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{{Redirect|ESCA|名古屋駅の地下街|エスカ地下街}} {{参照方法|date=2015年6月14日 (日) 03:11 (UTC)}} [[File:Xps-spektrum.jpg|thumb|300px|[[四酸化三鉄]](磁鉄鉱)のX線光電子分光スペクトル(サーベイスキャンモード)。横軸は照射したX線を基準としたときの[[光電子]]のエネルギー、縦軸は観測された光電子の個数である。]] '''X線光電子分光'''(エックスせんこうでんしぶんこう)は、[[光電子分光]]の1種である。略称は'''XPS''' (X-ray Photoelectron Spectroscopy) または '''ESCA''' (Electron Spectroscopy for Chemical Analysis, エスカ)。サンプル表面に[[X線]]を照射し、生じる光電子のエネルギーを測定することで、サンプルの構成元素とその[[電子]]状態を分析することができる。他にもPES、PS等とも呼ばれる。 == 原理 == {{main|光電効果}} 物質に数keV程度の[[軟X線]]を照射すると、[[原子軌道]]の電子が光エネルギーを吸収し、[[光電子]]として外にたたき出される。この光電子は <math>E = h \nu - E_B-\phi</math>(<math>E_B</math> は電子の結合エネルギー、 <math>\phi</math>は分光器の[[仕事関数]])にしたがったエネルギー値をもつため、X線のエネルギーが一定であれば(すなわち単一波長であれば)、<math>E_B</math> を求めることができる。 電子の結合エネルギーは元素によって固有なので、元素分析ができる。また結合エネルギーの微妙なシフトは、その元素の化学状態や電子状態(酸化数など)を反映しているため、化学状態を調べることができる。 ターゲットが原子番号の大きな元素の場合、[[スピン軌道分裂]]によって2つのピークが出現する。 ===定量=== 光電子の強度(個数) <math>I</math>は以下の式で表される。 :<math>I=F(E) X_0 N \tau(E) \sigma \cos\theta</math> ここで <math>F(E) </math>は装置によって異なる装置透過関数、<math>X_0 </math>は入射X線強度、<math>N </math>は原子密度、<math> \tau(E) </math>は非弾性平均自由行程と相関する減衰長さ、<math>\sigma </math>は光イオン化断面積、<math>\theta</math>は光電子取り出し角度。 したがって装置と測定条件が一定であれば、これらのパラメータを感度係数に含めることで定量ができる。i成分の濃度を<math>N_i</math>、光電子強度を<math>I_i</math>、相対感度係数を<math>S_i</math>とすると :<math>\frac{N_i}{\sum{N_i}} = \frac{I_i / S_i}{\sum{I_i / S_i}}</math> と表せる。 ===化学シフト=== 結合エネルギーのずれは'''化学シフト'''と呼ばれる。[[核磁気共鳴]]における化学シフトと同様に、周囲の原子との相互作用に由来する。 単体元素Aを基準にしたときの化合物Bの化学シフト<math>\Delta E_A^B</math>は次のように表せる。 :<math>\Delta E_A^B = K(q_A - q_B) + (V_A - V_B)</math> :<math>K q_A = q_A / r_{A,V}</math> :<math>V_A =\sum{q_A / R}</math> ここで<math>K</math>はカップリング定数で内殻電子と価電子の2電子積分、<math>q</math>は価電子の有効電荷、<math>V</math>は[[マーデルングポテンシャル]](イオン結晶中の各格子点の静電ポテンシャルを表す)、<math>r</math>は価電子殻の平均軌道半径である。この式の第1項目は内殻電子と価電子との電子-電子相互作用の差に相当する。 == 特徴 == [[File:hires.jpg|thumb|250px|Si(2p)の高分解能スペクトル.結合(束縛)エネルギー(Binding Energy,BE)の異なるSi(2p)電子が存在している,つまり酸化数の異なるSiが存在することが読み取れる.]] '''利点''' * ほぼあらゆる元素の種類、およびその電子状態がわかる(例えば、Fe(II) とFe(III) が区別できる)。結果にはある程度(有効数字で一桁ほどではあるが)の定量性がある。 * 物質のごく表面(数[[ナノメートル]])の元素分布がわかる。また、[[アルゴン]][[エッチング]]を適宜行うことで深さ方向の元素分布を知ることができる。 * 導体、絶縁体、無機物、有機物のいずれも測定可能。 '''欠点''' * [[水素]]と[[ヘリウム]]は測定できない。 * 高[[真空]]中で固体として安定なものでないと測定できない。 * [[絶縁体]]は測定中に[[チャージアップ]]が起こるので再現性が悪い。 * X線によって試料がダメージを受けるため、正確に状態を反映しないことがある。 * 炭素化合物の定量は難しい(装置内を高真空に保つための[[ポンプ]]由来のオイルミストや試料に付着した一般的な汚れ(高級脂肪酸などの炭化水素系物質)の存在による)。 == 装置 == [[File:Xps-analysator.jpg|thumb|XPS測定装置。右上に見える静電半球形アナライザで光電子のエネルギーおよび個数を測定する。]] ===X線源=== 一般的な実験設備ではX線管から発せられる[[特性X線|MgKα]]線(1253.6eV) や[[特性X線|AlKα線]](1486.6eV)などの[[X線|軟X線]]を照射する(軟X線は表面感度が良い)。但し、老朽化したX線源を用いると[[マグネシウム|Mg]]や[[アルミニウム|Al]]が酸化物になっており、[[酸素]]の特性X線も同時に発生することがあるため注意が必要。X線の取り出し窓にはアルミニウム薄膜が用いられる。電子の脱出深さが一定であることから、試料表面と電子レンズとの角度を15°程度にすることによりさらに表面感度を上げることができる(バルク由来のバックグラウンドが減る)。高分解能が要求される場合は、[[シンクロトロン放射光]]を用いる。 