二重交換団

数学の代数学の分野において、ある（多元環や群のような）半群の部分集合 S の二重可換子環（にじゅうかかんしかん、テンプレート:Lang-en-short）とは、その部分集合の可換子環の可換子環のことを言う。双可換子環や第二可換子環とも呼ばれ、$S^{\prime \prime }$ と表記される。

二重可換子環は、作用素環の代数的構造と解析的構造 とを関連付けるテンプレート:仮リンクの存在により、作用素論の分野において特に有用となる。特に、M をあるヒルベルト空間 H に対するC*-環 B(H) 内の単位的（unital）な自己共役作用素環とすると、M の弱閉包と強閉包および二重可換子環は等しくなる。このことから、B(H) のある単位的なC*-部分環 M がフォン・ノイマン環であるための必要十分条件は、$M=M^{\prime \prime }$ であることが分かる。またこの等式が成り立たないなら、フォン・ノイマン環が $M^{\prime \prime }$ を生成する。

S の二重可換子環は常に S を含む。したがって $S^{\prime \prime \prime }=(S^{\prime \prime }{)}^{\prime }\subseteq S^{\prime }$ が成立する。一方、$S^{\prime }\subseteq (S^{\prime }{)}^{\prime \prime }=S^{\prime \prime \prime }$ も成立する。したがって $S^{\prime }=S^{\prime \prime \prime }$ が成り立ち、S の二重可換子環の可換子環は、S の可換子環と等しいことが分かる。帰納的に、次が成り立つ。

$S^{\prime }=S^{\prime \prime \prime }=S^{\prime \prime \prime \prime \prime }=\dots =S^{2n-1}=\dots$

および

$S\subseteq S^{\prime \prime }=S^{\prime \prime \prime \prime }=S^{\prime \prime \prime \prime \prime \prime }=\dots =S^{2n}=\dots$

ただし n > 1 とする。

S₁ および S₂ をある半群の部分集合とすると、次が成り立つのは明らかである。

$(S_1\cup S_2{)}^{\prime }={S_1}^{\prime }\cap {S_2}^{\prime }.$

また $S_1={S_1}^{″}$ および $S_2={S_2}^{″}$ を仮定すると（これは例えばフォン・ノイマン環に対して成り立つ）、上の等式より次式が得られる。

$({S_1}^{\prime }\cup {S_2}^{\prime }{)}^{″}=({S_1}^{″}\cap {S_2}^{″}{)}^{\prime }=(S_1\cap S_2{)}^{\prime }.$

関連項目

• テンプレート:仮リンク