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{{Chembox | Name = テトラフルオロホウ酸 | ImageFile = Fluoroboric acid.svg | ImageSize = 200px | ImageName = テトラフルオロホウ酸 | IUPACName = テトラフルオロホウ酸 | OtherNames = フルオロホウ酸 | Section1 = {{Chembox Identifiers | CASNo = 16872-11-0 | CASNo_Ref = {{cascite}} | EINECS = 240-898-3 | RTECS = ED2685000 | UNNumber = 1775 }} | Section2 = {{Chembox Properties | Formula = HBF<sub>4</sub> | MolarMass = 87.81 g/mol | Appearance = 無色透明の液体 | Density = | Solubility = 混和性 | MeltingPt = -90 °C | BoilingPt = 130 °C | pKa = -0.4 }} | Section3 = {{Chembox Structure | CrystalStruct = N/A }} | Section7 = {{Chembox Hazards | ExternalMSDS = [http://www.jtbaker.com/msds/englishhtml/f2608.htm External MSDS] | EUClass = 腐食性('''C''') | EUIndex = 009-010-00-X | FlashPt = | RPhrases = {{R34}} | SPhrases = {{S1/2}}, {{S26}}, {{S27}}, {{S45}} }} | Section8 = {{Chembox Related | OtherAnions = [[ヘキサフルオロリン酸]], [[トリフルオロメタンスルホン酸]] | OtherCpds = [[テトラフルオロホウ酸カリウム]] }} }} '''テトラフルオロホウ酸'''(テトラフルオロホウさん、tetrafluoroboric acid) は'''フルオロホウ酸''' (fluoboric acid、borofluoric acid) とも呼ばれる無機酸。 [[硝酸]]に匹敵する[[強酸]]で、[[非配位アニオン|弱配位性]]の非酸化性共役塩基である。 有毒で皮膚を侵す。[[毒物及び劇物取締法]]により、塩も含めて劇物に指定されている。法律上の名前は「硼弗化水素酸」<ref>[https://laws.e-gov.go.jp/law/340CO0000000002&openerCode=1 毒物及び劇物取締法 昭和二十五年十二月二十八日 法律第三百三号 第二条 別表第二 二十一]</ref>。 == 合成法と性質 == [[純物質]]は知られておらず、[[水]]や[[ジエチルエーテル]]などの[[溶液]](分子式 HBF<sub>4</sub>に溶媒分子が配位した形)で市販されている。 [[水溶液]]の形では、20 - 25{{℃}}の[[フッ化水素酸]](HF)水溶液に[[ホウ酸]](H<sub>3</sub>BO<sub>3</sub>)を溶解することによって合成できる<ref>{{OrgSynth | author = Flood, D. T. | title = Fluorobenzene | collvol = 2 | collvolpages = 295 | prep = CV2P0295}}</ref>。 : <chem>B(OH)3\ + 4 HF -> H3O^+ \ + BF4^- \ + 2 H2O</chem> 部分的に[[加水分解]]を受け、BF<sub>3</sub>OH<sup>-</sup> とフッ化水素を生じる。水溶液として市販されている。 [[無水酢酸]]で処理することによって無水溶液を得られる<ref>Gregory K. Friestad, Bruce P. Branchaud, "Tetrafluoroboric Acid" in "Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis" 2001 John Wiley & Sons. {{DOI|10.1002/047084289X.rt035}}</ref>。 === 分子構造 === テトラフルオロホウ酸と[[トリフェニルホスフィンオキシド]]の 1:2 錯体についてX線構造が報告されている。それによると、ホウ素の上には歪んだ四面体形に4個のフッ素が結合している。