アトキンソン・スティグリッツの定理

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アトキンソン・スティグリッツの定理(En:Atkinson-Stiglitz theorem)は、最適な税制を達成するためには間接税は必要であることを示した定理である[1]アンソニー・アトキンソンジョセフ・スティグリッツの名を冠したこの定理は公共経済学における最重要定理の一つである。

基本形式

ここに二つの集団があるとする。グループ1とグループ2とする。後者が能力的弱者とする[2]。その場合政府が税制度のパレート最適性を達成するために、 まずグループ2の効用が所与の水準もしくはそれより大であるという条件を課す。

U1V1(C1,Y1)

さらに政府は税収の最大値を設定し、税収がその最大税収と等しいかそれよりも多くなるような条件を課す。

R=(C1Y1)N1(C2Y2)N2
RR

これらの条件の下で政府はグループ1の効用を最小化する必要がある。

最適値を調べるための基本関数の形式は以下のように与えられ、

=V2(C2,Y2)+μV1(C1,Y1)+λ2(V2(C2,Y2)V2(C1,Y1))+λ1(V1(C1,Y1)V1(C2,Y2))+γ((C1Y1)N1(C2Y2)N2R),

最適解を得るための基本条件は

μV1C1λ2V2C1+λ1V1C1γN1=0,
μV1Y1λ2V2Y1+λ1V1Y1+γN1=0,
V2C2+λ2V2C2λ1V1C2γN2=0,
V2Y2+λ2V2Y2λ1V1Y2+γN2=0

となる。

λ1=0 かつ λ2=0となるケースでは、

Vi/YiVi/Ci+1=0,

(i=1,2)となり政府は一括徴税できる。

λ1=0 かつ λ2>0となるケースでは、

V2/Y2V2/C2+1=0,

グループ2への限界税率はゼロとなる。グループ1に関しては、

V1/Y2V1/C1=1λ2(V2/Y1)/N1γ1+λ2(V2/C1)/N1γ

もしδi=Vi/Y1Vi/C1,(i=1,2)であれば、グループ1への限界税率はδ1+1となる。さらには、

δ1=(1νδ21+ν)

であり、ここでν を以下のように定義する。

ν=λ2(V2/C1)N1γ

条件からδ1<δ2であり、1<δ1<δ2となることがわかる。よってグループ1への限界税率は正となる。

λ1>0 and λ2=0のケースではグループ2への限界税率が負となる。一括徴税すると能力的弱者への徴税が強者よりも多くなってしまう。

パレート最適な税制

個人の消費関数をベクトル形式で

C1=jC1jej
C2=jC2jej

と書く。この場合政府の財政に関する不等式は、

Rk=12(YkNk)N1jC1jN2jC2j

となる。

従って最適解の条件は以下のようになり、

μV1C1jλ2V2C1j+λ1V1C1jγN1=0,
μV1Y1λ2V2Y1+λ1V1Y1+γN1=0,
V2C2j+λ2V2C2jλ1V1C2jγN2=0,
V2Y2+λ2V2Y2λ1V1Y2+γN2=0

ここでλ1=0 and λ2>0の場合を考えると、

V2C2jV2C2n=1,V2C2jV2Y2=1

となる。そして、

V1C1j=V2C1j

となるために、以下のような結論を得る。

V1C1jV1C1n=1

すなわちパレート最適な税制を達成するためには、コモディティへの課税が必要であることがわかる[2]

関連項目

脚注

テンプレート:Reflist

  1. A.B. Atkinson and J.E. Stiglitz, Journal of Public Economics, 6 (1976) 55-75
  2. 2.0 2.1 J.E. Stiglitz, Journal of Public Economics, 17 (1982) 213-124, North-Holland