単色化されたX線を光源として用いると、化学状態を詳細に解析できる。単色化X線源を用いると光電子スペクトルがシャープになり、X線源のサテライト線やKβ線も除去されるため、S/B比が良くなる。単色化X線源では、[[ローランド円]]上にX線源(Alなど)と分光結晶を配置させる。 ===真空ポンプ=== XPSでは試料の表面汚染を防ぐため、10^-7Pa以下の[[超高真空]]が必要となる。試料導入部では[[ターボ分子ポンプ]]と[[ロータリーポンプ]]を組み合わせる。測定部ではオイルを使わない[[イオンポンプ]]とチタン[[サブリメーションポンプ]]などを組み合わせる。他にも[[拡散ポンプ]]や[[クライオポンプ]]も使われる。 ===エネルギー分析器=== XPSでは静電型エネルギー分析器が用いられる。電場により光電子の飛行軌道を偏向させ、電場強度と偏向量の関係から光電子の運動エネルギーを測定する。 同心半球型アナライザー(concentric hemispherical analyzer, CHA)がエネルギー分解能が高いため一般的に用いられている。CHAの手前には入射レンズが付いており、CHAの入口スリットへ光電子を集光すること、エネルギー分解能の調整などが行われる。またCHAの他にも同筒鏡型のエネルギー分析器も用いられることがある。 ===検出器=== 検出器には、電子倍増管([[チャンネルトロン]]、マルチチャンネルトロン、[[マイクロチャンネルプレート]])が用いられる。 ==測定方法== ===測定モード=== ; ワイドスキャン(サーベイスキャン)モード :表面元素の定性分析を行うためのモードで、0 - 1500 eV程度の幅広いエネルギー範囲を、数分間でスキャンする。 ; ナロースキャンモード :表面元素の定量と化学状態や電子状態を分析するためのモード。サーベイスキャンで得られた元素ピークについて、高エネルギー分解能で測定する。 ; 深さ分析モード :固体表面を、[[アルゴン]]や[[キセノン]]などの希ガスイオンで[[スパッタリング]]しながら元素分析や状態分析を行うモード。 :数nm程度の深さ分析を行うときは、試料と検出器がなす角度(光電子取り込み角)を変化させることで測定深さを変化させることができる。 ; マッピングモード :試料を移動させながら分析したり、イメージングプレートを使用することで、一次元の線分析や二次元の面分析を行うモード。 ===補正=== 分析するに当たり、仕事関数・チャージアップの補正を行う。上述の欠点で触れたオイルミストや汚れ由来のC1sピークを逆に利用して補正を行うなどする。[[シクロヘキサン]]のC1sは285.2eVであり、これをオイル・汚れの[[炭化水素]]鎖のC1sとして、スペクトル中のC1sピークを285.2eVに合致するように調整することにより補正を行う。 ==参考== * ''Annotated Handbooks of Monochromatic XPS Spectra, PDF of Volumes 1 and 2'', B.V.Crist, published by XPS International LLC, 2005, Mountain View, CA, USA * ''Handbooks of Monochromatic XPS Spectra, Volumes 1-5'', B.V.Crist, published by XPS International LLC, 2004, Mountain View, CA, USA * ''Surface Analysis by Auger and X-ray Photoelectron Spectroscopy'', ed. J.T.Grant and D.Briggs, published by IM Publications, 2003, Chichester, UK * ''Practical Surface Analysis by Auger and X-ray Photoelectron Spectroscopy'', 2nd edition, ed. M.P.Seah and D.Briggs, published by Wiley & Sons, 1990, Chichester, UK * ''Practical Surface Analysis by Auger and X-ray Photoelectron Spectroscopy'', ed. M.P.Seah and D.Briggs, published by Wiley & Sons, 1983, Chichester, UK ISBN 0-471-26279-X * ''Surface Chemical Analysis -- Vocabulary'', ISO 18115 : 2001, [[International Organisation for Standardisation]] (ISO), TC/201, Switzerland, [http://www.iso.ch] * ''Handbook of X-ray Photoelectron Spectroscopy'', J.F.Moulder, W.F.Stickle, P.E.Sobol, and K.D.Bomben, published by Perkin-Elmer Corp., 1992, Eden Prairie, MN, USA * ''Handbook of X-ray Photoelectron Spectroscopy'', C.D.Wagner, W.M.Riggs, L.E.Davis, J.F.Moulder, and G.E.Mullenberg, published by Perkin-Elmer Corp., 1979, Eden Prairie, MN, USA ==関連文献== *{{Cite journal|和書|author=吉田能英|title=表面分析―XPS : X線光電子分光―|publisher=日本画像学会|journal=日本画像学会誌|date=2011|volume=50|issue=5|pages=463-469|doi=10.11370/isj.50.463}} ==関連== *[[光電子分光]] *[[紫外光電子分光]] {{分光法}} {{DEFAULTSORT:えつくすせんこうてんしふんこう}} [[Category:分析化学]] [[Category:分光学]] [[Category:表面科学]]
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