ローレンツ因子のソースを表示
←
ローレンツ因子
ナビゲーションに移動
検索に移動
あなたには「このページの編集」を行う権限がありません。理由は以下の通りです:
この操作は、次のグループに属する利用者のみが実行できます:
登録利用者
。
このページのソースの閲覧やコピーができます。
'''ローレンツ因子 '''({{Lang-en-short|'''Lorentz factor''',''' Lorenz term'''}}) とは、物体が動いているときに物体の時間、長さ、[[相対論的質量]]に依存して変化する因子である。[[特殊相対性理論|ローレンツ変換]]の結果現われる因子であり、[[特殊相対性理論]]の方程式にしばしば現われる。相対性理論よりも前に[[オランダ|オランダ人]]の[[物理学者]]・[[ヘンドリック・ローレンツ]]により提唱されたローレンツ電磁気学に現われることからこう呼ばれる<ref>[http://www.nap.edu/html/oneuniverse/motion_knowledge_concept_12.html One universe], by [[ニール・ドグラース・タイソン|Neil deGrasse Tyson]], Charles Tsun-Chu Liu, and Robert Irion.</ref>。 その遍在性から、一般に[[ギリシャ文字]] {{Mvar|γ}} (小文字の[[Γ|ガンマ]])により表わされる。場合によっては(特に[[超光速運動]]の文脈では) {{Mvar|Γ}} (大文字のガンマ)により表わされることもある。 == 定義 == ローレンツ因子は下のように定義される<ref name="Forshaw">{{cite book |title=Dynamics and Relativity |first1=Jeffrey |last1=Forshaw |first2=Gavin |last2=Smith |publisher=John Wiley & Sons |year=2014 |isbn=978-1-118-93329-9 |url=https://books.google.com/books?id=5TaiAwAAQBAJ}}</ref>。 :<math>\gamma = \frac{1}{\sqrt{1 - v^2/c^2}} = \frac{1}{\sqrt{1 - \beta^2}} = \frac{\mathrm dt}{\mathrm d\tau} </math> ここで、 * {{Mvar|v}}: 慣性系間の[[相対速度]] * {{Mvar|β}}: {{Mvar|v}} と {{Mvar|c}} との比({{Math|1 = ''β'' = ''v''/''c''}}) * {{Mvar|τ}}: 観測者の[[固有時]](観測者自身の慣性系で測定される時間間隔) * {{Mvar|t}}: [[座標時]] * {{Mvar|c}}: 真空中における[[光速]] とする。 上の定義が最もよく実用に用いられているが他の定義も存在し、たとえば次のように上の定義の逆数と定義することもある<ref>Yaakov Friedman, ''Physical Applications of Homogeneous Balls'', Progress in Mathematical Physics '''40''' Birkhäuser, Boston, 2004, pages 1-21.</ref>。 :<math>\alpha = \frac{1}{\gamma} = \sqrt{1- \beta^2} </math> {{仮リンク|速度の合成則|en|velocity addition formula}} も参照。 == 使用例 == 下に {{Mvar|γ}} を含む特殊相対性理論中の数式の簡単な一覧を示す<ref name="Forshaw" /><ref>{{cite book |title=Sears' and Zemansky's University Physics |last=Young |last2=Freedman |edition=12th |publisher=Pearson Ed. & Addison-Wesley |year=2008 |isbn=978-0-321-50130-1 }}</ref>。 * '''[[ローレンツ変換]]''':もっとも簡単な {{Mvar|x}} 方向へのローレンツブーストを示す(より一般的な、任意の方向と回転を含む変換はここに示さない)。 慣性系 ({{Mvar|x}}, {{Mvar|y}}, {{Mvar|z}}, {{Mvar|t}}) から相対速度 {{Mvar|v}} をもつ別の慣性系 ({{Mvar|x′}}, {{Mvar|y′}}, {{Mvar|z′}}, {{Mvar|t′}}) への変換は以下のように表わされる。 ::<math>t' = \gamma \left( t - \frac{vx}{c^2} \right ) </math> ::<math>x' = \gamma \left( x - vt \right ) </math> 上式の系として以下が得られる。 * '''[[時間の遅れ]] (Time dilation):''' 時計に対して動いている慣性系で測った二つの刻みの間の時間 ({{Mvar|∆t′}}) は、時計の静止系で測った時間 ({{Mvar|∆t}}) よりも長く、以下のようになる。 ::<math>\Delta t' = \gamma \Delta t. \,</math> * '''{{仮リンク|長さの縮み|en|Length contraction}} (Length contraction)''': ある物体に対して動いている慣性系で測ったその物体の長さ ({{Mvar|∆x′}}) は、その物体の静止系で測った長さ ({{Mvar|∆x}}) よりも短く、以下のようになる。 ::<math>\Delta x' = \Delta x/\gamma. \,\!</math> [[運動量]]・[[エネルギー]][[保存則]]を適用することで以下の結果が得られる。 * '''{{仮リンク|相対論的質量|en|Relativistic mass|preserve = 1}}''': 動いている物体の相対論的質量 {{Mvar|m}} は {{Mvar|γ}} と[[不変質量|静止質量]] {{Math|''m''{{Sub|0}}}} を用いて以下のように表わされる。 ::<math>m = \gamma m_0. \,</math> * '''[[運動量|相対論的運動量]]''': 相対論的な運動量の関係式は非相対論的運動量の関係式と同じだが、上記の相対論的質量を用いた下式で表わされる。 ::<math>\vec p = m \vec v = \gamma m_0 \vec v. \,</math> * '''[[運動エネルギー|相対論的運動エネルギー]]''': 相対論的運動エネルギーの関係式は非相対論的なものと若干異なり、以下のようになる。 ::<math>E_k = E - E_0 = (\gamma - 1) m_0 c^2</math> == 数値 == [[ファイル:Lorentz_factor.svg|right|thumb|速度の関数としてのローレンツ因子 {{Mvar|γ}} 。 初期値({{Math|''v'' {{=}} 0}} における値)は1であり、速度が光速に近づくにつれて ({{Math|''v'' → ''c''}}) {{Mvar|γ}}は上限なく増加していく ({{Math|''γ'' → ∞}})。]] 下表の左列には光速との比で表わした (単位を {{Mvar|c}} とする) 様々な速度を示す。中列にはローレンツ因子、右列にはその[[逆数]]を示す。 太字で表わした数値は厳密な値である。 {| class="wikitable" style="text-align:center;" ! 速さ (単位 c) ! ローレンツ因子 ! ローレンツ因子の逆数 |- | '''0.000''' | '''1.000''' | '''1.000''' |- | '''0.050''' | 1.001 | 0.999 |- | '''0.100''' | 1.005 | 0.995 |- | '''0.150''' | 1.011 | 0.989 |- | '''0.200''' | 1.021 | 0.980 |- | '''0.250''' | 1.033 | 0.968 |- | '''0.300''' | 1.048 | 0.954 |- | '''0.400''' | 1.091 | 0.917 |- | '''0.500''' | 1.155 | 0.866 |- | '''0.600''' | '''1.250''' | '''0.800''' |- | '''0.700''' | 1.400 | 0.714 |- | '''0.750''' | 1.512 | 0.661 |- | '''0.800''' | 1.667 | '''0.600''' |- | 0.866 | '''2.000''' | '''0.500''' |- | '''0.900''' | 2.294 | 0.436 |- | '''0.990''' | 7.089 | 0.141 |- | '''0.999''' | 22.366 | 0.045 |- | '''0.99995''' | 100.00 | 0.010 |} == 様々な表式 == {{Main|運動量|[[ラピディティ]]}} 上記の表式以外にも、ローレンツ因子は様々な表式で表わすことができる。 上式では速度 {{Mvar|v}} が用いられているが、運動量やラピディティのような関連する[[物理量]]を用いた表式が便利なこともある。 === 運動量 === 上記の相対論的運動量の関係式を {{Mvar|γ}} について解くと以下を得る。 :<math>\gamma = \sqrt{1+\left ( \frac{p}{m_0 c} \right )^2 } </math> この表式が用いられることはほとんどないが、{{仮リンク| マクスウェル・ユトナー分布|en|Maxwell–Jüttner distribution}}に用いられる<ref>Synge, J.L (1957). </ref>。 === ラピディティ === ラピディティの定義、すなわち以下で定義される{{仮リンク|双曲角|en|Hyperbolic angle}} {{Mvar|φ}}<ref>[http://pdg.lbl.gov/2005/reviews/kinemarpp.pdf Kinematics], by J.D. Jackson, See page 7 for definition of rapidity.</ref> :<math> \tanh \varphi = \beta \,\!</math> を用いて {{Mvar|γ}} は([[双曲線関数]]についての恒等式を用いて)以下のように表わされる。 :<math> \gamma = \cosh \varphi = \frac{1}{\sqrt{1 - \tanh^2 \varphi}} = \frac{1}{\sqrt{1 - \beta^2}} \,\!</math> [[ローレンツ変換]]の性質を用いて、ラピディティの加法性を示すことができる。これは速度にはない有用な性質である。従って、ラピディティは物理モデルの基礎となる{{仮リンク|1-パラメータ群|en|One-parameter group}}を成す。 === 級数展開(速度) === ローレンツ因子は下記のように[[二項級数]]の形に[[テイラー展開|マクローリン展開]]できる。 :<math>\begin{align} \gamma & = \dfrac{1}{\sqrt{1 - \beta^2}} \\ & = \sum_{n=0}^{\infty} \beta^{2n}\prod_{k=1}^n \left(\dfrac{2k - 1}{2k}\right) \\ & = 1 + \tfrac12 \beta^2 + \tfrac38 \beta^4 + \tfrac{5}{16} \beta^6 + \tfrac{35}{128} \beta^8 + \cdots \\ \end{align}</math> 上式を二次までで打ち切った近似式 {{Math|''γ'' ≈ 1 + {{Sfrac|1|2}} ''β''{{Sup|2}}}} は低速における相対論効果を計算するために用いられる。 