円錐曲線のソースを表示

{{出典の明記|date=2021年4月}}
{{参照方法|date=2015年1月}}
[[Image:Conic_sections.png|thumb|200px|right|円錐の切断]]
'''円錐曲線'''（えんすいきょくせん、{{lang-en|conic curve}}）とは、[[円錐|円錐面]]を任意の[[平面]]で[[カット|切断]]したときの[[断面]]、'''円錐断面'''（{{lang-en|conic section}}）として得られる[[曲線]]群の総称である。

== 歴史 ==
古代ギリシャの[[ペルガのアポロニウス|アポロニウス]]が円錐曲線論の体系を著書にまとめ、<ref>{{Cite book |title=円錐曲線論 |url=https://books.google.co.jp/books/about/%E5%86%86%E9%8C%90%E6%9B%B2%E7%B7%9A%E8%AB%96.html?id=CjE0YAAACAAJ&source=kp_book_description&redir_esc=y |publisher=大学教育出版 |date=2008-12 |isbn=978-4-88730-880-0 |language=ja |last=アポッロニオス |last2=ポール・ヴェル・エック}}</ref>中世ヨーロッパでは[[ヨハネス・ケプラー|ケプラー]]によって天体の[[軌道_(力学)|軌道]]との関連が見出された。またアポロニウスによる総合幾何学的な円錐曲線論は[[レオンハルト・オイラー|オイラー]]によって[[解析幾何学]]を用いて現代的に書き換えられた。

== 概要 ==
<gallery>
Image:Conicas1.PNG|楕円
Image:Conicas2.PNG|放物線
Image:Conicas3.PNG|双曲線
Image:AllFourConics.png|断面
Image:Conic Sections.svg|lang=ja|円を含む円錐曲線の図の例（学問によっては、[[円 (数学)|正円]]を円錐曲線に含まない。）
</gallery>
{{clear}}
円錐曲線は、{{Mvar|xy}}[[ユークリッド空間|-平面]] {{Math|'''R'''<sup>2</sup>}} 上で定義され、次の[[陰関数]]曲線によって与えることが出来る。
:<math>Ax^2+Bxy+Cy^2+Dx+Ey+F=0\,</math>
また、任意の2次式 {{Math|''P''(''x'',''y'')}} に対し、{{Math|1=''P''(''x'',''y'') = 0}} が円錐曲線になることから、円錐曲線は'''二次曲線'''とも呼ばれる。

任意の円錐曲線は、適当に[[直交変換]]することによって、次の形のいずれかに変形することができる（括弧内は円錐の切断方法）。
[[画像:conic sections 2.png|400px|right|]]
* 円（全ての母線と交わり、底面に平行な平面で切断）
:<math>X^2+Y^2=r^2 \quad</math>
* [[楕円]]（全ての母線と交わり、底面に平行でない平面で切断）
:<math>pX^2+qY^2=1 \quad</math>
* [[放物線]]（母線に平行な面で切断）
:<math>2pX-qY^2=1 \quad</math>
* [[双曲線]]（母線に平行でない平面で切断）
:<math>pX^2-qY^2=1 \quad</math>
*二直線（軸を全て含む平面で切断）
:<math>pX^2-qY^2=0 \quad</math>
尚、全て {{Math|''p''>0, ''q''>0}} である。上の形の式を円錐曲線の'''標準形'''という。ただし、二直線は退化していると考え、円錐曲線に含まない場合も多い。また、楕円と正円とは円錐曲線の種別としてはしばしば区別を受けない。学問によっては、[[円 (数学)|正円]]を円錐曲線に含まないこともある。
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==共焦点有心円錐曲線族==
{{See also|共焦点円錐曲線}}
次の式を考える。
:<math>\frac{x^2}{a^2-k}+\frac{y^2}{b^2-k}=1 \quad</math>①
ただし、''a'' > 0 , ''b'' > 0 , ''k'' ≠ ''b''<sup>2</sup> , ''k'' < ''a''<sup>2</sup> である。

この式は[[楕円]]の式そして[[双曲線]]の式に似ている。この式は、
:<math>\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1 \quad</math>② に対して
''k'' の値により次の曲線になる。
#''k'' < 0 のとき、②の外側の楕円
#0 < ''k'' < ''b''<sup>2</sup> のとき、②の内側の楕円
#''b''<sup>2</sup> < ''k'' < ''a''<sup>2</sup> のとき、双曲線
になり、焦点は (<math>\pm\sqrt{a^2-b^2}, 0</math>) になる。

上の3つの場合に置いて、楕円と双曲線はともに円錐曲線であり、かつ焦点が同じなので、①は'''共焦点有心円錐曲線族'''（Family of confocal central conics）という。

