周期倍分岐

力学系において周期倍分岐（しゅうきばいぶんき、period-doubling bifurcation）とは分岐の一種である。

この分岐では、パラメータが変化していきある値に達すると、安定な不動点が不安定化し、その両側に安定な2周期点が発生する。

具体例

$x$を実数、$\mu$を実数のパラメータとして、1次元写像

$x\to f(x,\mu )=-x-\mu x+x^3$

を考える。

$x=0$は$\mu <0$においては安定な不動点である($f(x,\mu )=x$を満たす1周期点である)が、$\mu >0$においては不安定であり、また$\mu >0$において

$f(\sqrt{\mu },\mu )=-\sqrt{\mu }$

かつ

$f(-\sqrt{\mu },\mu )=\sqrt{\mu }$

であることから、$x=\pm \sqrt{\mu }$は2周期点となっていて、かつ安定である。

従って、$\mu$が負から正に増加していく過程で0を跨ぐ瞬間に、安定な不動点(1周期点)が不安定化し、その代わりに安定な2周期点がその両側に生じたことになる。

このことから、上記の1次元写像は$\mu =0$を境に周期倍分岐を起こしたと言う。

関連項目

• 分岐図

参考文献

• 小室元政(2005)『新版 基礎からの力学系 分岐解析からカオス的遍歴へ』、サイエンス社