時不変系

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テンプレート:出典の明記 時不変系(じふへんけい、テンプレート:Lang-en)は、その出力が時間に明示的に依存していない系である。入力信号 x によって出力 y が生成されるとき、時間をシフトさせた入力 tx(t+δ) では出力も ty(t+δ) となり、同じだけ時間をシフトしたものとなる。

形式的には、S をシフト作用素としたとき(Sδx(t)=x(tδ))、次が成り立つ T を時不変作用素と呼ぶ。

T(Sδx)=Sδ(Tx)

この属性は、系の伝達関数が時間の関数ではなく、入力と出力だけで表される場合に満足される。また、概略的に表すと次のようになる。

系が時不変であるとき、その系のブロックは任意の遅延について可換である。

単純な例

系が時不変かどうかを判定する例を示すため、次の2つの系を考える。

  • 系 A: y(t)=tx(t)
  • 系 B: y(t)=10x(t)

系 A は x(t)y(t) 以外の部分で明示的に t に依存しているので、時変である。一方系 B は明示的に t に依存していないので、時不変である。

形式的な例

次に A と B の系がなぜ上述のように言えるのかを、形式的な証明によって示す。証明するために、第二の定義(系が時不変であるとき、その系のブロックは任意の遅延について可換である)を利用する。

系 A:

遅延のある入力 xd(t)=x(t+δ) を与えると、次のようになる。
y1(t)=txd(t)=tx(t+δ)
ここで出力を δ のぶんだけ遅延させる。
y(t)=tx(t)
y2(t)=y(t+δ)=(t+δ)x(t+δ)
y1(t)y2(t) であることは明らかであり、従ってこの系は時不変ではない。

系 B:

遅延のある入力 xd(t)=x(t+δ) を与えると、次のようになる。
y1(t)=10xd(t)=10x(t+δ)
ここで出力を δ のぶんだけ遅延させる。
y(t)=10x(t)
y2(t)=y(t+δ)=10x(t+δ)
y1(t)=y2(t) であることは明らかであり、従ってこの系は時不変である。他にも証明方法はあるが、これが最も容易である。

抽象的な例

シフト作用素を 𝕋r と表す。ここで、r はベクトルの添え字群がシフトされるべき量である。例えば、"advance-by-1" 系

x(t+1)=δ(t+1)*x(t)

は、ここでの抽象的記法では次のようになる。

x~1=𝕋1x~

ここで、x~ は次の式で与えられる関数である。

t x~=x(t)

シフトされた出力となる系は次のようになる。

t x~1=x(t+1)

従って 𝕋1 は入力ベクトルを 1 だけ進める作用素である。

ここで、系を作用素 で表す。この系が時不変であるのは、この作用素とシフト作用素の間で交換法則が成り立つ場合である。すなわち、

r 𝕋r=𝕋r

系の方程式が次のようであるとする。

y~=x~

この系が時不変であるとは、系の作用素 x~ に適用してからシフト作用素 𝕋r を適用した場合と、シフト作用素 𝕋r を適用してから系の作用素 を適用した場合で、結果が等価となる場合である。

系の作用素を先に適用すると、次のようになる。

𝕋rx~=𝕋ry~=y~r

シフト作用素を先に適用すると、次のようになる。

𝕋rx~=x~r

従って、系が時不変なら次が成り立つ。

x~r=y~r

関連項目