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[[圏論]]という[[数学]]の分野において,'''部分対象'''(ぶぶんたいしょう,{{lang-en-short|subobject}})は,大まかに言って,同じ[[圏 (数学)|圏]]の別の対象の中にいる対象である.この概念は,[[集合論]]における[[部分集合]],[[群論]]における[[部分群]],{{疑問点範囲|[[位相空間論]]における[[部分位相空間]]|date=2018年11月}}などの概念の一般化である<ref name="Mac Lane">Mac Lane, p. 126</ref>.対象の詳細な構造は圏論では重要でないから,部分対象の定義は,元を使わず,対象が別の対象の中にどのようにいるかを記述する[[射]]に依る. 部分対象の[[双対 (圏論)|双対]]概念は'''商対象'''(しょうたいしょう,{{lang-en-short|quotient object}})である.これは[[商集合]],[[商群]],[[商位相空間]]などの概念を一般化する. ==定義== 詳しくは,{{mvar|A}} をある圏の対象とする.余域を {{mvar|A}} とする2つの[[単射 (圏論)|単射]] :{{math|''u'': ''S'' → ''A''}} :{{math|''v'': ''T'' → ''A''}} が与えられたとき,{{math|''u'' ≤ ''v''}} とは,{{mvar|u}} が {{mvar|v}} {{仮リンク|を通して分解する|en|Mathematical jargon#factor through}}こととする,つまり,ある {{math|''w'': ''S'' → ''T''}} が存在して <math>u = v \circ w</math> とする.次で定義される二項関係 {{math|≡}}: :{{math|''u'' ≡ ''v''}} ⇔ {{math|''u'' ≤ ''v''}} かつ {{math|''v'' ≤ ''u''}} は余域を {{mvar|A}} とする単射上の[[同値関係]]であり,これらの単射の対応する同値類は {{mvar|A}} の'''部分対象''' (subobject) である.2つの単射が {{mvar|A}} の同じ部分対象を表すとき,それらの始域は同型である.{{mvar|A}} を余域とする単射の集まりに関係 {{math|≤}} をいれたものは[[前順序]]をなすが,部分対象の定義は {{mvar|A}} の部分対象の集まりが[[半順序]]であることを保証する.(ある対象の部分対象の集まりは実は[[真クラス]]かもしれない;なのでこの議論は少々不正確である.任意の対象の部分対象の集まりが[[集合]]であるとき,圏は ''well-powered'' である.) 商対象という双対概念を得るには,''単射''を''全射''に置き換え射の向きを逆にすればよい. ==例== 圏 {{math|'''Set'''}} において,{{mvar|A}} の部分対象は {{mvar|A}} の部分集合 {{mvar|B}} に対応する,あるいは正確には,像がちょうど {{mvar|B}} であるような {{mvar|B}} に [[等濃|equipotent]] な集合からのすべての写像の集まりである.{{math|'''Set'''}} の集合の部分対象の半順序はちょうどその部分集合束である.類似の結果は {{math|'''Grp'''}} やいくつかの他の圏でも成り立つ. 半順序クラス {{math|'''P'''}} が与えられたとき,{{math|'''P'''}} の元を対象とし,1つの対象(元)が別の対象以下のときに前者から後者にただ1つの射があるような圏を作れる.{{math|'''P'''}} が最大元を持てば,この最大限の部分対象半順序は {{math|'''P'''}} 自身である.理由の1つとしては,そのような圏の全ての射は単射であるからである. [[終対象]]の部分対象は{{仮リンク|部分終対象|en|subterminal object}}と呼ばれる. ==関連項目== *{{仮リンク|Subobject classifier|en|Subobject classifier}} *{{仮リンク|Mereology|en|Mereology}} *{{仮リンク|Subquotient|en|Subquotient}} ==脚注== {{reflist}} ==参考文献== * {{citation | last=Mac Lane | first=Saunders | authorlink=Saunders Mac Lane | title=[[Categories for the Working Mathematician]] | edition=2nd | series=[[Graduate Texts in Mathematics]] | volume=5 | location=New York, NY | publisher=[[Springer-Verlag]] | year=1998 | isbn=0-387-98403-8 | zbl=0906.18001 }} * {{cite book | editor1-last=Pedicchio | editor1-first=Maria Cristina | editor2-last=Tholen | editor2-first=Walter | title=Categorical foundations. Special topics in order, topology, algebra, and sheaf theory | series=Encyclopedia of Mathematics and Its Applications | volume=97 | location=Cambridge | publisher=[[Cambridge University Press]] | year=2004 | isbn=0-521-83414-7 | zbl=1034.18001 }} {{DEFAULTSORT:ふふんたいしよう}} [[Category:対象 (圏論)]] [[Category:数学に関する記事]]
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