フォワード測度
フォワード測度(フォワードそくど、テンプレート:Lang-en-short)とは、数理ファイナンスにおいて、リスク中立測度と絶対連続である価格付けの測度である。しかし、テンプレート:仮リンクとしてマネーマーケットアカウントを使わず、満期が T である債券が用いられている(特に満期を明示して T–フォワード測度と言う事も多い)。フォワード測度の利用はテンプレート:仮リンクにより1987年に始められ、テンプレート:仮リンクの価格計算の方法として用いられている[1]。
数学的定義
以下の記述はテンプレート:Harvnbに基づく。
まずニュメレールとしての銀行口座、もしくはマネーマーケットアカウントを以下のように定義する。
更に時点0から満期 T までの割引ファクターを以下のように定義する。
もし がリスク中立測度ならば、フォワード測度 はラドン–ニコディム微分として以下のように与えられる。
上の式は利子率が非確率的ならばフォワード測度とリスク中立測度は一致することを意味している。また、ニュメレールを銀行口座もしくはマネーマーケットアカウント B(t) から満期 T の債券 P(t,T) に変えた際のニュメレール変換公式の一つでもある。実際、時点 t における満期 T のゼロクーポン債価格が
と書けるならば( は時点 t における市場の情報を表すフィルトレーションである)、
と書ける。この式より、T–フォワード測度はテンプレート:仮リンクとしての満期 T のゼロクーポン債と関連していることが明確になる。 より詳細な議論についてはテンプレート:Harvnbを参照せよ。
結果
"フォワード測度"の名前は、フォワード測度の下でテンプレート:仮リンクがマルチンゲールとなることに由来している。この事実は、フォワード測度を正式に定義したとされる、テンプレート:Harvnb によって最初に見出された[2]。リスク中立測度の下でマルチンゲールとなる先物価格と比べると、利子率が非確率的であるならば、フォワード測度は先渡価格と先物価格は一致する事を意味している。
例えば、割引株式価格はリスク中立測度の下でマルチンゲールである。
先渡価格は で与えられる。よって が得られる。ラドン–ニコディム微分 と等式 を用いれば
となる。最後の項は債券価格の定義より1と等しいので以下が得られる。