ヨウ化水銀(I)

ヨウ化水銀(I)（ヨウかすいぎん(I)、Mercury(I) iodide）は、化学式が Hg₂I₂ と表される水銀のヨウ化物である。感光性があり、容易に金属水銀とヨウ化水銀(II)に分解する。

合成

ヨウ化水銀(I)は、水銀とヨウ素から直接合成することができる。

$\text{2Hg}+\mathrm{I}{\phantom{A}}_2⟶\mathrm{H}\mathrm{g}{\phantom{A}}_2\mathrm{I}{\phantom{A}}_2$

構造

一般に一価水銀（Hg(I)）の化合物は直線形の $\mathrm{X}-\mathrm{H}\mathrm{g}-\mathrm{H}\mathrm{g}-\mathrm{X}$ の単位構造を持つが、 $\mathrm{H}\mathrm{g}{\phantom{A}}_2\mathrm{I}{\phantom{A}}_2$ も同様に直線形の $\mathrm{I}-\mathrm{H}\mathrm{g}-\mathrm{H}\mathrm{g}-\mathrm{I}$ の単位構造を持つ。$\mathrm{H}\mathrm{g}-\mathrm{H}\mathrm{g}$ の結合長は272 pm（金属中のHg-Hgの結合長は300 pm）で、$\mathrm{I}-\mathrm{H}\mathrm{g}$ の結合長は268 pmである。全体的にそれぞれのHg原子は八面体形構造をとり、2番目に近い4個のI原子との距離は351 pmである。この化合物はしばしば $\mathrm{H}\mathrm{g}{\phantom{A}}_2{\phantom{A}}^{2+}2\mathrm{I}{\phantom{A}}^{-}$ と説明される。

用途

ヨウ化水銀(I)は以前は医療に使われたが、現在はその毒性のため全く使われていない。

関連項目

• ヨウ化水銀(II)

テンプレート:ヨウ化物 テンプレート:水銀の化合物