルシウム充てんポリプロピレンの熱劣化|1984|pp=337-344}}。これによると、熱劣化は表面にクラックが入って内部へ進行する形で進行する{{sfn|炭酸カルシウム充てんポリプロピレンの熱劣化|1984|pp=337-344}}。ポリプロピレンの試験片と比べ炭酸カルシウムを充填したものは熱劣化が大きく、さらに炭酸カルシウムの充填量が増加すると加熱による劣化は大きくなる傾向があった{{sfn|炭酸カルシウム充てんポリプロピレンの熱劣化|1984|pp=337-344}}。熱劣化の原因は内部のポリプロピレンと炭酸カルシウムの熱膨張と収縮作用の違いによるものと推定した{{sfn|炭酸カルシウム充てんポリプロピレンの熱劣化|1984|pp=337-344}}。 なお、TBM社はLIMEXの熱劣化特性について見解を示していない{{sfn|LIMEXのFAQ}}{{sfn|LIMEXのリサイクル}}{{sfn|TBMと環境側面}}。 === 長期保存 === 上述のようにLIMEXを含む石灰石と熱可塑性樹脂からなる物体は、長時間の紫外線照射により劣化・分解する{{sfn|Characterisation and deterioration of stone papers|2019}}。このためLIMEXを含む石灰石と熱可塑性樹脂を主成分とした紙類を使用した書類や書籍、またこれらをカンバスなどの画材として作成された絵画・アート作品を図書館や美術館に長期保存する場合は紫外線の遮断が不可欠となる{{sfn|Characterisation and deterioration of stone papers|2019}}。 なお、TBM社はLIMEXの長期保存について見解を示していない{{sfn|LIMEXのFAQ}}{{sfn|LIMEXのリサイクル}}{{sfn|TBMと環境側面}}。 === マイクロプラスチック化 === パルプ原料の紙は生分解性があるが、LIMEXの主成分である炭酸カルシウムと熱可塑性樹脂は生分解性ではない{{sfn|Stone Paper, Not as Recyclable as You Might Think}}。特に熱可塑性樹脂は[[海洋汚染]]で問題となっている[[マイクロプラスチック]]化する懸念がある{{sfn|マイクロプラスチック汚染の現状,国際動向および対策|2018}}。炭酸カルシウムは生分解性ではなく酸に弱いため、ストーンペーパー類はプラスチック部分のマイクロプラスチック化を促進する可能性がある{{sfn|マイクロプラスチック汚染の現状,国際動向および対策|2018}}。 またTBM社は植物由来樹脂を使用した「Bio LIMEX」を展開している。しかし、植物由来樹脂はマイクロプラスチック対策としては、効果がないどころか、海洋汚染を助長する{{sfn|マイクロプラスチック汚染の現状,国際動向および対策|2018}}。 === ライフサイクルアセスメントの評価 === ==== 製造時の二酸化炭素排出量 ==== TBM社によると、ライフサイクルアセスメント評価におけるLIMEXの原料調達から製造までの二酸化炭素排出量は、LIMEXシート1トン当たり1,666kg、LIMEXペレット1トン当たり847kg{{sfn|TBMと環境側面}}。 一方で、日本製紙連合会は、2011年に紙・板紙のライフサイクルアセスメントによる二酸化炭素の排出量を公表した{{sfn|紙・板紙のライフサイクルにおけるCO2排出量|2011}}。これによると、原材料調達+生産段階での合算値(すべて1トン当たり)で、上級印刷紙が1,470kg、上質コート紙が1,620kg{{sfn|紙・板紙のライフサイクルにおけるCO2排出量|2011}}。LIMEXシート1トン当たり1,666kg{{sfn|TBMと環境側面}}と比較して、紙パルプ由来の紙の製造の方が二酸化炭素排出量が少ない。 === 廃棄時の二酸化炭素排出量 === LIMEXは廃棄時に可燃ごみとして処分する。LIMEXの主成分である[[炭酸カルシウム]]を高温で加熱すると、加熱分解し、[[酸化カルシウム]](生石灰)と[[二酸化炭素]]を発生する{{sfn|温室効果ガス排出・吸収量算定方法の詳細情報:2A2.生石灰製造(環境省)}}。以下はその化学反応式である。 {{Indent|<chem>CaCO3 -> CaO + CO2</chem>}} [[環境省]]の温室効果ガス排出・吸収量算定方法の詳細情報によると、加熱分解時の炭酸カルシウム当たりの二酸化炭素排出係数は0.428{{sfn|温室効果ガス排出・吸収量算定方法の詳細情報:2A2.生石灰製造(環境省)}}。つまり炭酸カルシウム1トンを完全に加熱分解すると428kgの二酸化炭素が発生する{{sfn|温室効果ガス排出・吸収量算定方法の詳細情報:2A2.生石灰製造(環境省)}}。 