近接性

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近接性(きんせつせい、テンプレート:Lang-en)とは、近づきやすさを示す概念でテンプレート:Sfn地理学で用いられてきたテンプレート:Sfn。空間的側面を踏まえた地域構造の把握を行う上で用いられる測度の1つでテンプレート:Sfnグラフ理論の見方に基づくと、2つのノード間での相対的な近づきやすさとみなせるテンプレート:Sfn

近接性の概念は交通ネットワークの分析において利用できるテンプレート:Sfn。そのためには、交通ネットワークをノード(交通結節点にあたる)とリンク(交通路にあたる)で表示できるようにすることが求められるテンプレート:Sfn

このほか、産業立地分析、買物行動モデル、都市計画地域計画地域経済などで近接性の概念を利用できるほかテンプレート:Sfn、政策や企業活動の実行の上での有用なツールにもなるテンプレート:Sfn

分類

テンプレート:Harvtxtによると、近接性は、特定2地点間の近づきやすさを示す相対的近接性テンプレート:En)と、特定1地点を基準とした地域全体への近づきやすさを示す積分的近接性テンプレート:En)の2つに分けられるテンプレート:Sfn。両者の関係性は以下の式で表されるテンプレート:Sfn

Ai=j=1naij

ここで、aijは地点ij間の距離すなわち相対的近接性、Aiは地点iの積分的近接性であるテンプレート:Sfn

近接性の分析の研究では、地域全体を考慮した積分的近接性を扱うことが多いテンプレート:Sfn。なお、相対的近接性は、空間的相互作用の研究として行われ得るテンプレート:Sfn

研究史

広義には、ヨハン・ハインリヒ・フォン・チューネンの『孤立国』でも近接性の概念が用いられたとされるテンプレート:Sfn。近接性を定量的に分析した最古の研究として、アルフレート・ヴェーバー工業立地論ウィリアム・J・ライリー小売引力モデルが挙げられるテンプレート:Sfn。その後、積分的近接性を取り上げた最古の研究として、テンプレート:仮リンクによる人口ポテンシャルの測定が挙げられるテンプレート:Sfn

1990年代以降は、地理情報システムを利用した研究がよく行われるようになったテンプレート:Sfn

測度

近接性の測度として、テンプレート:Harvtxtをもとに一部修正して、ネットワークに基づく測度、ポテンシャル測度、累積機会に基づく測度の3つに分類することができるテンプレート:Sfn

ネットワークに基づく測度

ネットワークに基づく測度では、近接性は以下の式で求められるテンプレート:Sfn

Ai=j=1ndij

ただし、Aiは地域iの近接性、dijは地域ij間距離、nは地区数であるテンプレート:Sfn

ネットワークが、トポロジカルなネットワーク(ノードとリンクのみ)か有値ネットワーク(リンクに属性データを含む)かで、dijの扱いが異なるテンプレート:Sfn。前者では交通・通信による地域間結合の影響を考慮しないが、後者では影響が考慮されるテンプレート:Sfn

ポテンシャル測度

ポテンシャル測度として、以下のものが挙げられる。

重力モデル測度は、重力モデルや人口ポテンシャルをもとにした測度であり、以下の式で表されるテンプレート:Sfn

Ai=j=1nPjdijα

ただし、Pjは地域jにおける吸引力変数、dijは地域ij間の距離、αは距離減衰パラメータであるテンプレート:Sfn

この測度では、Aiが大きいほど、近接性も大きくなるテンプレート:Sfn

輸送コスト測度は、輸送コストを考慮した測度であり、以下の式で表されるテンプレート:Sfn

Ai=j=1nPjTij

この測度では、Aiが小さいほど、近接性も大きくなるテンプレート:Sfn

接触ポテンシャル測度は、時間地理学の概念を用いてテンプレート:Sfn、特定の都市の有効滞在時間に着目した測度で、以下の式で表されるテンプレート:Sfn

Ai=j=1nTijPj

ここで、Aiは都市iにおける接触ポテンシャル型近接性、Tijは、都市jからの都市iの訪問者の有効滞在時間、Pjは都市jの人口であるテンプレート:Sfn

累積機会に基づく測度

累積機会に基づく測度は、対象地域から一定距離以内の吸引力変数(テンプレート:En)の総和で求められるテンプレート:Sfn。以下の式で表示されるテンプレート:Sfn

Aik=j[dijD]Ojk

ただし、Aikは、地域i 属性kの吸引力変数に対する近接性、Ojkは、地域j 属性kの吸引力変数、dijは地域ij間距離、Dは近接性を計算する上での限界距離であるテンプレート:Sfn

地理情報システムの影響

1990年代以降は、地理情報システム(GIS)を利用した研究がよく行われるようになったテンプレート:Sfn。GISは近接性の分析に要する作業量と作業時間を大きく減らし、精密な分析を可能にしたテンプレート:Sfn。GISの使用により、分析対象地域の広域化、対象地域のミクロな分析、道路距離・時間距離・費用距離の測定、複数の交通手段の利用時の分析、結果の可視化などが可能となったテンプレート:Sfn

この他、今まで計算機の性能上困難だった、時間地理学の概念を利用した時空間測度(個々の生活行動に基づく近接性)の分析も行えるようになったテンプレート:Sfn

脚注

テンプレート:Reflist

参考文献