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{{脚注の不足|date=2023年11月}} '''ハンケル変換''' (Hankel transform) とは、[[連続]][[関数 (数学)|関数]]に対する[[積分変換]] ([[:en:integral transform|en]]) である。関数 ''f''(''r'') に対する次数 <math>\nu</math> のハンケル変換は以下で定義される。 :<math> F_\nu(k) = \int_0^\infty f(r)J_\nu(kr)\,r\,dr </math> ここで ''J''<sub>ν</sub> は次数 ν (ν ≥ −1/2) の[[ベッセル関数]]である。そして、基底関数の直交性から、逆ハンケル変換 ''F''<sub>ν</sub>(''k'') は以下となることが分かる。 :<math> f(r) =\int_0^\infty F_\nu(k)J_\nu(kr) k~dk </math> ハンケル変換は[[ドイツ]]の数学者[[ヘルマン・ハンケル]]により提案され、フーリエ・ベッセル変換と呼ばれることもある。無限区間における[[フーリエ変換]]と有限区間の[[フーリエ級数]]の関係と同様の関係が、ハンケル変換とフーリエ・ベッセル変換の間にもあると言える。 ==定義域== 関数 ''f''(''r'') のハンケル変換が定義されるのは、''f''(''r'') が連続で区間 (0, ∞) で定義されているか、区分的に連続で (0, ∞) 内のどの小区間でも有限であり、かつ積分 :<math> \int_0^\infty |f(r)|\,r^{1/2}\,dr </math> が有限であるときである。 しかしフーリエ変換と同様に、たとえば <math>f(r) = (1+r)^{-3/2}</math> のような、上の積分が有限でないような関数にも拡張できるが、ここでは触れない。 ==基底関数の直交性== [[ベッセル関数]]を使うことで、重み因子 ''r'' に関して[[直交基底]] ([[:en:orthogonal basis|en]]) を作ることができる。 :<math> \int_0^\infty J_\nu(kr)J_\nu(k'r)r~dr = \frac{\delta (k-k')}{k} </math> ここで ''k'' と ''k''' はどちらも 0 より大きい。 ==プランシュレルの定理とパーセバルの定理== 関数 ''f''(''r'') と ''g''(''r'') のハンケル変換 ''F''<sub>ν</sub>(''k'') と ''G''<sub>ν</sub>(''k'') が定義できるとき、[[プランシュレルの定理]] ([[:en:Plancherel theorem|en]]) により以下が成り立つ。 :<math> \int_0^\infty f(r)g(r)r~dr = \int_0^\infty F_\nu(k)G_\nu(k) k~dk. </math> プランシュレルの定理の特別な場合が[[パーセバルの定理]]であり、以下で示される。 :<math> \int_0^\infty |f(r)|^2r~dr = \int_0^\infty |F_\nu(k)|^2 k~dk. </math> これらのことは、基底の直交性から導かれる。 ==他の積分変換との関連== ===フーリエ変換との関連=== 零次のハンケル変換は、[[回転対称]]な関数の二次元[[フーリエ変換]]と同じである。 動径ベクトル '''r''' の二次元関数 ''f''('''r''') のフーリエ変換は以下のようになる。 :<math> F(\mathbf{k})=\frac{1}{2\pi}\iint f(\mathbf{r}) e^{-i\mathbf{k}\cdot\mathbf{r}}\,d\mathbf{r}. </math> ここで極座標系 (''r'', θ) を考え、ベクトル '''k''' が θ = 0 の軸上の値を取るとすると、上のフーリエ変換は以下のように書ける。 :<math> F(\mathbf{k})=\frac{1}{2\pi}\int_{r=0}^\infty \int_{\theta=0}^{2\pi}f(r,\theta)e^{-ikr\cos(\theta)}\,r\,dr\,d\theta </math> ここで θ はベクトル '''k''' と '''r''' の間にある角度である。関数 ''f'' が回転対称であれば、角度 θ に依存しなくなり、 ''f''(''r'') と書ける。θ に関して積分すると、フーリエ変換は以下のようになる。 :<math> F(\mathbf{k})=F(k)= \int_0^\infty f(r) J_0(kr) r\,dr </math> これが関数 ''f''(''r'') の零次のハンケル変換である。 ===フーリエ変換、アーベル変換との関連=== ハンケル変換は、[[FHA サイクル]] ([[:en:Projection-slice theorem#FHA cycle|en]]) と呼ばれる積分演算のうちの一つである。