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{{記事名の制約|{{mvar|p}} 進付値}} {{DISPLAYTITLE:{{mvar|p}}進付値}} '''''p''-進付値'''(ぴーしんふち、{{lang|en|''p''-''adic valuation''}})とは、[[数学]]において、[[素数]] ''p'' に対して[[有理数]]体あるいは [[p進数|''p''-進数体]]に定義される[[付値]]の一種である。''p''-進付値は ''p''-進距離と呼ばれる距離を定める。 有理数 ''x'' に対して、負の指数を許した次のような[[素因数分解]] :<math>x = \mathrm{sgn}(x) \cdot p_1^{e_1} p_2^{e_2} \cdots p_n^{e_n}\quad(e_i\in\mathbb{Z})</math> (''p''<sub>''i''</sub> は''i''番目に小さい素数)を考えたときの ''e''<sub>''i''</sub> が ''x'' の ''p''<sub>''i''</sub>-進付値である。ただし、sgn は[[符号関数]]。 == 定義 == [[素数]] ''p'' をとる。0 でない任意の有理数 ''x'' に対し、次を満たすような[[整数]] ''n'', ''a'', ''b'' が[[一意的]]に存在する。 # ''a'' と ''b'' と ''p'' はどの二つも[[互いに素 (整数論)|互いに素]]、 # ''a'' > 0、 # <math> x = \frac{a}{b}\cdot p^n</math>。 すなわち、''n'' は ''x'' を割り切るような ''p''-冪のうちの最大の冪指数である。このとき、''n'' を ''x'' の '''''p''-進[[付値]]''' とよび、''n'' = ''v''<sub>''p''</sub>(''x'') などと表す。また、0 の付値は ∞ であると定める。''p''-進付値は ''x'' = lim<sub>''n''→∞</sub> ''x<sub>n</sub>'' (''x<sub>n</sub>'' ∈ '''Q''') に対し、 :<math> v_p(x) = \lim_{n \to \infty} v_p(x_n)</math> とおくことにより、有理数体 '''Q''' から [[p進数|''p''-進数体]] '''Q'''<sub>''p''</sub> に延長される。これは次のようにも言い換えられる。つまり、環 ''R'' を有理整数環 '''Z''' の素数 ''p'' における局所化 '''Z'''<sub>(''p'')</sub>(あるいは ''p''-進整数環 '''Z'''<sub>''p''</sub>)とすると、''R'' の極大イデアル '''m''' は ''p'' の生成する単項イデアル (''p'') = ''p'''''Z'''<sub>(''p'')</sub>(あるいは ''p'''''Z'''<sub>''p''</sub>)であり、他の任意のイデアルは極大イデアルの冪 '''m'''<sup>''n''</sup> = (''p''<sup>''n''</sup>) として得られることが確かめられるが、このことを用いて ''R'' の元 ''x'', ''y'' (''y'' ≠ 0) に対して :<math>v_p(x) := \inf\{n\in\mathbb{N}_{\ge 0}\mid x \in \mathbf{m}^n\},</math> :<math>v_p(x/y) := v_p(x) - v_p(y)</math> と定めた ''v''<sub>''p''</sub> は ''p''-進付値を与えるのである。 == 性質 == ''p''-進賦値 ''v''<sub>''p''</sub> は加法[[賦値]]である。すなわち、 : <math>\begin{align} v_p(m\cdot n) &= v_p(m) + v_p(n),\\ v_p(m+n) &\geq \min\{v_p(m), v_p(n)\} \end{align}</math> を満たす。 ''P'' = {''p'' | ''p'' は素数または ∞} とおくと、0 でない任意の有理数 ''x'' に対し、 :<math>\prod_{p \in P} |x|_p = 1</math> が成り立つ。ただし、|·|<sub>∞</sub> は通常の絶対値のこととする。これを、'''Q''' において'''[[積公式]]が成り立つ'''といい表す。 == 非アルキメデス距離 == ''p''-進付値 ''v''<sub>''p''</sub> が与えられたとき、 :<math>|x|_p = p^{-v_p(x)}</math> と定めて、これを ''x'' の '''''p''-進[[絶対値]]''' と呼ぶ。''p''-進絶対値は乗法賦値であり、任意の二つの有理数(あるいは ''p''-進数) ''x'', ''y'' に対し、二変数の関数 ''d<sub>p</sub>''(''x'', ''y'') を :<math>d_p(x, y) = | x - y |_p</math> と定義すると、''d<sub>p</sub>''(''x'', ''y'') は有理数体 '''Q'''(あるいは ''p''-進数体 '''Q'''<sub>''p''</sub>)の上に [[距離空間|距離位相]]を与える。これを '''''p''-進距離'''とよぶ。''p''-進距離は超距離([[アルキメデスの性質|非アルキメデス]]距離)である。 数列 {''p<sup>n</sup>''} は(通常の距離 ''d''<sub>∞</sub>(''x'', ''y'') = | ''x'' - ''y'' | に関しては無限大に発散するが)、''p''-進距離に関して 0 に収束する。つまり、''p''-進距離の入った空間では ''p'' の高い冪を含むほどに小さいと認識されるのである。また、 :<math>\sum_{n=0}^{\infty} p^n = \frac{1}{1-p}</math> が成立する。 == 一般化 == [[代数体]]には、その整数環の唯一の極大イデアル '''p''' により '''p'''-進付値が定義される。同様のことは任意の単項イデアル整域とその商体において定義できる。もっと一般に[[局所環]] (''R'', '''m''') の極大イデアル '''m''' とその冪から '''m'''-進付値が定義される。 == 関連項目 == * [[付値]] * [[p進数]] * [[絶対値]] * [[距離空間]] {{DEFAULTSORT:ひいしんふち}} [[Category:代数的整数論]] [[Category:距離空間]] [[Category:数学に関する記事|Pひいしんふち]] [[Category:P進数]]
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