シアノ酢酸
シアノ酢酸(シアノさくさん、Cyanoacetic acid)は、分子式C3H3NO2で表される有機化合物である。吸湿性をもつ白色固体であり、ニトリルとカルボン酸の2つの官能基を持っている。 接着剤の成分である、シアノアクリレートの前駆体として利用されている[1]。
日本では毒物及び劇物取締法により、有機シアン化合物として劇物に指定されている。
合成法
クロロ酢酸のナトリウム塩とシアン化ナトリウムを反応させ、酸で処理することにより得る[1][2]。また、二酸化炭素をアノード側、アセトニトリルをカソード側にした電気合成においても得ることができる[3]。
性質
シアノ酢酸は、酢酸の2番炭素(カルボキシ基ではない炭素)に直結している水素のうちの1つが、シアノ基に置換された構造をしている。シアノ基は電子求引性基の1つであり、隣のカルボキシ基が電離してプロトンを手放した際に残る負電荷(電子)を分散させてくれる。このため酢酸イオンよりも、シアノ酢酸イオンの方が安定であり、シアノ酢酸の方が酸性度が数百倍高い。具体的には、25 ℃における酢酸のテンプレート:PKaが4.76なのに対して、同じ25 ℃におけるシアノ酢酸のpKaは2.45である[4]。なお、160℃に加熱すると、脱炭酸が起きてアセトニトリルとなる。
利用
シアノ酢酸は、様々な化合物の合成中間体として利用される。デキストロメトルファン、アミロライド、スルファジメトキシン、アロプリノールなど、様々な医薬品のビルディングブロックである[1]。シアノアセチル化を行う際の試薬として利用されている[3]。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 Harald Strittmatter, Stefan Hildbrand and Peter Pollak Malonic Acid and Derivatives" in Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry 2007, Wiley-VCH, Weinheim. テンプレート:DOI
- ↑ テンプレート:Cite journal
- ↑ 3.0 3.1 テンプレート:Cite journal
- ↑ CYANOACETIC ACID