== 離心率による分類 ==
[[Image:Eccentricity.svg|200px|thumb|right|準線を共有する、いくつかの離心率 ''e'' に対応する円錐曲線]]
[[Image:OrbitalEccentricityDemo.svg|200px|thumb|right|焦点を共有する、いくつかの離心率 ''e'' に対応する円錐曲線]]
別な定義のしかたとして、直線と、その直線上に含まれないような点 {{Math|F}} を取り、点 {{Math|F}} から直線への垂線に対して点 {{Math|F}} のある方向が正と定めそれを {{Math|x}} 軸とする。直線上で点 {{Math|M'}} を動かすとき、その直角位置上で {{Math|1=FM : MM' = ''e'' : 1 (''e'' > 0)}} を満たすような点 {{Math|M}} の集合は円錐曲線を描く。この時、{{Math|FM}} と {{Math|MM'}} の比の値 {{Mvar|e}} を'''[[離心率]]'''といい、直線を'''準線'''、 点 {{Math|F}} を'''焦点'''という。

ここで、焦点 {{Math|F}} を極とする平面[[極座標]] {{Math|(''r'', ''θ'')}} を新たにとれば、動点 {{Math|P}} の[[軌道 (力学)|軌道]]は

:<math>r(\theta) = \frac{l}{1 - e \cos \theta}</math>

という極方程式によって表すことができる。{{Mvar|r}} は線分 {{Math|FM}} の長さ、{{Mvar|&theta;}} は線分 {{Math|FM}} が {{Mvar|x}} 軸となす角度である。この式は、{{Mvar|e}} と {{Mvar|l}} という2つのパラメーターを通じて、楕円・放物線・双曲線の3種の円錐曲線を統一的に表しているといえる。

離心率 {{Mvar|e}} は、描かれる円錐曲線の概形を次のように決定する[[媒介変数|パラメーター]]である。
* {{Math|0 < ''e'' < 1}}： 楕円
* {{Math|1=''e'' = 1}}： 放物線
* {{Math|''e'' > 1}}： 双曲線
他方、{{Mvar|l}} は'''半通径'''または'''半直弦'''と呼ばれるパラメーターで、焦点 {{Math|F}} から準線 {{Math|l}} までの距離に離心率 {{Mvar|e}} を掛けたものである。

なお、この方法で円錐曲線を描画した際、正円は現れない。これが円錐曲線に正円を含まないことがある由来になっているのだが、数学で円錐曲線を考える際は、便宜上 {{Math|1=''e'' = 0}} であるとき円を描くとされる（実際は点となる）。あるいは、準線と焦点を無限に離した極限で円になると考える。

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== 代数構造 ==

円錐曲線 {{Mvar|C}} は[[種数]] 0 をもつ。したがって一変数 {{Mvar|t}} の[[有理関数]] {{Math|''f''(''t''), ''g''(''t'')}} によって
*{{Math|1=''x'' = ''f''(''t''), ''y'' = ''g''(''t'')}}
と表すことができる。{{Mvar|C}} から一点をとり、その点を通る直線と {{Mvar|C}} と交点を求めることでこのような表示を求めることができる。

もし {{Mvar|C}} が[[有理数]]の係数によって定義され、なおかつ[[有理点]]を持てば、{{Math|''f''(''t''), ''g''(''t'')}} は有理係数の有理関数となり、これによってすべての有理点を表す式が得られる。

==脚注==
{{脚注ヘルプ}}
{{Reflist|2}}

== 参考文献 ==
{{Refbegin}}
*{{Cite book|和書|author=田端毅|authorlink=田端毅|coauthors=[[讃岐勝]]・[[礒田正美]]|editor=礒田正美・Maria G. Bartolini Bussi|year=2009|month=12|title=曲線の事典　性質・歴史・作図法|publisher=共立出版|isbn=978-4-320-01907-2|url=http://www.kyoritsu-pub.co.jp/bookdetail/9784320019072|ref={{Harvid|田端|讃岐|礒田|2009}}}}
{{Refend}}

