テトラフルオロホウ酸

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テンプレート:Chembox テトラフルオロホウ酸(テトラフルオロホウさん、tetrafluoroboric acid) はフルオロホウ酸 (fluoboric acid、borofluoric acid) とも呼ばれる無機酸。 硝酸に匹敵する強酸で、弱配位性の非酸化性共役塩基である。

有毒で皮膚を侵す。毒物及び劇物取締法により、塩も含めて劇物に指定されている。法律上の名前は「硼弗化水素酸」[1]

合成法と性質

純物質は知られておらず、ジエチルエーテルなどの溶液(分子式 HBF4に溶媒分子が配位した形)で市販されている。

水溶液の形では、20 - 25テンプレート:℃フッ化水素酸(HF)水溶液にホウ酸(H3BO3)を溶解することによって合成できる[2]

B(OH)A3 +4HFHA3OA+ +BFA4A +2HA2O

部分的に加水分解を受け、BF3OH- とフッ化水素を生じる。水溶液として市販されている。 無水酢酸で処理することによって無水溶液を得られる[3]

分子構造

テトラフルオロホウ酸とトリフェニルホスフィンオキシドの 1:2 錯体についてX線構造が報告されている。それによると、ホウ素の上には歪んだ四面体形に4個のフッ素が結合している。そのうち1個のフッ素上に水素が結合しておりその水素はさらに O=P の酸素とも結合している。B-F(H) の結合長は他の3個の B-F 結合よりも長い[4]

アニオン(tetrafluoroborate, BF4-) はフッ素の高い電気陰性度のために安定化された共役塩基で、求核性塩基性、および配位性の低いアニオンとしての性質から、通常は不安定なカチオン種を塩として単離するための対アニオンとして、また有機金属反応試薬として、用いられている。

テトラフルオロホウ酸塩

ヘキサフルオロリン酸アニオン (PF6-) と並んで特徴的な利用法が知られている。

カリウム塩は難水溶性で、アルカリ金属であるカリウムを特異的に沈殿分離させることができるため、肥料などの定量試薬として用いられる。

芳香族ジアゾニウムイオンにテトラフルオロホウ酸を加えて得られる塩 (ArN2+ BF4-) は、ジアゾニウム塩としては特異的に安定である。これは、シーマン反応(熱分解によるフッ素化)の基質として用いる合成中間体ともなる。

脚注

  1. 毒物及び劇物取締法 昭和二十五年十二月二十八日 法律第三百三号 第二条 別表第二 二十一
  2. テンプレート:OrgSynth
  3. Gregory K. Friestad, Bruce P. Branchaud, "Tetrafluoroboric Acid" in "Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis" 2001 John Wiley & Sons. テンプレート:DOI
  4. Chekhlov, A. N.; Tkachev, V. V. "Crystal structure of the 1:2 molecular complex of tetrafluoroboric acid with triphenylphosphine oxide." Zhurnal Neorganicheskoi Khimii 2003, 48, 1141-1144.

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