ソロモン方程式

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核磁気共鳴分光法にけるソロモン方程式(ソロモンほうていしき、テンプレート:Lang-en-short)は、2つのスピンからなる系の双極子緩和過程を記述する。これは以下の微分方程式の形式を取る[1]

dI1zdt=Rz1(I1zI1z0)σ12(I2zI2z0)

dI2zdt=Rz2(I2zI2z0)σ12(I1zI1z0)

dI1zI2zdt=Rz122I1zI2z

これらは異なるスピン状態の占有率が自己緩和速度定数Rおよびσ12(交差緩和の場合)の強度に関してどのように変化するかを記述する。後者は重要な項であり、あるスピンから他のスピンへの磁化の移動の原因であり、核オーバーハウザー効果 (nOe) を生じる。

nOe実験では、スピンの一つの磁化(スピン2)が選択的パルス系列を印加することで反転される。その短時間後におけるスピン1で得られる磁化は、エネルギーレベルの占有率に有意な変化が起きる時間がないため、

dI1zdt=Rz1(I1z0I1z0)σ12(I2z0I2z0)=2σ12I2z0

となる。時間に関して積分すると以下の式が得られる。

I1z(t)=2σ12tI2z0+I1z0

この結果、スペクトル上のスピン1のシグナルの増大が起きる。通常、スピン2の磁化の反転を行わないスペクトルを記録し、2つの実験のシグナルを差し引く。最終的に得られた差スペクトルではnOe増大のあるピークのみが見られ、どのスピンが分子中で空間的に近接しているか(顕著なσ12交差緩和因子を持つもの)を知ることができる[2]

脚注