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[[数学]]、特に[[集合論]]や[[モデル理論]]において'''定常集合'''(ていじょうしゅうごう、{{lang-en-short|stationary set}})という言葉には少なくとも三つの異なる意味がある。: ==古典的な意味付け== <math> \kappa \,</math>を非可算な[[共終数]]を持つ[[基数]]とするとき、部分集合<math> S \subset \kappa \,</math>が<math> \kappa \,</math>の いかなる[[club集合]]とも交わるならば、<math> S \,</math>を<math> \kappa \,</math>内の'''定常集合'''という。 定常でない集合は非定常集合という。 <math> S \,</math>が定常で<math> C \,</math>がclubなら、その共通部分<math> S \cap C \,</math>はまた定常である。 それは、<math> D \,</math>をclub集合とすると<math> C \cap D \,</math>はclub(二つのclub集合の共通部分はclub)であり、 <math> (S \cap C) \cap D = S \cap (C \cap D) \,</math>は空でない集合となる。 ゆえに、<math> (S \cap C) \,</math>は定常である。 非可算な共終数に制限したのは無意味なものを避けるためである。<math>\kappa</math>の共終数が可算であったとして、 <math>S\subset\kappa</math>が<math>\kappa</math>内で定常であるのは<math>\kappa\setminus S</math>が <math>\kappa</math>内で有界であることと同値である。 特に、<math>\kappa</math>の共終数が <math>\omega=\aleph_0</math>であるなら任意の二つの<math>\kappa</math>の定常集合の共通部分は定常である。 これは<math>\kappa</math>の共終数が非可算なときは起こらない。 実際、<math>\kappa</math>を[[正則基数]]で<math>S\subset\kappa</math>をその中の定常集合とすると、<math>S</math>は<math>\kappa</math>個の互いに交わりのない定常集合に分割できる。この結果は{{仮リンク|ロバート・ソロヴェイ|en|Robert M. Solovay}}によるもので、<math>\kappa</math>が[[後続型基数]]のとき、 このことは[[スタニスワフ・ウラム]]によって、 いわゆる'''ウラム行列'''(Ulam matrix)と呼ばれるものを使って容易に示された。 ==[[トマーシュ・イェフ|イェフ]]による意味付け== <math>[X]^\lambda</math>の部分集合にも定常集合の概念は定義される。 ここで、<math>[X]^\lambda</math>は<math>[X]^\lambda=\{Y\subset X:|Y|=\lambda\}</math>のことである。 <math>S\subset[X]^\lambda</math>が定常であるとは、前者と同様にSが全てのclub集合と交わることをいう。 <math>[X]^\lambda</math>の部分集合がclubであるとは、<math>\subset</math>の下で非有界かつ、 <math>\lambda</math>以下の長さの鎖の合併の下で閉じていることをいう。 この二つの定常集合の概念は一般には異なるが、<math>X=\omega_1 ,\lambda=\aleph_0</math>とすると <math>S\subset[\omega_1]^\omega</math>が定常であることと、 <math>S\cap\omega_1</math>が<math>\omega_1</math>の中で定常であることは一致する。 [[フォドアの補題]]はこの文脈でも同様に流用できる。 ==一般化された意味付け== 三つめの意味は、モデル理論的な概念で、一般化された定常性として参照される。 この概念は{{仮リンク|M. Magidor|en|Menachem Magidor}}, {{仮リンク|M. Foreman|en|Matthew Foreman}}, [[サハロン・シェラハ]]らによるものとされ、[[ヒュー・ウッディン]]によって顕著に使用された。 <math>X</math>Xを空でない集合とする。<math>C\subset{\mathcal P}(X)</math>がclubであるとは、 関数<math>F:[X]^{<\omega}\to X</math>で<math>C=\{z:F[[z]^{<\omega}]\subset z\}</math>を満たすものが存在することを言う。 ここで<math>[y]^{<\omega}</math>は<math>y</math>の有限部分集合全体による集合のことである。 <math>S\subset{\mathcal P}(X)</math>が<math>{\mathcal P}(X)</math>で定常であるとは、Sが<math>{\mathcal P}(X)</math>の全てのclub集合と交わることを言う。 モデル理論との関連を見る。<math>M</math>を対象領域を<math>X</math>とする可算な言語上のストラクチャー、 <math>F</math>が<math>M</math>への[[スコーレム関数]]であるとすると、定常集合<math>S</math>は <math>M</math>の初等部分構造をもつ。 実際、<math>S\subset{\mathcal P}(X)</math>が定常であることは、任意のこのようなストラクチャー<math>M</math>に対して、<math>M</math>の初等部分構造が<math>S</math>に属することと同値である。 == 関連項目 == *[[フォドアの補題]] *[[club集合]] *[[ダイヤモンド原理]] == 参考文献 == Matthew Foreman, ''Stationary sets, Chang's Conjecture and partition theory'', in Set Theory (The Hajnal Conference) DIMACS Ser. Discrete Math. Theoret. Comp. Sci., 58, Amer. Math. Soc. , Providence, RI. 2002 pp. 73–94 File at [https://web.archive.org/web/20050515042933/http://math.uci.edu/sub2/Foreman/homepage/hajfin.ps] == 外部リンク == * {{planetmath reference |id=3228|title=Stationary set}} {{DEFAULTSORT:ていしようしゆうこう}} [[Category:集合論]] [[Category:モデル理論]] [[Category:順序数]] [[Category:数学に関する記事]]
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