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ボルツマン因子
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{{参照方法|date=2019年7月}} [[物理学]]において、'''ボルツマン因子'''(ぼるつまんいんし、{{lang-en-short|Boltzmann factor}})とは、[[温度]]''T'' の[[熱力学平衡|熱平衡状態]]にある系において、粒子の出入りはなく体積も変化しないときに、特定の状態が発現する相対的な[[確率]]を定める重み因子である。ボルツマン因子は、[[カノニカル分布]]によって記述される系を議論する際に用いられる。[[グランドカノニカル分布]]で記述される系に対しては、系と外部環境の間での粒子の移動を考慮する[[ギブス因子]]を用いる。 ==概要== 熱平衡状態にある系において、粒子の出入りはなく体積も変化しないときに、微視的状態 ''ω'' が出現する確率''P''(''ω'')は、 微視的状態 ''ω'' の[[エネルギー]]''E''(''ω'')を用いて、以下の[[ボルツマン分布]]によって記述される。 :<math>P(\omega) = \frac{1}{Z}\exp{(-\beta E(\omega))}</math> ここで、{{mvar|β}} は :<math>\beta = \frac{1}{k_\mathrm{B}T}</math> によって与えられる[[逆温度]]であり、{{Math|''k''<sub>B</sub>}} は[[ボルツマン定数]]、{{Mvar|T}} は温度である。 {{Mvar|Z}} は[[分配関数]]と呼ばれ、系の全ての状態のボルツマン因子の総和であり、 : <math>Z = \Sigma\exp{(-\beta E(\omega))}</math> と求められる。 このとき、次の項を'''ボルツマン因子'''と呼ぶ。 :<math>\exp{(-\beta E(\omega))} = \exp{(-E(\omega)/k_\mathrm{B}T)}</math> ボルツマン因子は微視的状態 ''ω'' が発現する相対的確率を定める重み因子である。 エネルギー{{Math|''E''}}を取る確率{{Math|''P(E)''}}は、エネルギー{{Math|''E''}}の状態が縮退していないときは、 : <math>P(E) = \frac{1}{Z}\exp{(-\beta E)}</math> エネルギー{{Math|''E''}}の状態が縮退しているときは、その多重度を{{Math|''g(E)''}}とすると、 : <math>P(E) = \frac{1}{Z}g(E)\exp{(-\beta E)}</math> ==ボルツマン因子の導出== 微視的状態 {{Math|''ω''<sub>''i''</sub>}} (i = 1, 2, ...) を取りえる系 {{Math|S}} (system) が、系{{math|S}}より遥かに大きい外部の熱浴 {{Math|R}} (reservoir) と接触して熱平衡にあるとする。系{{math|S}}が微視的状態 {{Math|''ω''<sub>''i''</sub>}}にあるときの、系{{Math|S}}のエネルギーを {{Math|''E''<sub>S</sub>}}={{Math|''E''(''ω''<sub>''i''</sub>)}}とする。{{Math|S}} と {{Math|R}} の間ではエネルギーは自由にやり取りできるが、粒子の出入りはなく、体積も変化しないとする。このとき、[[エネルギー保存の法則]]により、注目する系と熱浴を合わせた全エネルギー {{Mvar|E}} は次式で与えられる。 :<math>E = E_\mathrm{S} + E_\mathrm{R} = \mathrm{const}</math> ここで {{Math|''E''<sub>R</sub>}} は熱浴のエネルギーを表す。熱浴{{Math|R}}は系{{math|S}}より遥かに大きいので、{{Math|''E''<sub>R</sub>}} ≫ {{Math|''E''<sub>S</sub>}} である。 熱平衡状態において、熱浴 {{Math|R}} と系 {{math|S}} における[[状態数]]を {{Math|''Ω''<sub>R</sub>, ''Ω''<sub>S</sub>}} とする。系{{math|S}}が微視的状態 ''ω<sub>j</sub>'' にある確率 {{Math|''P''(''ω''<sub>''j''</sub>)}}は、[[等確率の原理]]より熱浴 {{Math|R}}の状態数に比例する。系{{math|S}}のエネルギー{{Math|''E''(''ω''<sub>''j''</sub>)}}を用いると、熱浴 {{Math|R}}のエネルギーは {{Math|''E''<sub>R</sub>}}={{Math|''E'' − ''E''(''ω''<sub>''j''</sub>)}} なので、熱浴 {{Math|R}}の状態数は {{Math|''Ω''<sub>R</sub>(''E''−''E''(''ω''<sub>''j''</sub>))}} である。 2状態の確率の比を考慮すると以下の式が与えられる。 :<math>\frac{P(\omega_2)}{P(\omega_1)} = \frac{\Omega_R(E-E(\omega_2))}{\Omega_R(E-E(\omega_1))}</math> 一方、熱浴 {{Math|R}}の状態数は次のように熱浴 {{Math|R}}の[[エントロピー]]と関連付けられる。 :<math>S_\mathrm{R}(E-E(\omega_j)) = k_\mathrm{B} \ln[\Omega_\mathrm{R}(E-E(\omega_j))]</math> ここから以下の式が与えられる。 :<math>\frac{P(\omega_2)}{P(\omega_1)} = \frac{\exp [{S_\mathrm{R}(E-E(\omega_2))} / {k_\mathrm{B}}]}{\exp [{S_\mathrm{R}(E-E(\omega_1))} / {k_\mathrm{B}}]} = \exp \left[ \frac{S_R(E-E(\omega_2)) - S_R(E-E(\omega_1))}{k_\mathrm{B}} \right]</math> <math>E(\omega_j) \ll E </math>より、 :<math>S_R(E-E(\omega_j))= S_R(E) - \frac{\mathrm dS_R(E)}{\mathrm dE}E(\omega_j)</math> よって :<math>S_R(E-E(\omega_2)) - S_R(E-E(\omega_1)) = -\frac{\mathrm dS_R(E)}{\mathrm dE}(E(\omega_2)-E(\omega_1))</math> 粒子の出入りがないので、熱浴において、熱力学の基本関係式は、 :<math>\mathrm dS_\mathrm{R} = \frac{\mathrm dE_\mathrm{R} + P\mathrm dV_\mathrm{R}}{T}</math> ここで、{{Math|''S''<sub>R</sub>}} はエントロピー、{{Math|''E''<sub>R</sub>}} は[[内部エネルギー]]、{{Mvar|P}} は圧力、{{Mvar|V}} は体積である。 体積は変化しないので、 :<math>\frac{\mathrm dS_R(E_R)}{\mathrm dE_R} = \frac{1}{T}</math> よって :<math>S_R(E-E(\omega_2)) - S_R(E-E(\omega_1)) = -\frac{E(\omega_2)-E(\omega_1)}{T}</math> 確率の比に代入することで以下の式が与えられる。 :<math>\frac{P(\omega_2)}{P(\omega_1)} = \exp \left( - \frac{E(\omega_2)-E(\omega_1)}{k_\mathrm{B} T} \right) = \frac{\exp{(-\beta E(\omega_2))}}{\exp{(-\beta E(\omega_1))}}</math> ここでボルツマン定数と温度の積の逆数である {{Mvar|β}} を導入した。 変数の分離を行い、状態に依らない定数を 1/{{Mvar|Z}} とすれば、次の関係式を得る。 :<math>\frac{P(\omega_2)}{\exp{(-\beta E(\omega_2))}} = \frac{P(\omega_1)}{\exp{(-\beta E(\omega_1))}} = \mathrm{const} = \frac{1}{Z}</math> ゆえに :<math>P(\omega_i) = \frac{1}{Z}\exp{(-\beta E(\omega_i))}</math> である。 ここで、全微視的状態について和を取ると、左辺の確率の和は1に等しくなるので、 :<math>1 = \frac{\Sigma\exp{(-\beta E(\omega_i))}} {Z}</math> よって :<math>Z = \Sigma\exp{(-\beta E(\omega_i))}</math> となり、分配係数 ''Z'' が求められる。 ==注釈== ボルツマン因子は規格化されていないため、ボルツマン因子自身は確率ではない。規格化因子は系の全ての状態のボルツマン因子の総和の逆数、すなわち分配関数の逆数である。規格化したボルツマン因子は[[ボルツマン分布]]を与える。 ボルツマン因子によって、古典的な[[粒子]]における[[マクスウェル分布|マクスウェル=ボルツマン分布関数]]、[[量子力学]]における[[ボース粒子]]および[[フェルミ粒子]]に関する[[ボース=アインシュタイン分布関数|ボース分布関数]]、[[フェルミ分布関数|フェルミ・ディラック分布関数]]が導き出される。 ==出典== * Charles Kittel and Herbert Kroemer, ''Thermal Physics'', 2nd ed. (Freeman & Co.: New York, 1980). {{DEFAULTSORT:ほるつまんいんし}} [[Category:物理化学]] [[Category:統計力学]] [[Category:ルートヴィッヒ・ボルツマン]] [[Category:物理学のエポニム]]
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