アトウッドの器械のソースを表示
←
アトウッドの器械
ナビゲーションに移動
検索に移動
あなたには「このページの編集」を行う権限がありません。理由は以下の通りです:
この操作は、次のグループに属する利用者のみが実行できます:
登録利用者
。
このページのソースの閲覧やコピーができます。
{{古典力学}} '''アトウッドの器械'''(アトウッドのきかい、{{lang-en|Atwood machine、Atwood's machine}})とは、[[1784年]]にイギリス人[[数学者]][[ジョージ・アトウッド]]によって発表された実験装置<ref name=atwood>{{cite book|title=Treatise on the Rectilinear Motion and Rotation of Bodies|year=1784|author=George Atwood|publisher=Cambridge|url=http://www.e-rara.ch/zut/content/structure/1227245|accessdate=2016-5-7|pages=298-337}}</ref>。この装置は一定[[加速度]]の運動を作る装置として発案され、当初は[[ニュートン力学]]の法則を検証するために用いられたが、後には学校教育の中で法則を例示するために広く用いられるようになった<ref>{{cite journal|title=アトウッド実験の教育的意義|journal=物理教育|volume=41|issue=4|pages=435-438|year=1993|url=https://cir.nii.ac.jp/crid/1390282679490825856|author=南原律子|accessdate=2016-5-6}}</ref><ref name=kagakudai>{{cite book|和書|chapter=アトウッドの機械|author=Simon Schaffer|title=科学大博物館―装置・器具の歴史辞典|translator=橋本毅彦|pages=14-16|publisher=朝倉書店|year=2005|isbn=4254101864}}</ref>。 理想的なアトウッドの器械は、{{math| ''m''<sub>1</sub> }}および{{math| ''m''<sub>2</sub> }}の質量を持つ二つの物体を伸縮しない軽いひもでつなぎ、ひもを質量のない理想的な[[滑車]]にかけたものである<ref><!-- This is a fairly old edition, but it is the one I have. A cite to a newer edition would be better-->{{cite book | last = Tipler | first = Paul A. |title = Physics For Scientists and Engineers, Third Edition, Extended Version | publisher = Worth Publishers | year = 1991 | location = New York|isbn = 0-87901-432-6}} Chapter 6, example 6-13, page 160.</ref>。 {{math| ''m''<sub>1</sub> {{=}} ''m''<sub>2</sub> }}であるなら、おもりの位置によらずこの系は[[力学的平衡|中立平衡]]の状態にある。{{math| ''m''<sub>1</sub> ≠ ''m''<sub>2</sub> }}ならば、どちらの物体も等しい大きさの加速度を受ける。 == 理論 == === 加速度の方程式 === [[File:Atwoods machine.png|thumb|150px|right|アトウッドの器械の図(1905年)。]] [[File:Atwood.svg|right|thumb|220px|アトウッドの器械で吊り下げられている二つの物体に対する[[自由体図]]([[:en:free body diagram]])。[[加速度]][[空間ベクトル|ベクトル]]が示すように、{{math| ''m''<sub>1</sub> }}が下方、{{math| ''m''<sub>2</sub> }}が上方に加速される場合を正と定める。{{math| ''m''<sub>1</sub> > ''m''<sub>2</sub> }}の場合に起きる運動が正である。]] 加速度についての方程式を作るには、この系に存在する力を数え上げる必要がある。ひもの伸縮と質量を無視し、また滑車は理想的であり質量を持たないとすれば、考慮すべき力はひもの[[張力]]({{math| ''T'' }})および各物体の[[重さ]]({{math| ''W''<sub>1</sub> }}、{{math| ''W''<sub>2</sub> }})のみである。それぞれの物体にはたらいている力を用いて[[運動の第2法則|ニュートンの第二法則]]により[[運動方程式]]を立てれば、加速度({{math| ''a'' }})を含む[[線型方程式系|連立方程式]]が得られる。 ここでは{{math| ''m''<sub>1</sub> > ''m''<sub>2</sub> }}として運動の方向を正の向きに取る。すなわち、{{math| ''m''<sub>1</sub> }}が下向き、{{math| ''m''<sub>2</sub> }}が上向きの加速度を持つとき{{math| ''a'' }}が正だと決める。