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'''極限定理'''(きょくげんていり,{{lang-en-short|limit theorems}})とは[[塑性変形]]における[[極限解析]]の基礎となる定理で、'''上界定理'''(じょうかいていり、Upper bound theorem)と'''下界定理'''(かかいていり、Lower bound theorem)がある。また、確率・統計学では、[[中央極限定理]]がある。中央極限定理の特別な場合が、Laplaceの極限定理(ラプラスの定理)である<ref>伏見康治「確率論及統計論」,1948 復刻版 1998 ISBN 978-4874720127 p.186</ref>。 上界定理と下界定理により定式化された極限解析から、極限荷重の上界値と下界値をそれぞれ求めることができる。もし、極限荷重の上界値と下界値が一致すれば、それが真の極限荷重となる。構造が複雑になり、極限荷重の上界値と下界値が一致しなくても、真の極限荷重はそれらの間にあることが分かるので、およその値は推測できる。 == 上界定理 == [[物体力]]を''f<sub>i</sub>'' 、[[応力]]境界面の[[表面力]]を''T<sub>i</sub>'' 、変位速度を<math>\dot{u}_i</math>、[[ひずみ]]速度を<math>\dot{\varepsilon}_{ij}</math>とする。 外力(''f<sub>i</sub>'' , ''T<sub>i</sub>'' )との仕事率が正となる、変位速度境界条件と変形の[[ひずみ#適合条件式|適合条件]]を満たす(運動学的に許容な)<math>\dot{u}_i, \dot{\varepsilon}_{ij}</math>について、以下の式を与える。 :<math>\alpha \Bigl\{\int_V f_i \dot{u}_i dV + \int_{S_{\sigma}} T_i\dot{u}_i dS \Bigr\} = \int_V \sigma_{ij}\dot{\varepsilon}_{ij}dV</math> このとき、αは真の崩壊荷重係数α<sup>*</sup> の上界値を与える。すなわち、 :<math>\alpha \geq \alpha^*</math> となる。ただし、応力σ<sub>''ij''</sub> は、与えられたひずみ速度<math>\dot{\varepsilon}_{ij}</math>に対して、直交則を満たす応力場である。 上界定理による極限解析は、運動学的制約条件(変形の適合条件と[[流れ則]])と外力仕事率が 1 であるという条件の下で、[[内部消散率]]を最小化する[[最適化問題]]に帰着する。 == 下界定理 == 与えられた荷重系について、釣り合い式と応力境界条件を満たす([[応力#平衡方程式|静力学的許容]]な)応力場が、[[降伏 (物理)|降伏]]条件を破らない([[静力学的可容]]な)とき、荷重係数は真の崩壊荷重係数の下界値を与える。すなわち、 :<math>\alpha \leq \alpha^*</math> となる。ここで、αは荷重係数、α<sup>*</sup> は真の崩壊荷重係数である。 下界定理による極限解析は、静力学的制約条件(力の釣り合い式と降伏条件)の下で、荷重係数を最大化する[[最適化問題]]に帰着する。 == 脚注 == {{脚注ヘルプ}} {{Reflist}} == 参考文献 == {{参照方法|date=2013年12月29日 (日) 07:17 (UTC)}} *{{Cite book|和書 |author=小林昭一|authorlink=小林昭一 |title=構造力学(上) |publisher=[[培風館]] |year=1990 }} *{{Cite book|和書 |author=岡二三夫|authorlink=岡二三夫 |title=土質力学 |publisher=[[朝倉書店]] |year=2003 }} *{{Cite journal|和書 |author=[[田村武]] |title=数値解析法総論 |journal=地盤力学数値解析-“限界状態”の予測手法を中心として |publisher=(社)[[土質工学会]]関西支部 |year=1986 }} *{{Cite journal|和書 |author=田村武 |title=剛塑性有限要素法の基礎と適用 |journal=地盤力学数値解析-“限界状態”の予測手法を中心として |publisher=(社)土質工学会関西支部 |year=1986 }} * {{Cite book|和書|author=伏見康治|authorlink=伏見康治|year=1942|title=[[確率論及統計論]]|publisher=河出書房|isbn=9784874720127}} ==関連項目== *[[降伏 (物理)]] *[[流れ則]] *[[最適化問題]] *[[塑性]] {{DEFAULTSORT:きよくけんていり}} [[Category:塑性]]
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