同様に環境省の温室効果ガス排出・吸収量算定方法の詳細情報によると化石燃料由来プラスチックを焼却施設で焼却処理したときの二酸化炭素排出係数は2.754{{sfn|温室効果ガス排出・吸収量算定方法の詳細情報:5C1.単純焼却(一般廃棄物)(環境省)}}。従って、化石燃料由来プラスチック1トンを焼却施設で焼却処理したときの二酸化炭素排出量は2,754kgとなる。 仮に石灰石と化石燃料由来プラスチックの比率が50:50のLIMEXを1トンを焼却施設で焼却処理したとき、1,591kgの二酸化炭素を排出することになる。参考として環境省の温室効果ガス排出・吸収量算定方法の詳細情報によると紙1トンを焼却施設で焼却処理したときの二酸化炭素排出量は17kgである{{sfn|温室効果ガス排出・吸収量算定方法の詳細情報:5C1.単純焼却(一般廃棄物)(環境省)}}。 工学院大学の川嶋らにより、原料調達・輸送・製造・印刷・廃棄までの範囲で上級印刷紙と石灰石ペーパー類の環境比較が公表された{{sfn|ストーンペーパーの環境影響評価|2011}}。これによると石灰石ペーパー類を焼却処理した場合、原料由来の二酸化炭素の排出は上級印刷紙の焼却処理と比較すると多くの二酸化炭素を排出する{{sfn|ストーンペーパーの環境影響評価|2011}}。上級印刷紙については相当量がリサイクルされている一方で、LIMEXなど石灰石ペーパー類のリサイクルは確立していない{{sfn|LIMEXのリサイクル}}。このため、地球温暖化抑制の観点からは上級印刷紙の方がLIMEXを始めとする石灰石ペーパー類より優位性が見られる{{sfn|ストーンペーパーの環境影響評価|2011}}。一方、埋め立てによる石灰石ペーパー類の廃棄は、二酸化炭素の排出を抑制できる一方で、生分解できないプラスチックによる影響が生じる{{sfn|ストーンペーパーの環境影響評価|2011}}。 なお、TBM社はLIMEXの焼却廃棄時の二酸化炭素発生量について見解を示していない{{sfn|LIMEXのFAQ}}{{sfn|LIMEXのリサイクル}}{{sfn|TBMと環境側面}}。 === リサイクル費用負担回避の推奨 === LIMEXでトレイや包装紙などの容器包装を製造販売したとしても、主成分の50%以上が石灰石であるLIMEXは、プラスチック製容器包装や紙製容器包装の定義には当てはまらない{{sfn|緊急連載「石灰石ペーパー類」は本当にエコか(中)|2019}}。従って、容器包装リサイクル法で定められている「再商品化委託料金」を支払わなくて済む{{sfn|緊急連載「石灰石ペーパー類」は本当にエコか(中)|2019}}。つまり、合法的にリサイクル費用の供出義務を免れられる{{sfn|緊急連載「石灰石ペーパー類」は本当にエコか(中)|2019}}。また「再商品化委託料金(リサイクル委託金)」を支払う必要がないことは、TBM社もLIMEXの導入メリットとしてアピールしている{{sfn|LIMEXのプラスチック代替}}。 === TBM社の企業姿勢 === 石灰石を主成分としたプラスチックシート類の環境負荷の見積もりは、都合のよい部分だけで計算されていて、実情に合わないという指摘がなされている{{sfn|This Paper Is Made From Stone, But It Isn't Exactly Eco-Friendly}}{{sfn|Paper or plastic?|2016}}。このように実際のデータを示さず、環境保護のイメージを販売している企業姿勢は、[[グリーンウォッシング]]であるという指摘がある{{sfn|Paper or plastic?|2019}}。 例えば、TBM社が示した外部評価によるサスティナブル評価を説明する資料で、LIMEXの1トン製造に水20m{{sup|3}}(20トン)が必要としている{{sfn|TBMと環境側面}}。一方、紙・板紙の生産での水使用量は、[[2003年]]で紙・板紙1トン当たり、87.4m{{sup|3}}(87.4トン)である{{sfn|紙とその製造技術|2007|p=137}}。従って、紙・板紙と比較してLIMEXの水使用量は23%程度となる。しかし、TBM社は発表資料では「通常、普通紙1トン生産する場合、木を約20本、水を約85トン使うが、LIMEXは使用しない{{sfn|TBMプレスリリース20200210}}」と、サスティナブル評価と異なる説明している{{sfn|TBMプレスリリース20200210}}。 また石灰石が主成分であるにも関わらず、炭酸カルシウムを使用する上での課題である、光分解特性(特に紫外線暴露下によるもの){{sfn|Characterisation and deterioration of stone papers|2019}}、熱劣化特性{{sfn|Characterisation and deterioration of stone papers|2019}}、長期保存時の品質保証期間{{sfn|Characterisation and deterioration of stone papers|2019}}、焼却廃棄時の二酸化炭素発生量について見解およびデータを示していない{{sfn|LIMEXのFAQ}}{{sfn|LIMEXのリサイクル}}{{sfn|TBMと環境側面}}。 <!--Wikipediaにおいては、LIMEXおよびTBMへの不利な記述が継続的に削除する行為が続いている。--> == 脚注 == === 注釈 === {{Notelist2}} === 出典 === {{Reflist|30em}} == 参考文献 == === TBM社 === * {{Cite journal|和書|author=野谷昌平 |title=ストーンペーパーKeeplus(キープラス)の特性と可能性 |journal=機能紙研究会誌 |ISSN=0288-5867 |publisher=機能紙研究会 |year=2011 |volume=50 |pages=53-56 |naid=130001928812 |doi=10.11332/kinoushi.50.53 |url=https://doi.org/10.11332/kinoushi.50.53 |ref = {{Harvid|ストーンペーパーKeeplus(キープラス)の特性と可能性|2011}} }} * {{Cite web|和書|url = https://tb-m.com/limex/about/paper/ |title = LIMEXの紙代替|publisher = TBM|accessdate=2019-11-08 |archiveurl= https://web.archive.org/web/20191107143529/https://tb-m.com/limex/about/paper/ |archivedate=2019-11-07 |ref = {{Harvid|LIMEXの紙代替}} }} * {{Cite web|和書|url = https://tb-m.com/limex/about/plastic/ |title = LIMEXのプラスチック代替|publisher = TBM|accessdate=2019-11-08|archiveurl= https://web.archive.org/web/20191107143707/https://tb-m.com/limex/about/plastic/ |archivedate=2019-11-07 |ref = {{Harvid|LIMEXのプラスチック代替}} }} * {{Cite web|和書|url = https://tb-m.com/limex/about/future/ |title = LIMEXのリサイクル |accessdate=2019-11-08 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20191107143902/https://tb-m.com/limex/about/future/ |archivedate=2019-11-07 |ref = {{Harvid|LIMEXのリサイクル}} }} * {{Cite web|和書|url = https://tb-m.com/faq/ |title = LIMEXのFAQ |accessdate=2020-02-16 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20200216012205/https://tb-m.com/faq/ |archivedate=2020-02-16 |ref = {{Harvid|LIMEXのFAQ}} }} * {{Cite web|和書|url = https://tb-m.com/company/sustainability/env/ |title = TBMと環境側面 |accessdate=2020-03-01 | publisher = TBM |archiveurl=https://web.archive.org/web/20200216012205/https://tb-m.com/faq/ |archivedate=2020-03-01 |ref = {{Harvid|TBMと環境側面}} }} * {{Cite web|和書|url = https://tb-m.com/wp-content/uploads/2020/02/200210_tbm_press-release.pdf |format = pdf|title = 石灰石を主原料とする「LIMEXBag」が全国のアイン薬局とアインズ&トルペの買い物袋に採用|accessdate=2020-03-04 | publisher = TBM |ref = {{Harvid|TBMプレスリリース20200210}} }} === TBM社以外 === * {{Cite journal|和書|author=田中宏一, 西口浩之 |title=日本における製紙塗工用軽質炭酸カルシウムの現状と将来 |journal=日本海水学会誌 |ISSN=03694550 |publisher=日本海水学会 |year=2000 |month=apr |volume=54 |issue=2 |pages=85-90 |naid=10008275601 |doi=10.11457/swsj1965.54.85 |ref={{harvid|田中.