== 関連文献 ==
{{Refbegin|2}}
*{{Cite book|和書|author=アポッロニオス|authorlink=ペルガのアポロニウス|others=[[ポール・ヴェル・エック]] 仏訳、[[竹下貞雄]] 和訳|year=2009|month=1|title=円錐曲線論|publisher=大学教育出版|isbn=978-4-88730-880-0|url=http://www.kyoiku.co.jp/syoseki.cgi?book=106|ref={{Harvid|アポッロニオス|エック|竹下|2009}}}} - 歴史的史料。
*{{Cite book|和書|editor=岩田至康|editor-link=岩田至康|title=幾何学大辞典|year=1982|month=11|publisher=槙書店|volume=第6巻|isbn=4837505139|ref={{Harvid|岩田|1982}}}} - 三角形幾何学に関する文献・四面体幾何学に関する文献：pp.465-484、付：文献。
*{{Cite book|和書|author=奥平浪太郎|authorlink=奥平浪太郎|title=幾何円錐曲線法|year=1893|month=6|publisher=開新堂|id={{NDLJP|828413}}|ref={{Harvid|奥平|1893}}}}
*{{Cite book|和書|author=蟹谷乗養|authorlink=蟹谷乗養|title=円錐曲線|year=1949|publisher=東海書房|series=新高等数学叢書 第21|ncid=BB02747245|ref={{Harvid|蟹谷|1949}}}}
*{{Cite book|和書|author=サーモン|authorlink=ジョージ・サーモン|others=[[小倉金之助]] 訳註|title=解析幾何学　円錐曲線|year=1914|publisher=山海堂出版部|id={{NDLJP|952208}}|ref={{Harvid|サーモン|小倉|1914}}}} - 原タイトル：''A treatise on conic sections.'' 6th ed.
*{{Cite book|和書|author=トドハンター|authorlink=アイザック・トドハンター|others=[[上野清]] 訳、[[川北朝鄰]] 閲|title=軸式円錐曲線法|year=1881|month=7|publisher=東京数理書院|id={{NDLJP|828667}}|ref={{Harvid|上野|1881}}}}
*{{Cite book|和書|author=独来|authorlink=William Henry Drew|others=[[長澤龜之助]] 訳、[[川北朝鄰]] 閲|title=幾何円錐曲線法|year=1886,1890|publisher=東京数理書院|id={{NDLJP|828414}}|ref={{Harvid|長沢|1886,1890}}}} - 付：例題解式及び附図。
*{{Cite book|和書|author=中村滋|authorlink=中村滋 (数学者)|editor1-first=茂|editor1-last=飯高|editor1-link=飯高茂|editor2-first=滋|editor2-last=中村|editor3-first=恒治|editor3-last=岡部|editor3-link=岡部恒治|editor4-first=孝泰|editor4-last=桑田|editor4-link=桑田孝泰|date=2011-12-21|title=円錐曲線　歴史とその数理|series=数学のかんどころ 7|publisher=共立出版|isbn=978-4-320-01987-4|url=http://www.kyoritsu-pub.co.jp/bookdetail/9784320019874|ref={{Harvid|中村|2011}}}}
*{{Cite book|和書|author=ブレーズ・パスカル|authorlink=ブレーズ・パスカル|others=[[原亨吉]] 訳|title=パスカル数学論文集|date=2014-04-09|publisher=筑摩書房|series=ちくま学芸文庫 ハ40-1.[Math & Science]|isbn=978-4-480-09593-0|url=http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480095930/|ref={{Harvid|パスカル|原|2014}}}} - 「円錐曲線試論」を収録。
*{{Cite book|和書|author=前原昭二|authorlink=前原昭二|year=1987|title=基礎数学II|series=放送大学教材23024-1-8611|publisher=日本放送出版協会|isbn=4-14-230241-8|ref={{Harvid|前原|1987}}}}
*{{Cite book|和書|author=向井嘉一郎|authorlink=向井嘉一郎|others=[[川北朝鄰]] 閲|title=軸式円錐曲線法例題解式|year=1883|month=4|publisher=東京数理書院|id={{NDLJP|828668}}|ref={{Harvid|向井|1883}}}}
{{Refend}}

== 関連人物 ==<!--項目の50音順-->
*[[ペルガのアポロニウス|アポロニウス]]
*[[エウクレイデス]]
*[[レオンハルト・オイラー|オイラー]]
*[[ピエール・ド・フェルマー|フェルマー]]
*[[ブレーズ・パスカル|パスカル]]

== 関連項目 ==<!--項目の50音順-->
{{Div col|2}}
*[[幾何学]]
*[[曲線]]
*[[ケプラーの法則]]
*[[双曲線]]
*[[楕円]]
*[[二次曲面]]
*[[放物線]]
*[[ダンドラン球面]]
*[[パスカルの定理]]
{{Div col end}}

== 外部リンク ==
*{{Kotobank|円錐曲線|2=ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典}}
*{{MathWorld|title=Conic Section|urlname=ConicSection}}
*{{MathWorld|title=Conic Section Directrix|urlname=ConicSectionDirectrix}}
*{{MathWorld|title=Conic Section Discriminant|urlname=ConicSectionDiscriminant}}

{{Normdaten}}

{{DEFAULTSORT:えんすいきよくせん}}<!--カテゴリの50音順-->
[[Category:幾何学]]
[[Category:曲線]]
[[Category:円錐曲線|*]]
[[Category:ペルガのアポロニウス]]
[[Category:ヨハネス・ケプラー]]
[[Category:レオンハルト・オイラー]]
[[Category:数学に関する記事]]