「ゴールドバッハ・オイラーの定理」の版間の差分

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2023年7月20日 (木) 13:58時点における最新版

ゴールドバッハ・オイラーの定理(ゴールドバッハ・オイラーのていり、Goldbach–Euler theorem)は、ある自然数逆数を項とする級数に関する定理であり、以下の式で表される。

p1p1=13+17+18+115+124+126+131+=1.

ただし、pは累乗数(1は含まない)を動くものとする。上の式は、累乗数より1小さい自然数の逆数の無限和が1に収束することを意味する。この定理は1737年レオンハルト・オイラーがその論文中で初めて述べたものであるが、クリスティアン・ゴールドバッハが彼に宛てた手紙の中でオイラーに明らかにしたとされる(手紙は散逸している)。

収束することの証明

1221+1231+1321+1421+1521+...=13+17+18+115+124+...<13+14+18+19+116+...=13+m=2k=21mk=13+m=21m2k=01mk=13+m=21m2mm1=13+m=2(1m11m)=13+1=43

したがって 13+17+18+115+124+...<43 である。 この級数は単調増加なので 43 未満の実数に収束する。

収束値の証明

ゴールドバッハによる証明は以下のように調和級数を用いたものである。まず H を次のように定義する。

H=1+12+13+14+15+16+...(1)

続いて等比級数を用いて以下の式を与える。

1=12+14+18+116+132+...

(1)式からこの式を辺々引くと

H1=1+13+15+16+17+19+...(2)

となる。さらに等比級数を用いて

12=13+19+127+181+...

を導き、この両辺を(2)式から引けば

H112=1+15+16+17+110+...

このような操作を繰り返すと右辺の1以外の項は全て消えて以下のようになる。

H11214151619...=1

(2)式と左辺が等しくなるように移項すると

H1=1+12+14+15+16+19+...(3)

右辺の項の分母には累乗数より1だけ小さな数は現れないことに注意。最後に(1)式から(3)式を引くと求める級数が得られる。

1=13+17+18+115+124+...

ただし調和級数 H発散するので、この証明は現代的な観点では厳密なものとはいえない。

厳密な証明を得るには、次のように有限部分和をとる。

HN=1+12+13+14+15+16+...+1N

と定義し、

SN=PN+11P1=13+17+18+115+...,
TN=mN+11m1=1+12+14+15+16+19+...

とおく。ここで P は1以外の累乗数、 m は累乗数ではない数および1を動く。したがって

HN=SN+TN(4)

が成り立つ。 r(n)n=rk となる最小の r と定めると n>1 のとき r(n) は累乗数ではありえず、かつ一意的に定まるから

1m1=1m+1m2+...

より

TN1=1<r(n)N1n=1<nN1n+n>N,r(n)N1n

が成り立つが、後の和に含まれる n は累乗数でなければならない。よって

HN1TN1HN1+P>N1P,

(4) から

SN1+TN1TNSN+P>N1P,

これを移項して

11NP>N1PSN1(5)

となる。ここで上の収束の証明と同様、P1P は収束することがわかるから、(5) の左辺は 1 に収束する。よって

SN1(N)

が証明された。

外部リンク

関連項目