西口(2000)}}}} * {{Cite journal|和書|author=川嶋琢幹 |author2=嵐紀夫 |author3=稲葉敦 |author4=本下晶晴 |title=ストーンペーパーの環境影響評価 |journal=日本LCA学会研究発表会講演要旨集 |publisher=日本LCA学会 |year=2011 |volume=第7回日本LCA学会研究発表会 |issue=セッションID: P2-57 |page=184 |naid=130004598370 |doi=10.11539/ilcaj.2011.0.184.0 |url=https://doi.org/10.11539/ilcaj.2011.0.184.0 |ref={{Harvid|ストーンペーパーの環境影響評価|2011}} }} * {{Cite journal|和書|author = 小林亜男|author2 = 浅野秀樹 |author3 = 石川鉄雄 |title = 炭酸カルシウム充てんポリプロピレンの熱劣化 |date = 1984|journal = 高分子論文集|volume = 41|issue = 6|pages = 337-344|ref = {{Harvid|炭酸カルシウム充てんポリプロピレンの熱劣化|1984}} }} * {{Cite journal|和書|author = 小林亜男|author2 = 浅野秀樹 |author3 = 石川鉄雄 |title = 炭酸カルシウム充てんポリプロピレンの耐候性 |date = 1985|journal = 高分子論文集|volume = 42|issue = 6|pages = 405-413|ref = {{Harvid|炭酸カルシウム充てんポリプロピレンの耐候性|1985}} }} * {{Cite journal|和書|author = 安達毅|author2 = 茂木源人 |author3 = 山冨二郎 |title = 石灰石鉱山における採掘プロセスの CO2 排出量に関するインベントリ分析 |date = 2001|journal = 資源と素材|volume = 117|issue = 6|pages = 520-526|ref = {{Harvid|石灰石鉱山における採掘プロセスの CO2 排出量に関するインベントリ分析|2001}} }} * {{Cite journal|和書|author = 岩崎誠 |title = 紙とその製造技術 |date = 2007|journal = 化学と教育|volume = 55|issue = 3|pages = 134-137|ref = {{Harvid|紙とその製造技術|2007}} }} * {{Cite journal|和書|author = 日本製紙連合会・LCA小委員会 |title = 紙・板紙のライフサイクルにおけるCO2排出量|date = 2011|publisher = 日本製紙連合会|ref = {{Harvid|紙・板紙のライフサイクルにおけるCO2排出量|2011}} }} * {{Cite journal|author = Dennis Hol |title = Stone Paper S-Eco (RP)Sustainability Analysis |date = 2013|ref = {{Harvid|Stone Paper S-Eco (RP)Sustainability Analysis|2013}} }} * {{Cite journal|author = Affeldt, Christopher|author2 = Austin Leung |author3 = Ke Yang |title = Life cycle assessment of stone paper, polypropylene film, and coated paper for use as product labels |date = 2016|ref = {{Harvid|Life 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