重力加速度を{{math| ''g'' }}として、物体{{math| ''m''<sub>1</sub> }}、{{math| ''m''<sub>2</sub> }}の重さはそれぞれ{{math| ''W''<sub>1</sub> {{=}} ''m''<sub>1</sub>''g'' }}および{{math| ''W''<sub>2</sub> {{=}} ''m''<sub>2</sub>''g'' }}である。 {{math| ''m''<sub>1</sub> }}にはたらく力から運動方程式を立てると :<math>\; m_1g-T=m_1a</math> 同様に、{{math| ''m''<sub>2</sub> }}にはたらく力から : <math>\; T-m_2g=m_2a</math> これらの二式を足し合わせると以下が得られる。 :<math>\; m_1g-m_2g=m_1a+m_2a</math>, 結局、加速度の式は次のようになる。 :<math>a = g{m_1-m_2 \over m_1+m_2}</math> 上式を用いれば、逆に運動の加速度から{{math| ''g'' }}を求めることもできる。おもりの変位{{math| ''d '' }}とともに時間{{math| ''t'' }}を測定して : <math> d = {1 \over 2} at^2 </math>. の関係を用いれば{{math| ''a'' }}が得られ、さらに{{math| ''g'' }}を計算できる。 アトウッドの器械は運動方程式を導く[[ラグランジュ力学|ラグランジュの方法]]を説明する題材として用いられることがある<ref><!-- Again a cite to the most recent edition would be preferable -->{{cite book | last = Goldstein | first = Herbert | title = Classical Mechanics, second Edition | publisher = Addison-Wesley/Narosa Indian Student Edition | year = 1980 | location = New Delhi | isbn = 81-85015-53-8}}Section 1-6, example 2, pages 26-27.</ref>。 === 張力の方程式 === ひもの[[張力]]を求めたい場合、加速度の式 : <math>a = g{m_1-m_2 \over m_1 + m_2}</math> をどちらかの運動方程式に代入する。たとえば{{math| ''m''<sub>1</sub>''a'' {{=}} ''m''<sub>1</sub>''g'' − ''T'' }}に代入すると :<math>T={2 g m_1 m_2 \over m_1 + m_2}={2g \over 1/m_1 + 1/m_2}</math> が導かれる。 === 滑車が慣性と摩擦を持つ場合 === {{math| ''m''<sub>1</sub> }}と{{math| ''m''<sub>2</sub> }}の間にわずかな差しかない場合には、滑車の[[慣性モーメント]]{{math| ''I'' }}が無視できなくなる。滑車の半径を{{math| ''r'' }}とすると、滑車とひもが互いに滑らないという条件のもとで、滑車の[[角加速度]]{{math| ''α'' }}は以下で与えられる。 :<math> \alpha = {a\over r}</math> [[トルク]]の合計{{math| ''N''<sub>net</sub> }}を用いて{{math| ''α'' }}についての運動方程式を立てると :<math> \begin{align} I \alpha &= N_{\mathrm{net}} \\ &=\left(T_1 - T_2 \right)r - N_{\mathrm{f}} \\ \end{align} </math> {{math| ''N''<sub>f</sub> }}は[[摩擦]]によるトルクを表し、{{math| ''T''<sub>1</sub> }}と{{math| ''T''<sub>2</sub> }}はそれぞれ{{math| ''m''<sub>1</sub> }}側と{{math| ''m''<sub>2</sub> }}側のひもの張力を意味する。上式をおもり二つの運動方程式と連立させ、{{math| ''a'' }}、{{math| ''T''<sub>1</sub> }}、{{math| ''T''<sub>2</sub> }}について解くと :<math> a = {{g (m_1 - m_2) - {N_{\mathrm{f}} \over r}} \over {m_1 + m_2 + {{I} \over {r^2}}}}</math> :<math> T_1 = {{m_1 g (2 m_2 + {{I} \over {r^2}} + {{N_{\mathrm{f}}} \over {r g}})} \over {m_1 + m_2 + {{I} \over {r^2}}}}</math> :<math> T_2 = {{m_2 g (2 m_1 + {{I} \over {r^2}} + {{N_{\mathrm{f}}} \over {r g}})} \over {m_1 + m_2 + {{I} \over {r^2}}}}</math> 滑車の軸受けでの摩擦が無視できる(が、滑車の慣性は無視できず、滑車とひもは互いに滑らない)場合には、上の三式は以下のように単純化される。 :<math> a = {{g (m_1 - m_2)} \over {m_1 + m_2 + {{I} \over {r^2}}}}</math> :<math> T_1 = {{m_1 g (2 m_2 + {{I} \over {r^2}})} \over {m_1 + m_2 + {{I} \over {r^2}}}}</math> :<math> T_2 = {{m_2 g (2 m_1 + {{I} \over {r^2}})} \over {m_1 + m_2 + {{I} \over {r^2}}}}</math> == 歴史 == アトウッドはロンドンの器具職人ジョージ・アダムス([[:en: George Adams (1750-1795)|英語版]])に依頼してこの装置を作製させ、1770年に初めて[[トリニティ・カレッジ (ケンブリッジ大学)]] での講義に使用した<ref name=kagakudai/>。 オリジナルの装置には振り子時計が備えられており、運動の時間を計るために一定間隔の音が鳴るようになっていた。振り子の音とタイミングを合わせて、どちらかのおもりの上に制御棒(追加おもり)を載せることで運動が始まる。落下するおもりが小さな輪をくぐり抜けると、制御棒が輪に引っかかって取り除かれ、その後は加速度ゼロの運動が行われる。この速さを測ることで、おもりに加えられた加速を知ることができる。[[軸受]]で発生する摩擦を最小化するため滑車の車軸は4枚の車輪で支えられていた。過去に作製されたアトウッドの器械の多くがこの構造を踏襲している。<ref name=atwood/><ref name=kagakudai/> 1780年代に[[王立協会]]のフェローで大陸の学会と関係が深かったJ・マジェラン([[:en:Jean Hyacinthe de Magellan|英語版]])はアトウッドの器械を西欧各国に紹介した。このとき器械を入手した[[アレッサンドロ・ボルタ|ヴォルタ]]はその精妙さに感嘆したという。19世紀になると、ロンドンやパリ、後にはアメリカの器具職人によって広く製造がおこなわれ、世界中に供給されるようになった。<ref name=kagakudai/> === 応用 === つり合いおもりを備えた[[エレベーター]]は理想的なアトウッドの器械に近いため、巻き上げ機はかごの重量を上回る力を発生させる必要はない。かごとおもりの重量差および慣性に相当する力だけでよい。ケーブルでつながれた二台の車両が巻き上げ機によって斜面上を昇降する[[ケーブルカー]]でも同じ原理が使われている。[[エッフェル塔]]のエレベーターは複数台がそれぞれ互いのつり合いおもりの役を果たしている。 == 脚注 == {{Reflist}} == 関連項目 == {{Commons category|Atwood's machine}} * [[重力加速度]] * [[ケーターの振り子]] * [[球形の牛]] ==外部リンク== * [http://physics.kenyon.edu/EarlyApparatus/Mechanics/Atwoods_Machine/Atwoods_Machine.html ケニオンカレッジ、グリーンスレード教授による解説記事(英語)] *"[http://demonstrations.wolfram.com/AtwoodsMachine/ Atwood's Machine]" by Enrique Zeleny、[[Wolframデモンストレーションプロジェクト]]。 {{DEFAULTSORT:あとうつとのきかい}} [[Category:力学]] [[Category:実験器具]] [[Category:物理学実験]] [[Category:エポニム]] [[Category:科学教材]]
このページで使用されているテンプレート:
テンプレート:Cite book
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Cite journal
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Commons category
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Lang-en
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Math
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Physics navigation
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Reflist
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:古典力学
(
ソースを閲覧
)
アトウッドの器械
に戻る。
ナビゲーション メニュー
個人用ツール
ログイン
名前空間
ページ
議論
日本語
表示
閲覧
ソースを閲覧
履歴表示
その他
検索
案内
メインページ
最近の更新
おまかせ表示
MediaWiki についてのヘルプ
特別ページ
ツール
リンク元
関連ページの更新状況
ページ情報