ヤングの畳み込み不等式

数学におけるヤングの畳み込み不等式（ヤングのたたみこみふとうしき、テンプレート:Lang-en-short）は、ウィリアム・ヘンリー・ヤングに名を因む、ふたつの函数の畳み込みに関する不等式である。

定理の主張

実解析において、ヤングの畳み込み不等式テンプレート:Rpは以下のようなものである:

定理 (Young's convolution inequality)

テンプレート:Math で $$\frac{1}{p}+\frac{1}{q}=\frac{1}{r}+1(1\le p,q,r\le \mathrm{\infty })$$ が満たされるならば、不等式 $$\Vert f*g{\Vert }_r\le \Vert f{\Vert }_p\Vert g{\Vert }_q$$ が成り立つ。ここに、左辺の テンプレート:Math は畳み込みで、テンプレート:Mvar は[[ルベーグ空間|ルベーグ テンプレート:Mvar-乗可積分函数の空間]]および $$\Vert f{\Vert }_p:=(\underset{{ℝ}^d}{\int }|f(x){|}^p𝑑𝑥{)}^{1/p}$$ は [[pノルム|テンプレート:Mvar-ノルム]]である。

おなじことだが、以下のように述べることもできる:

テンプレート:Math が $\frac{1}{p}+\frac{1}{q}+\frac{1}{r}=2$ を満たすならば $$\underset{{ℝ}^d\times {ℝ}^d}{\int }f(x)g(x-y)h(y)𝑑𝑥𝑑𝑦\le (\underset{{ℝ}^d}{\int }|f{|}^p{)}^{1/p}(\underset{{ℝ}^d}{\int }|g{|}^q{)}^{1/q}(\underset{{ℝ}^d}{\int }|h{|}^r{)}^{1/r}$$ が成り立つ。

一般化

ヤングの畳み込み不等式は、テンプレート:Math を単模群 テンプレート:Var に取り換えた自然な一般化ができる。テンプレート:Mvar 上の両側ハール測度を テンプレート:Mvar とすれば テンプレート:Mvar に関する積分が定義できて、テンプレート:Mvar 上の実または複素数値函数 テンプレート:Mvar に対して $$f*g(x):=\underset{G}{\int }f(y)g(y^{-1}x)𝑑\mathit{\mu }(y)$$ および $$\Vert f{\Vert }_p:=(\underset{G}{\int }|f(x){|}^p𝑑\mathit{\mu }(x){)}^{1/p}$$ と定めれば、テンプレート:Math に対して、件の不等式 $$\Vert f*g{\Vert }_r\le \Vert f{\Vert }_p\Vert g{\Vert }_q$$ はそのままの形で成り立つ（もちろん、$\underset{G\times G}{\int }f(x)g(x-y)h(y)𝑑\mathit{\mu }(x)𝑑\mathit{\mu }(y)\le (\underset{G}{\int }|f{|}^p{)}^{1/p}(\underset{G}{\int }|g{|}^q{)}^{1/q}(\underset{G}{\int }|h{|}^r{)}^{1/r}$ とも書ける）。

事実として、テンプレート:Math はテンプレート:Ill2、したがって単模であり、ルベーグ測度がそのハール測度を与えるから、事実これは先の不等式を一般化するものである。

より厳密な評価

テンプレート:Math の場合、ヤングの不等式はより強く、適当な定数 テンプレート:Math を含む $$\Vert f*g{\Vert }_r\le c_{p,q}\Vert f{\Vert }_p\Vert g{\Vert }_q$$ の形のより厳密な評価にすることができる。この最適化定数が達成されるとき、函数 テンプレート:Mvar はテンプレート:Ill2 である。

証明

最適化定数 テンプレート:Math のヤングの不等式には、初等的な証明がある。

位相群の不変積分版の証明を以下に示す: テンプレート:Math proof

応用

ヤングの不等式の応用の一つの例が、テンプレート:Math-ノルムを用いて テンプレート:Ill2が縮小半群である（つまり、ヴァイヤシュトラス変換が テンプレート:Math-ノルムを大きくしない）ことを示すことである。

外部リンク

• テンプレート:ProofWiki