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{{Unreferenced|date=December 2009}} [[圏論]]と[[ホモロジー代数]]において'''核'''(かく,{{lang-en-short|kernel}})は、[[群準同型]]の核や[[加群準同型]]の核や他の代数系の[[核 (代数学)|核]]を一般化した圏論的構成である<ref>{{仮リンク|核対|en|kernel pair}}や[[差核]](二項の[[イコライザ (数学)|イコライザ]]とも)も「核」と呼ばれることがあるので注意。関連はあるものの,同じというわけではなく,この記事では議論されない。 </ref>。直観的には,圏の射 {{math|''f'': ''X'' → ''Y''}} の核は、 {{mvar|f}} の右側から合成して 0 になる「最も一般的な」射 {{math|''k'': ''K'' → ''X''}} である。 == 定義 == {{math|'''C'''}} を[[零射]]を持つ圏(category with zero morphisms)または零対象を持つ圏とする。{{math|'''C'''}} の射 {{math|''f'': ''X'' → ''Y''}} の核(kernel)とは、対象 {{mvar|K}} と射 {{math|''k'': ''K'' → ''X''}} の組 {{math|<K , ''k'': ''K'' → ''X''>}} であって以下の条件を満たすものである: * <math>f \circ k</math> は {{mvar|K}} から {{mvar|Y}} への零射である; [[File:First_property_of_the_kernel.svg|center|100px]] * 射 {{math|''k''′: ''K''′ → ''X''}} であって {{math|''f'' ∘ ''k''′}} が零射であるものが[[全称命題|任意に与えられると]],一意的な射 {{math|''u'': ''K''′ → ''K''}} が存在して,{{math|1=''k'' ∘ ''u'' = ''k'''}} と射を分解できる。 [[File:Properties_of_a_kernel.svg|center|200px]] 多くの{{仮リンク|具体圏|label=具体的な|en|concrete category}}文脈において,射 {{mvar|k}} よりも対象 {{mvar|K}} を「核」と呼んでいることに注意。それらの状況では,{{mvar|K}} は {{mvar|X}} の[[部分集合]]であり,{{mvar|k}} を[[包含写像]]として再構成すれば十分である;具体的でない場合には,対照的に,{{mvar|K}} が {{mvar|X}} の[[部分対象]]として''どのように''解釈されるべきかを記述するために射 {{mvar|k}} が必要である。任意の場合において,{{mvar|k}} が必ず(圏論の意味で)[[単射 (圏論)|単射]]であることを示すことができる。{{mvar|K}} あるいは {{mvar|k}} 単独ではなく対 {{math|(''K'', ''k'')}} として核を考えたいこともある。 すべての射が核を持つわけではないが,持つときにはすべてのその核は強い意味で同型である:{{math|''k'': ''K'' → ''X''}} と {{math|''l'': ''L'' → ''X''}} が {{math|''f'': ''X'' → ''Y''}} の核であるとき,一意的な[[同型射]] {{math|''φ'': ''K'' → ''L''}} が存在して {{math|1=''l'' ∘ ''φ'' = ''k''}} となる。 ; 等化子(イコライザ;equalizer)を用いた定義 圏 {{math|'''C'''}} の射 {{math|''f'': ''X'' → ''Y''}} に対して、{{mvar|f}} の'''核'''は {{mvar|f}} と {{mvar|X}} から {{mvar|Y}} への零射の[[等化子]]としても定義できる。記号で書けば, :{{math|1=ker(''f'') = eq(''f'', 0<sub>''XY''</sub>)}} である。 == 例 == 核は[[抽象代数学]]からの多くの圏,例えば[[群 (数学)|群]]の圏や固定された[[環 (数学)|環]]上の(左)[[環上の加群|加群]](固定された[[可換体|体]]上の[[ベクトル空間]]を含む)の圏において,よく知られている。