そのうち1個のフッ素上に水素が結合しておりその水素はさらに O=P の酸素とも結合している。B-F(H) の結合長は他の3個の B-F 結合よりも長い<ref>Chekhlov, A. N.; Tkachev, V. V. "Crystal structure of the 1:2 molecular complex of tetrafluoroboric acid with triphenylphosphine oxide." ''Zhurnal Neorganicheskoi Khimii'' '''2003''', ''48'', 1141-1144.</ref>。 アニオン(tetrafluoroborate, BF<sub>4</sub><sup>-</sup>) はフッ素の高い[[電気陰性度]]のために安定化された[[共役塩基]]で、[[求核剤|求核性]]、[[塩基性]]、および[[配位]]性の低いアニオンとしての性質から、通常は不安定なカチオン種を塩として単離するための対アニオンとして、また有機金属反応試薬として、用いられている。 == テトラフルオロホウ酸塩 == [[ヘキサフルオロリン酸]]アニオン (PF<sub>6</sub><sup>-</sup>) と並んで特徴的な利用法が知られている。 * [[テトラフルオロホウ酸ナトリウム]] 最も一般的な塩として市販されている。 * [[テトラフルオロホウ酸銀(I)]] (silver(I) tetrafluoroborate, AgBF<sub>4</sub>) 有機ハロゲン化物を活性化させる添加剤として、[[ウィリアムソン合成]]などで用いられる。ハロゲン原子に銀イオンが配位して脱離を助け、ハロゲン化銀の沈殿となる。 * [[テトラフルオロホウ酸銅(II)]] * [[テトラフルオロホウ酸アンモニウム]](テトラフルオロホウ酸テトラアルキルアンモニウム (tetraalkylammonium tetrafluoroborate, (R<sub>4</sub>N<sup>+</sup> BF<sub>4</sub><sup>-</sup>, R = C<sub>4</sub>H<sub>9</sub>) など) [[電気化学]]測定([[サイクリックボルタンメトリー]]など)において、有機溶媒に加える支持塩として用いられる。テトラフルオロホウ酸アニオンが、[[酸化]]および[[還元]]を受けにくいためである。 * [[五酸化二窒素#テトラフルオロホウ酸ニトロイル|テトラフルオロホウ酸ニトロニウム]] (nitronium tetrafluoroborate, NO<sub>2</sub><sup>+</sup> BF<sub>4</sub><sup>-</sup>) [[芳香族化合物]]の[[ニトロ化]]反応試薬に用いられる。固体として市販されており、[[五酸化二窒素#テトラフルオロホウ酸ニトロイル]] を参照。 * テトラフルオロホウ酸ニトロシル (nitrosyl tetrafluoroborate, nitrosonium tetrafluoroborate, NO<sup>+</sup> BF<sub>4</sub><sup>-</sup>) 芳香族化合物の[[ニトロソ化]]、あるいは酸化反応試薬に用いられる。同様に固体として市販されている。 * テトラフルオロホウ酸トリアルキルオキソニウム(trialkyloxonium tetrafluoroborate, R<sub>3</sub>O<sup>+</sup> BF<sub>4</sub><sup>-</sup>, R = CH<sub>3</sub>, C<sub>2</sub>H<sub>5</sub> など) 非常に強力なアルキル化剤として知られ、[[メーヤワイン試薬]] (Meerwein reagent) とも呼ばれている。 カリウム塩は難水溶性で、アルカリ金属であるカリウムを特異的に沈殿分離させることができるため、肥料などの定量試薬として用いられる。 芳香族ジアゾニウムイオンにテトラフルオロホウ酸を加えて得られる塩 (ArN<sub>2</sub><sup>+</sup> BF<sub>4</sub><sup>-</sup>) は、ジアゾニウム塩としては特異的に安定である。これは、[[シーマン反応]](熱分解によるフッ素化)の基質として用いる合成中間体ともなる。 == 脚注 == <references /> {{水素の化合物}} {{ホウ素の化合物}} {{DEFAULTSORT:てとらふるおろほうさん}} [[Category:無機化合物]] [[Category:ホウ素の化合物]] [[Category:フッ化物]] [[Category:酸]] [[Category:劇物]]
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