二次元変換では、A を[[アーベル変換]] ([[:en:Abel transform|en]])、F をフーリエ変換、H を零次のハンケル変換のそれぞれ演算子とすると、[[投影断層定理]] ([[:en:projection-slice theorem|en]]) の特別な場合として回転対称な関数については以下のようになる。 :<math>FA=H.\,</math> つまりある関数にアーベル変換を1次元関数に適用し、その結果にフーリエ変換を適用することと、その関数にハンケル変換を適用することは、等価である。これは多次元に拡張できる。 ==変換表 == {|border="1" class="wikitable" cellpadding="5" cellspacing="0" align="center" !<math>f(r)\,</math> !<math>F_0(k)\,</math> |- |<math>1\,</math> |<math>\delta(k)/k\,</math> |- |<math>1/r\,</math> |<math>1/k\,</math> |- |<math>r\,</math> |<math>-1/k^3\,</math> |- |<math>r^3\,</math> |<math>9/k^5\,</math> |- |<math>r^{m}\,</math> |<math>\frac{2^{m+1}\Gamma(m/2+1)}{k^{m+2}\Gamma(-m/2)}\,</math> for m odd<br /> <math>0 ??? \,</math> for m even |- |<math>\frac{1}{\sqrt{r^2+z^2}}\,</math> |<math>\frac{e^{-k|z|}}{k}=\sqrt{\frac{2|z|}{\pi k}}K_{-1/2}(k|z|)\,</math><!--- ref Smythe 1968 ---> |- |<math>\frac{1}{r^2+z^2}\,</math> |<math>K_0(k|z|)\,</math> |- |<math>e^{iar}/r\,</math> |<math> i/\sqrt{ a^2 - k^2} \quad (a>0, k<a) \,</math> |- |<math> \,</math> |<math> 1/\sqrt{ k^2 - a^2} \quad (a>0, k>a) \,</math> |- |<math>e^{-a^2r^2/2}\,</math> |<math>\frac{e^{-k^2/2a^2}}{a^2}</math> |- |<math>-r^2 f(r)\,</math> |<math>\frac{d^2 F_0}{dk^2}+\frac{1}{k}\frac{d F_0}{dk}</math> |} <math>K_n(z)</math> は[[ベッセル関数#変形ベッセル関数|第2種変形ベッセル関数]]である。表中の <math>\frac{d^2 F_0}{dk^2}+\frac{1}{k}\frac{d F_0}{dk}</math> は、球対称な関数 <math>F_0(k)</math> に[[極座標系]] <math>(k,\theta)</math> における[[ラプラス演算子]] ([[:en:Laplace operator|en]]) を適用することを意味する。 == 参考文献 == * Gaskill, Jack D., "Linear Systems, Fourier Transforms, and Optics", John Wiley & Sons, New York, 1978. ISBN 0-471-29288-5 * Polyanin, A. D. and Manzhirov, A. V., ''Handbook of Integral Equations'', CRC Press, Boca Raton, 1998. ISBN 0-8493-2876-4 * {{cite book |last=Smythe|first=William R.|title=Static and Dynamic Electricity |edition=3rd ed.|publisher=McGraw-Hill|location=New York|year=1968|pages=179–223}} * [http://www.cbrc.jp/~tominaga/translations/gsl/ GSL リファレンスマニュアル, 第32章 離散ハンケル変換]{{リンク切れ|date=2023年11月}} {{Normdaten}} {{DEFAULTSORT:はんけるへんかん}} [[Category:解析学]] [[Category:関数解析学]] [[Category:積分変換]] [[Category:数学に関する記事]] [[Category:数学のエポニム]]
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