明確には,{{math|''f'': ''X'' → ''Y''}} がこれらの圏の1つの[[準同型]]であり,{{mvar|K}} がその通常の代数的な意味での[[核 (代数学)|核]]であるとき,{{mvar|K}} は {{mvar|X}} の[[部分代数系]]であり,{{mvar|K}} から {{mvar|X}} への包含準同型が圏論の意味での核である。 [[モノイド]]の圏においては,圏論的核は群に対してとちょうど同じように存在するが,これらの核は代数的な目的のためには十分な情報を持っていないことに注意。したがって,モノイド論において研究される核の概念はわずかに異なる([[#代数的核との関係]]を参照)。 [[環の圏]] {{mathbf|Ring}} において,圏論的な意味での核は存在しない;実際,この圏は零射すらもたない。それにも拘らず,[[擬環の圏]] {{mathbf|Rng}} における核に対応する,環論において研究される核の概念はある。 [[基点付き空間|基点付き位相空間]]の圏において,{{math|''f'': ''X'' → ''Y''}} が基点付き連続写像であるならば,基点の原像 {{mvar|K}} は {{mvar|X}} の部分空間である。 {{mvar|K}} から {{mvar|X}} への包含写像は {{mvar|f}} の圏論的核である。 <!-- ''We have plenty of algebraic examples; now we should give examples of kernels in categories from [[topology]] and [[functional analysis]].'' --> == 他の圏論的概念との関係 == 核の双対概念は[[余核]]である。つまり,射の核は[[逆圏]]におけるその余核であり,逆もまたしかり。 上でのべたように,核は二項等化子あるいは[[差核]]のタイプである。逆に,[[前加法圏]]において,すべての二項等化子は核として構成できる。具体的に言うと,射 {{mvar|f}} と {{mvar|g}} の等化子は[[差]] {{math|''g'' − ''f''}} の核である。記号では :{{math|1=eq (''f'', ''g'') = ker (''g'' − ''f'')}} である。二項等化子が射が引けない前加法でない圏においてさえ「差核」とよばれるのはこの事実のためである。 任意の核は,他の等化子がそうであるように,[[単射 (圏論)|単射]]である。逆に,単射が{{仮リンク|正規射|label=''正規''|en|normal morphism}}であるとは,ある射の核であることをいう。圏が''正規''であるとはすべての単射が正規であることをいう。 とくに[[アーベル圏]]はつねに正規である。この状況では任意の射の[[余核]]の核(アーベル圏では常に存在する)はその射の[[像 (圏論)|像]]であることがわかる;記号では :{{math|1=im ''f'' = ker coker ''f''}} (アーベル圏において)。 {{mvar|m}} が単射であるとき,それはそれ自身の像でなければならない;したがって,アーベル圏は正規でありしたがってすべての単射が核であるだけではなく,単射が''どの''射の核であるかも知っている,つまりその余核の核である。記号では :{{math|1=''m'' = ker (coker ''m'')}} (アーベル圏における単射に対して)。 == 代数的核との関係 == [[普遍代数学]]は同じ種類の2つの[[代数的構造]]の間の準同型に対して[[核 (代数学)|核の概念]]を定義する。核のこの概念は与えられた準同型が[[単射]]からどれだけ離れているかを測る。この代数的な概念と核の圏論的な概念の間にはいくらか重なりがある,なぜならばどちらも上で述べた群や加群の状況を一般化するからである。しかしながら,一般には,核の普遍代数学的な概念は {{仮リンク|核対|en|kernel pair}} という圏論的な概念の方に近い。とくに,核対は圏論的なことばでモノイド論や環論における核を解釈するのに使うことができる。 == 脚注 == <references /> == 関連項目 == * [[余核]] == 参考文献 == * {{cite book | author=Barry Mitchell | title=Theory of categories | year=1965 | publisher=academic press New York and London | series=Pure and applied mathematics | volume=17 | ref=Mitchell(1965) }} {{圏論}} {{DEFAULTSORT:かく けんろん}} [[Category:ホモロジー代数]] [[Category:数学に関する記事]] [[Category:射]]
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