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{{refimprove|date=November 2012}} [[数学]]において、いくつかの[[環 (数学)|環]]を1つの大きい'''直積環'''(ちょくせきかん)、'''積環''' (せきかん、{{Lang-en-short|product ring}}) に合併することができる。これは次のようにされる: ''I'' がある[[添字集合|添え字集合]]で ''R<sub>i</sub>'' が ''I'' のすべての ''i'' に対して環であれば、[[カルテジアン積]] {{nowrap|Π<sub>''i'' ∈ ''I''</sub> ''R''<sub>''i''</sub>}} は演算を 成分ごとの演算として定義することによって環にできる。 得られる環は環 ''R''<sub>''i''</sub> の'''直積''' ({{Lang-en-short|links=no|direct product}}) と呼ばれる。有限個の環の直積は環の[[直和]]{{Enlink|direct sum|s=off}}と一致する。 == 例 == 重要な例は[[整数]]の ''n'' を[[合同算術|法]]とした環 '''Z'''/''n'''''Z''' である。''n'' が[[素数]]のベキの積 <math display="block">n=p_1^{n_1}\ p_2^{n_2}\ \cdots\ p_k^{n_k}</math> ただし ''p<sub>i</sub>'' は相異なる素数、として書かれていれば([[算術の基本定理]]を見よ)、'''Z'''/''n'''''Z''' は自然に直積環 <math display="block">\mathbf{Z}/p_1^{n_1}\mathbf{Z} \ \times \ \mathbf{Z}/p_2^{n_2}\mathbf{Z} \ \times \ \cdots \ \times \ \mathbf{Z}/p_k^{n_k}\mathbf{Z}</math> と[[同型]]である。これは[[中国剰余定理]]から従う。 == 性質 == {{nowrap|1=''R'' = Π<sub>''i'' ∈ ''I''</sub> ''R''<sub>''i''</sub>}} が環の積であれば、すべての ''i'' ∈ ''I'' に対して、''i'' 番目の座標に積を射影する[[全射]][[環準同型]] {{nowrap|''p<sub>i</sub>'': ''R'' → ''R<sub>i</sub>''}} がある。射影 ''p<sub>i</sub>'' とともに積 ''R'' は、以下の[[普遍性]]をもっている: {{Indent|''S'' が任意の環で {{nowrap|''f<sub>i</sub>'': ''S'' → ''R<sub>i</sub>''}} がすべての ''i'' ∈ ''I'' に対して環準同型であれば、''ちょうど1つの''環準同型 {{nowrap|''f'': ''S'' → ''R''}} が存在してすべての ''i'' ∈ ''I'' に対して {{nowrap|1=''p<sub>i</sub>'' ∘ ''f'' = ''f<sub>i</sub>''}} である。}} これは環の積が[[積 (圏論)|圏論の意味での積]]の例であることを示している。しかしながら、''I'' が有限のときには環の直和とも呼ばれるにもかかわらず、環の直積は圏論の意味で[[余積]]ではない。とくに、''I'' が1つより多くの元をもっていれば、包含写像 {{nowrap|''R<sub>i</sub>'' → ''R''}} は環準同型ではない、なぜならばそれは ''R<sub>i</sub>'' の単位元を ''R'' の単位元に写さないからだ。 各 ''i'' ∈ ''I'' に対して ''A<sub>i</sub>'' が ''R<sub>i</sub>'' の[[イデアル]]であれば、{{nowrap|1=''A'' = Π<sub>''i'' ∈ ''I''</sub> ''A<sub>i</sub>''}} は ''R'' のイデアルである。''I'' が有限であれば、逆が正しい、すなわち ''R'' のすべてのイデアルはこの形である。しかしながら、''I'' が無限で環 ''R<sub>i</sub>'' が 0 でなければ、逆は間違いである。有限個を除いてすべてが 0 でない座標の元全体の集合は ''R<sub>i</sub>'' たちのイデアルの直積ではないイデアルをなす。''A<sub>i</sub>'' の1つを除くすべてが ''R<sub>i</sub>'' に等しく残りの ''A<sub>i</sub>'' が ''R<sub>i</sub>'' の素イデアルであれば、イデアル ''A'' は ''R'' の[[素イデアル]]である。しかしながら、''I'' が無限のとき逆は正しくない。例えば、''R<sub>i</sub>'' の[[加群の直和|直和]]はどんなそのような ''A'' にも含まれないイデアルをなすが、[[選択公理]]によって、[[:en:a fortiori|a fortiori]] に素イデアルである[[極大イデアル]]に含まれる。 ''R'' の元 ''x'' が単元であることとその 成分 のすべてが単元であることは同値である、すなわち {{nowrap|''p<sub>i</sub>''(''x'')}} がすべての ''i'' ∈ ''I'' に対して ''R<sub>i</sub>'' の単元であることは同値である。''R'' の単元群は ''R<sub>i</sub>'' の単元[[群の直積]]である。 1 つよりも多い 0 でない環の積は常に[[零因子]]をもつ: ''x'' が {{nowrap|''p<sub>i</sub>''(''x'')}} を除いて座標がすべて 0 の積の元で ''y'' が {{nowrap|''p<sub>i</sub>''(''x'')}} を除いて座標がすべて 0 の積の元 ({{nowrap|''i'' ≠ ''j''}}) であれば、積環において {{nowrap|1=''xy'' = 0}} である。 == 参考文献 == *{{Citation | last=Herstein | first=I.N. | author-link=Israel Nathan Herstein | title=Noncommutative rings | year=2005 | publisher=[[Cambridge University Press]] | edition=5th | isbn=978-0-88385-039-8 | origyear=1968 }} *{{Lang Algebra|edition=3r|page=91}} == 関連項目 == * [[直積]] ([[:en:Direct product|Direct product]]) {{DEFAULTSORT:かんのちよくせき}} [[Category:環論]] [[Category:二項演算]] [[Category:数学に関する記事]]
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