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{{redirect|CN比」及び「C/N|炭素と窒素の比率|C/N比}} {{出典の明記|date=2013年3月}} '''SN比'''(エスエヌひ)は、'''通信理論'''ないし[[情報理論]]あるいは[[電子工学]]などで扱われる値で、[[信号 (電気工学)|信号]] ({{en|signal}}) と[[雑音]] ({{en|noise}}) の[[比]]である。 '''信号雑音比''' ({{en|signal-noise ratio}}) または '''信号対雑音比''' ({{en|signal-to-noise ratio}}) の略。'''SNR'''、'''S/N'''とも略す。S/N比と書くのは/が比を意味するため、比が二重になり間違いである<ref>{{Cite book|title=Denki denshi keisoku kogaku.|url=https://www.worldcat.org/oclc/1146562519|publisher=Koronasha|date=2020.3|isbn=978-4-339-01215-6|oclc=1146562519|others=Masasumi Yoshizawa, Norio Furuya, Keiko, Denki denshi kogaku Fukuda, Takumi Yoshimura, 昌純 吉沢, 典雄 降矢}}</ref>。 {{en|desired signal to undesired signal ratio}}、{{en|D/U ratio}} ともいう。 SN比が高ければ伝送における雑音の影響が小さく、SN比が小さければ影響が大きい。SN比が大きいことをSN比がよい、小さいことを悪いとも言う。 == 定義 == SN比は、信号の[[分散 (確率論)|分散]]を雑音の分散で割った値である<ref>{{Cite book|和書|title=統計解析|year=1966|publisher=丸善|editor=田口玄一}}</ref>。 SN比で考える信号と雑音の定義は、何に着目しているかによる。見方によっては、通常「雑音」とされている成分に着目する場合など、逆転することさえありうる。雑音は[[確率過程]]とも限らない。 また、考えるのは、真の信号''S'' と真の雑音''N'' の分散である。真の値が得られず測定値しかない場合は、不偏分散で代用する必要がある(データ数が多い場合はほとんど影響しないが)。実測されるのは ''S'' +''N'' であり、これと ''S'' を混同しない注意も必要である。 数式では :<math> S / N = \frac{ P_\mathrm S }{ P_\mathrm N } = \left ( \frac{ A_\mathrm S }{ A_\mathrm N } \right )^2, </math> :''P''{{sub|S}} = 信号電力、 :''P''{{sub|N}} = 雑音電力、 :''A''{{sub|S}} = 信号電圧(電流)の実効値、 :''A''{{sub|N}} = 雑音電圧(電流)の実効値 と表される。分散は[[電気工学]]では[[交流]]成分の[[電力]](パワー)となるので、''P'' で表している。[[平均値]]に相当する[[直流]]成分を除いた、交流成分のみを考慮する。''A'' は[[偏差]]の[[実効値]]([[二乗平均平方根]])で、電気工学では交流成分の[[電流]]または[[電圧]]になる。 分野や[[物理量]]に関わらず電力やパワーと呼び ''P'' で表すことが多いが、実際は電力とは限らず、たとえば映像では[[輝度]]であり、[[測定]]では[[長さ]]や[[質量]]などさまざまな物理量でありうる。 == 単位(デシベル) == {| class="wikitable floatright" style="text-align:center" |+よく使われる値の対比 !dB!!電力比!!電流比 |- |0||1||1 |- |3.010||2||1.414 |- |6.021||4||2 |- |10||10||3.162 |- |20||100||10 |- |40||10000||100 |- |60||1000000||1000 |- |90||10億||31623 |} 多くの信号は[[ダイナミックレンジ]]が非常に広いので、通常SN比は[[常用対数]](10を底にした[[対数]])で表現される。ただし、単位には[[デシベル]] (dB) を使うので、常用対数の10倍の数値になる。電流比率で考えれば20倍である。 :<math> [S / N]_\mathrm{dB} = 10 \log_{10} \frac { P_\mathrm S }{ P_\mathrm N } = 20 \log_{10} \frac { A_\mathrm S }{ A_\mathrm N } </math> == SN比と通信効率 == 伝送路の[[通信路容量]]は、ノイズが[[正規分布]]の場合、[[シャノン=ハートレーの定理]]より :<math> C \le B \log_2 \left( 1+\frac{S}{N} \right) </math> で表される。''B'' は[[帯域幅]]である。等号は通信方式が理想的な場合に成り立つ。 SN比が高いほど通信効率がよくなる。また <math>S \gg N</math> ならば :<math> C \le 0.332 [S / N]_\mathrm{dB} B </math> と表せ、通信効率はSN比をデシベルで表した値に比例する。 == その他の信号対雑音比 == SN比以外にも、信号と雑音の比率を表す方法がある。 === 搬送波対雑音比(CN比) === 「信号」を[[搬送波]]とした場合は、[[搬送波対雑音比]]({{en|Carrier to noise ratio}})あるいは C/N (シーエヌ、CN比、CNR とも)といい、[[デジタル信号]]伝送では主にこちらを使う。 === 搬送波対干渉波比(CI比) === 搬送波と干渉波の比率を{{仮リンク|搬送波対干渉波比|en|Carrier-to-interference ratio}}と呼ぶ。ラジオなどの無線通信において、他のチャネルをノイズ源(干渉波)とするときなどに使われる。 === ピーク信号対雑音比(PSNR) === 最大電力と雑音の比率を[[ピーク信号対雑音比]](PSNR: {{en|Peak signal-to-noise ratio}})と呼ぶ。 === Eb/N0 === 1ビット当たりの信号電力と雑音密度の比を{{仮リンク|Eb/N0|en|Eb/N0}} ({{en|energy per bit to noise power spectral density ratio}}) と呼ぶ。 === SINAD === SN比の計算式において、雑音電力の項に機器が生じる歪み電力を加えたものを[[SINAD]]と呼ぶ。受信機(特にFM)の出力雑音を表すために用いる。 == 脚注 == {{reflist}} == 参考文献 == * {{cite book |和書 |last1 = 田口 |first1 = 玄一 |authorlink1 = 田口玄一 |year = 1972 |title = 統計解析 |edition = 改訂新版 |url = http://ebsa.ism.ac.jp/ebooks/ebook/886 |publisher = [[丸善]] |id = {{全国書誌番号|69005496}} |ref = harv }} == 関連項目 == * [[ノイズ]] * [[量子化雑音]] * [[SNDR]] * [[音質]] * [[明瞭度]] {{DEFAULTSORT:えすえぬひ}} [[Category:無次元数]] [[Category:情報理論]] [[Category:データ転送]] [[Category:無線工学]] {{tech-stub}}
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