この近似式は {{Math|''v'' < 0.4 ''c'' (''v'' < {{Val|120000|ul=km|upl=s}})}} の範囲において誤差 1% 以下に納まり、 {{Math|''v'' < 0.22 ''c'' (''v'' < {{Val|66000|u=km/s}})}} の範囲においては誤差 0.1% に納まる。 この級数を打ち切った近似式から、[[特殊相対性理論]]が低速域では[[ニュートン力学]]に帰着することを示すことができる。例えば、次の二つの方程式は :<math>\vec p = \gamma m \vec v </math> :<math>E = \gamma m c^2 \,</math> それぞれ {{Math|''γ'' ≈ 1}} および {{Math|''γ'' ≈ 1 + {{Sfrac|1|2}}''β''{{Sup|2}}}} を代入することで次のニュートン力学の方程式に帰着する。 :<math>\vec p = m \vec v </math> :<math> E = m c^2 + \tfrac12 m v^2 </math> ローレンツ因子の方程式を逆に解くと以下を得る。 : <math>\beta = \sqrt{1 - \frac{1}{\gamma^2}} </math> この式は下のような漸近形式に直すことができる。 : <math>\beta = 1 - \tfrac12 \gamma^{-2} - \tfrac18 \gamma^{-4} - \tfrac{1}{16} \gamma^{-6} - \tfrac{5}{128} \gamma^{-8} + \cdots</math> これを初めの2項までで打ち切った近似式 {{Math|''β'' ≈ 1 - {{Sfrac|1|2}}''γ''{{Sup|2}}}} が大きな値の {{Mvar|γ}} から速度を概算することに使われることがある。誤差は {{Math|''γ'' > 2}} の範囲において 1%、 {{Math|γ > 3.5}} の範囲において 0.1% に納まる。 == 天文学における応用 == 長寿命[[ガンマ線バースト]]の標準モデルでは、いわゆる「コンパクトさ」問題を説明するため、この現象が[[超相対論的極限|超相対論的]]爆発({{Mvar|γ}} の初期値がおよそ 100 以上)であるとする。すなわち、超相対論的拡大がなければ放出物は[[対生成]]を起こすほど[[光学的深さ|光学的に厚く]]なるはずであり、初期放射は熱的なエネルギー[[スペクトル]]ではなく典型的に {{Val|100|ul = keV}} 程度にピークのあるスペクトルを持つはずである<ref>Cenko, S. B. et al., ''iPTF14yb: The First Discovery of a Gamma-Ray Burst Afterglow Independent of a High-Energy Trigger'', Astrophysical Journal Letters '''803''', 2015, L24 (6 pp).</ref>。 == 関連項目 == * [[慣性系]] * [[擬ラピディティ]] * {{仮リンク|固有速度|en|Proper velocity}} == 出典 == {{Reflist}} == 外部リンク == * {{cite web|last=Merrifield|first=Michael|title=γ – Lorentz Factor (and time dilation)|url=http://www.sixtysymbols.com/videos/lorentz.htm|work=Sixty Symbols|publisher={{仮リンク|ブラディ・ハーラン|en|Brady Haran}} for the [[ノッティンガム大学|University of Nottingham]]|accessdate=2015-09-09}} * {{cite web|last=Merrifield|first=Michael|title=γ2 – Gamma Reloaded|url=http://www.sixtysymbols.com/videos/gamma_reloaded.htm|work=Sixty Symbols|publisher={{仮リンク|ブラディ・ハーラン|en|Brady Haran}} for the [[ノッティンガム大学|University of Nottingham]]|accessdate=2015-09-09}} {{デフォルトソート:ろれんついんし}} [[Category:方程式]] [[Category:特殊相対性理論]]
このページで使用されているテンプレート:
テンプレート:Cite book
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Cite web
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Lang-en-short
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Main
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Math
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Mvar
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Reflist
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:Val
(
ソースを閲覧
)
テンプレート:仮リンク
(
ソースを閲覧
)
ローレンツ因子
に戻る。
ナビゲーション メニュー
個人用ツール
ログイン
名前空間
ページ
議論
日本語
表示
閲覧
ソースを閲覧
履歴表示
その他
検索
案内
メインページ
最近の更新
おまかせ表示
MediaWiki についてのヘルプ
特別ページ
ツール
リンク元
関連ページの更新状況
ページ情報