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リー環のコホモロジー
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[[数学]]において、'''リー環のコホモロジー'''({{lang-en-short|Lie algebra cohomology}})とは、[[リー代数|リー環]]に対する[[コホモロジー]]論である。それは {{harvs|txt|last=Chevalley|last2=Eilenberg|author1-link=Claude Chevalley|author2-link=Samuel Eilenberg|year=1948}} によって、コンパクト[[リー群]]の[[位相空間]]としてのコホモロジーの代数的構成を与えるために、定義された。上の論文では、{{仮リンク|コシュール複体|en|Koszul complex}}と呼ばれる[[鎖複体]]がリー環上の[[環上の加群|加群]]に対して定義され、そのコホモロジーが普通の意味で取られる。 ==動機付け== {{mvar|G}} が[[コンパクト]]{{要曖昧さ回避|date=2022年11月}}[[単連結]][[リー群]]のとき、{{mvar|G}} はそのリー環によって決定され、したがってそのコホモロジーはリー環から計算できるはずである。これは次のようにしてできる。そのコホモロジーは {{mvar|G}} 上の[[微分形式]]の複体の[[ド・ラームコホモロジー]]である。これは{{仮リンク|同変微分形式|en|equivariant differential form}}の複体に置き換えることができ、それは今度は適切な微分でリー環の[[外積代数]]と同一視できる。外積代数のこの微分の構成は任意のリー環に対して意味をなし、したがってすべてのリー環に対してリー環のコホモロジーを定義するのに使われる。より一般に加群に係数を持つリー環のコホモロジーを定義するために類似の構成を用いる。 ==定義== <math>\mathfrak g</math> を可換環 {{mvar|R}} 上のリー環、<math>U\mathfrak g</math> をその[[普遍包絡環]]とし、{{mvar|M}} を <math>\mathfrak g</math> の表現とする(同じことだが <math>U\mathfrak g</math>-加群とする)。{{mvar|R}} を <math>\mathfrak g</math> の自明表現と考え、コホモロジー群 ::<math>\mathrm{H}^n(\mathfrak{g}; M) := \mathrm{Ext}^n_{U\mathfrak{g}}(R, M)</math> を定義する({{math|Ext}} の定義は [[Ext関手]]を参照)。同じことだが、これらは左完全不変部分加群関手 ::<math>M \mapsto M^{\mathfrak{g}} := \{ m \in M \mid xm = 0\ \text{ for all } x \in \mathfrak{g}\}</math> の右[[導来関手]]である。 同様に、リー環のホモロジーを ::<math>\mathrm{H}_n(\mathfrak{g}; M) := \mathrm{Tor}_n^{U\mathfrak{g}}(R, M)</math> と定義でき({{math|Tor}} の定義は [[Tor関手]]を参照)、これは右完全{{仮リンク|余不変|en|coinvariant}}関手 ::<math> M \mapsto M_{\mathfrak{g}} := M / \mathfrak{g} M.</math> の左導来関手と同値である。 リー環のコホモロジーについての重要な基本的な結果の中には{{仮リンク|ホワイトヘッドの補題 (リー環)|label=ホワイトヘッドの補題|en|Whitehead's lemma (Lie algebras)}}、{{仮リンク|ワイルの完全可約性定理|en|Weyl's theorem on complete reducibility}}、{{仮リンク|レヴィ分解|en|Levi decomposition}}定理がある。 ==シュバレー・アイレンバーグ複体== 体 {{mvar|k}} 上のLie環 <math>\mathfrak{g}</math> の左 <math>\mathfrak{g}</math>-加群 {{mvar|M}} に値を持つリー環コホモロジーは''シュバレー・アイレンバーグ複体'' <math>\mathrm{Hom}_k(\Lambda^\ast\mathfrak{g},M)</math> を用いて計算できる。この複体の {{mvar|n}}-コチェインは {{mvar|M}} に値を持つ {{mvar|n}} 変数の交代 {{mvar|k}}-多重線型関数 <math>f:\Lambda^n\mathfrak{g}\to M</math> である。{{mvar|n}} コチェインのコバウンダリは次で与えられる {{math|(''n'' + 1)}}-コチェイン {{math|''δf''}} である<ref>{{cite book|last1=Weibel|first1=Charles A.|title=An introduction to homological algebra|date=1994|publisher=Cambridge University Press|page=240}}</ref>: ::<math>(\delta f)(x_1,\ldots,x_{n+1})=\sum_i (-1)^{i+1}x_i\, f(x_1,\ldots,\hat x_i,\ldots,x_{n+1})+\sum_{i<j} (-1)^{i+j}f([x_i,x_j],x_1,\ldots,\hat x_i,\ldots,\hat x_j,\ldots,x_{n+1})\, ,</math> ただしキャレットはその引数を除くことを意味する。 ==小さい次元のコホモロジー== 0次コホモロジー群は(定義により)加群に作用するリー環の不変加群である: :<math>H^0(\mathfrak{g}; M) =M^{\mathfrak{g}} = \{ m \in M \mid xm = 0\ \text{ for all } x \in \mathfrak{g}\}.</math> 1次コホモロジー群は内部微分の空間 {{math|Ider}} を法とした微分の空間 {{math|Der}} である: :<math>H^1(\mathfrak{g}; M) = \mathrm{Der}(\mathfrak{g}, M)/\mathrm{Ider}(\mathfrak{g}, M)</math> ただし微分はリー環から {{mvar|M}} への写像 {{mvar|d}} で :<math>d[x,y] = x\,dy-y\,dx~</math> なるもので、それが内部微分とはそれがある {{math|''a'' ∈ ''M''}} で :<math>dx = xa~</math> で与えられることをいう。 2次コホモロジー群 :<math>H^2(\mathfrak{g}; M)</math> はリー環の加群 {{mvar|M}} によるリー環の拡大 :<math>0\rightarrow M\rightarrow \mathfrak{h}\rightarrow\mathfrak{g}\rightarrow 0</math> の同値類の空間である。 より高次のコホモロジー群に対しては同様の易しい解釈は無いようである。 ==関連項目== *{{仮リンク|BRST formalism|en|BRST formalism}}(理論物理学) ==参考文献== *{{Citation | last1=Chevalley | first1=Claude | last2=Eilenberg | first2=Samuel | author2-link=Samuel Eilenberg | title=Cohomology Theory of Lie Groups and Lie Algebras | jstor=1990637 | publisher=[[American Mathematical Society]] | location=Providence, R.I. | mr=0024908 | year=1948 | journal=[[Transactions of the American Mathematical Society]] | issn=0002-9947 | volume=63 | issue=1 | pages=85–124 | doi=10.2307/1990637}} *{{Citation | last1=Hilton | first1=P. J. | last2=Stammbach | first2=U. | title=A course in homological algebra | publisher=[[Springer-Verlag]] | location=Berlin, New York | edition=2nd | series=Graduate Texts in Mathematics | isbn=978-0-387-94823-2 | mr=1438546 | year=1997 | volume=4}} *{{Citation | last1=Knapp | first1=Anthony W. | title=Lie groups, Lie algebras, and cohomology | publisher=[[Princeton University Press]] | series=Mathematical Notes | isbn=978-0-691-08498-5 | mr=938524 | year=1988 | volume=34}} {{reflist}} {{DEFAULTSORT:りいかんのこほもろしい}} [[Category:コホモロジー論]] [[Category:ホモロジー代数]] [[Category:リー環論]] [[Category:数学に関する記事]]
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