ミッチェル・ネトラバリ・フィルターのソースを表示

'''ミッチェル・ネトラバリ・フィルター''' (Mitchell-Netravali フィルター) または'''BC-スプライン'''は主にコンピューターグラフィックスで用いられる再構成フィルター群である。利用例としては[[ビットマップ画像#ラスター表現|ラスタ―画像]]の[[アンチエイリアス]]や拡大縮小などが挙げられる。3次[[スプライン曲線|スプライン]]に含まれるため、画像処理プログラムでは'''バイキュービック・フィルター'''と呼ばれることもある。

== 定義 ==
[[File:Mitchell Filter.svg|thumb|パラメーターが (1/3, 1/3) の Mitchell-Netravali フィルターのグラフ]]

Mitchell-Netravali フィルターは再構成フィルターの[[アーティファクト#自然科学|アーティファクト]]について調べるために設計された。[[区分的]][[三次関数|3次]]フィルターであり、幅1ピクセルの4つの[[関数の台|台]]を持つ。不[[連続]]曲線などの不適切なフィルターを除くと、Mitchell-Netravali フィルターの性質を特徴付ける2つのパラメーター <math>B</math> と <math>C</math> が残る。Mitchell-Netravali フィルターは次のように定義される:

:<math>
k(x) = \frac{1}{6}
\begin{cases}
\begin{array}{l}
(12-9B-6C)|x|^3 + (-18+12B+6C)|x|^2 \\
\qquad + (6-2B)
\end{array} & \text{, } |x|<1 \text{の場合}\\
\begin{array}{l}
(-B-6C)|x|^3 + (6B+30C)|x|^2 \\
\qquad + (-12B-48C)|x| + (8B+24C)
\end{array} & \text{, } 1\le |x|<2 \text{の場合}\\
0 & \text{その他の場合}
\end{cases}
</math>

分離 ([[:en:Separable_filter|separation]]) を用いて、Mitchell-Netravali フィルターの2次元版を作ることもできる。その場合、2次元フィルターは1次元フィルターによる補間を縦横の2回行うことで置き換えられる。1次元の場合、ピクセル値 <math>P(d)</math> をその周辺の4つのピクセルの値 <math>P_0</math>, <math>P_1</math>, <math>P_2</math>, <math>P_3</math> を用いて表すと
:<math>\begin{align}
P(d) &\textstyle = \left((-\frac{1}{6}B-C)P_0 + (-\frac{3}{2}B-C+2)P_1 + (\frac{3}{2}B+C-2)P_2 + (\frac{1}{6}B+C)P_3\right) d^3 \\
&\textstyle + \left((\frac{1}{2}B+2C)P_0 + (2B+C-3)P_1 + (-\frac{5}{2}B-2C+3)P_2  -CP_3\right) d^2 \\
&\textstyle + \left((-\frac{1}{2}B-C)P_0 + (\frac{1}{2}B+C)P_2\right) d \\
&\textstyle + \frac{1}{6}BP_0 + (-\frac{1}{3}B+1)P_1 + \frac{1}{6}BP_2 \\
\end{align}</math>

となる。ただし、<math>P</math> は <math>P_1</math> と <math>P_2</math> の間に位置し、<math>d</math> は <math>P_1</math> と <math>P</math> の距離である。

=== 特殊な場合 ===
[[File:Mitchell-Netravali Artefakte.svg|thumb|300px|Mitchell-Netravali フィルターで再構成した画像の主観的評価。破線は開発者が推奨するパラメーターを示す。]]

パラメーター ''B'' と ''C'' の選び方によって違ったアーティファクトが発生しうる (図を参照)。開発者が推奨する値の組み合わせは <math>B+2C=1</math> で、特に <math>\textstyle B=C=\frac{1}{3}</math> である。

特定のパラメーターの組み合わせで、既知の3次スプラインを表せる:
* ''B''=1, ''C''=0 は3次 [[B-スプライン曲線|B-スプライン]] である ([[Paint.NET]]などでバイキュービック・フィルターとして用いられている)
* ''B''=0 は [[:en:Cubic_Hermite_spline#Cardinal_spline|Cardinal Spline]] である
* ''B''=0, ''C''=0.5 は [[:en:Cubic_Hermite_spline#Catmull.E2.80.93Rom_spline|Catmull-Rom spline]] である ([[GIMP]]などでバイキュービック・フィルターとして用いられている)

[[ファイル:Resize Catmull-Rom.png|frame|GIMPのバイキュービック・フィルター (''B''=0, ''C''=0.5) と拡大図]]{{-}}
[[ファイル:Resize Cubic B-Spline.png|frame|Paint.NETのバイキュービック・フィルター (''B''=1, ''C''=0) と拡大図]]{{-}}

== 外部リンク ==
* {{webarchive | url=https://web.archive.org/web/20140824074425/http://www.cg.tuwien.ac.at/~theussl/DA/node11.html | date=2014年8月24日 | title=''The eighties: an image processing view.''}} - Thomas Teußl: ''Sampling and Reconstruction in Volume Visualization'' (学位論文).

== 参考文献 ==
* Don Mitchell, Arun Netravali: ''Reconstruction Filters in Computer Graphics.'' ACM SIGGRAPH Computer Graphics 22, 4 (Aug. 1988): 221–228, {{ISSN|0097-8930}}
* Matt Pharr, Greg Humphreys: ''Physically Based Rendering. From Theory to Implementation,'' S. 279–367. Morgan Kaufmann, London 2004, ISBN 01-2553-180-X ([http://www.pbrt.org/chapters/pbrt_chapter7.pdf PDF, 7 MB])

[[Category:デジタル信号処理]]

{{デフォルトソート:みつちえるねとらばりふいるたー}}