Rec. 601のソースを表示

一般的には短縮形で'''Rec. 601'''ないし'''BT.601'''（あるいは旧称の'''CCIR 601'''）として知られる'''[[ITU-R]]勧告BT.601'''は、元々は[[ITU-R|国際無線通信諮問委員会（CCIR）]]（後に[[ITU-R|国際電気通信連合 無線通信部門]]と改名された組織）によって[[インターレース]]方式の[[映像信号|アナログビデオ信号]]を、[[デジタルビデオ|ディジタルビデオ]]形式にエンコーディングするため1982年に発行された規格である<ref>{{cite web |url=https://www.itu.int/rec/R-REC-BT.601/ |title=BT.601: Studio encoding parameters of digital television for standard 4:3 and wide screen 16:9 aspect ratios |publisher=ITU|accessdate=2021-05-01}}</ref>。この勧告にはどちらも1ラインあたり有効領域で輝度信号720サンプルおよび色差信号360サンプルを有する、525ライン60[[Hz]]および625ライン50Hzの信号をエンコードする方法が含まれている。[[色]]エンコーディングシステムは、[[クロマ・サブサンプリング#4:2:2|YCbCr 4:2:2]]として知られている。

Rec. 601のビデオラスター形式は、ISO/IEC [[MPEG]]や、ITU-T [[H.26x]]圧縮形式などのその後の様々な規格で再利用されているが、民生用の圧縮形式ではRec. 601で規定された4:2:2サブサンプリングからさらに縮小された4:2:0[[クロマ・サブサンプリング]]が一般的に使用される。

この規格はこれまでに数度の改定を受けている。BT.607-7と呼ばれる第7版は2011年3月に承認され、2011年10月に正式発行された。

== 信号形式 ==
Rec. 601の信号は、ディジタルエンコードされたアナログの[[コンポジット映像信号]]と見做すことができるので、サンプリングには水平および垂直の同期とブランキングが含まれている。フレームレートに関係なく、輝度のサンプリング周波数は13.5 MHzである。サンプルは、[[YUV|YCrCb]]ドメインで8ビットないし10ビットの[[パルス符号変調|PCM]]コードを用いて均等に{{仮リンク|量子化 (信号処理)|label=量子化|en|Quantization (signal processing)}}される。

8ビットの各輝度サンプルにおいて、黒を表す公称値は16であり、白は235で表される。1〜15の8ビットのコード値はフットルームを提供し、フィルターのアンダーシュートなどの一時的な信号コンテンツに対応するために使用できる。同様に、236〜254のコード値はヘッドルームを提供し、[[リンギング|フィルターのオーバーシュート]]などの一時的な信号コンテンツに対応するために使用できる。コード値0および255は同期パルスをエンコードするために使用され、可視画像領域内では禁止されている。CbとCrのサンプルはオフセットバイナリーであり、コード値128が白、灰色ないし黒の領域をエンコードするときに使用される中性色をの色差値をエンコードする。

== 原色色度 ==
[[File:CIExy1931 Rec 709.svg|thumb|[[Rec. 709]][[色度]]図。三原色の色度はRec. 601と近いが、厳密には異なる。]]
626ライン（PALおよびSECAM）システムと525ライン（[[:en:NTSC#SMPTE C|NTSC SMPTE C]]の原色）システムでは、わずかに異なる原色が指定されている。この規格の初期のバージョン（2007年1月に承認されたBT.601-6より以前）では、原色の明示的な定義が記載されていなかった。
{| class="wikitable" 
|+ Rec. 601のRGB色空間パラメーター
|-
! rowspan="2" |[[色空間]]
! colspan="2" |[[白色点]] ([[D65光源|D<sub>65</sub>]])
! colspan="6" |[[原色]]
|-
! ''x''<sub>W</sub> !! ''y''<sub>W</sub>
! ''x''<sub>R</sub> !! ''y''<sub>R</sub>
! ''x''<sub>G</sub> !! ''y''<sub>G</sub>
! ''x''<sub>B</sub> !! ''y''<sub>B</sub>
|-
|align="center"| 625ライン
|rowspan=2| 0.3127 ||rowspan=2| 0.3290
| 0.640 || 0.330
| 0.290 || 0.600
| 0.150 || 0.060
|-
|align="center"| 525ライン
| 0.630 || 0.340
| 0.310 || 0.595
| 0.155 || 0.070
|}

== 伝達特性 ==
Rec. 601では0近傍では[[線型性|線形]]で、[[輝度]]の残りの範囲では[[ガンマ補正|ガンマ曲線]]に繋がる[[非線形]][[伝達関数 (撮像)|伝達関数]]が定義されている。

: <math>E = \begin{cases}
 4.500 L                & L < 0.018,\\
 1.099 L^{0.45} - 0.099 & L \ge 0.018.
\end{cases}
</math>

== 受賞 ==
CCIRは、Rec. 601標準の開発に対して、1982-83[[テクノロジー&エンジニアリング・エミー賞]]を受賞した<ref>[http://www.itu.int/ITU-R/index.asp?category=information&rlink=rec-601&lang=en Rec. ITU-R BT.601 25th Anniversary and still "in force"{{snd}} the bridge that joined the analogue and digital worlds (1982–2007)], ITU-R, 2007.</ref>。

== 関連項目 ==
* [[YUV|YCbCr]]
* [[Rec. 709]]、[[高精細度ビデオ]]に対応する規格
* [[Rec. 2020]]、[[UHDTV]]に関するITU-R勧告
* [[ITU-R BT.656]]、BT.601ビデオのパラレルおよびパラレル伝送フォーマットに関するITU-R勧告
* [[ピクセルアスペクト比]]

== 脚注 ==
{{reflist}}
{{色彩}}

[[Category:デジタルテレビ]]
[[Category:映像技術]]
[[Category:ITU-R勧告]]