カゾラーティ・ワイエルシュトラスの定理

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テンプレート:出典の明記 カゾラーティ・ワイエルシュトラスの定理テンプレート:Lang-en-short)は、解析関数の孤立した真性特異点の近傍の像が稠密であることを主張する定理である。具体的には、𝕌δ:={z:0<|zz0|<δ} において f(z)正則であって (zz0)nf(z) が有界となる自然数 n が存在しないとき(すなわち z0f の真性特異点であるとき)に

ε>0,v,z𝕌δ,|f(z)v|<ε

であることを主張する。定理の名称はテンプレート:仮リンクカール・ワイエルシュトラスにちなむ。

具体例

真性特異点を持つ関数の例として

f(z)=e1/z

を挙げる。任意の v{0} について

z=1logv+2πin,n12πδ+1

とすれば、|z|<δf(z)=v となることが確かめられる。カゾラーティの定理は、真性特異点を持つ他の関数も同様に振る舞うことを主張する。但し、カゾラーティの定理は全ての値について「それに限りなく近い値」を取るとしか主張していない。ピカールの定理は、「それに限りなく近い値」しか取らないという値が高々唯一の例外であることを主張する。

証明

背理法を用いる。

ϵ>0,v,z𝕌δ,|f(z)v|ϵ

であると仮定し、

F(z)=1f(z)v

と置けば、

|F(z)|=1|f(z)v|1ϵ(z𝕌δ)

となるので、 F𝕌δ で正則である。一方、 z0f の真性特異点であるから、zz0 の接近経路により limzz0f(z) はいろいろな値を取り得る。しかし、もし、ある zz0 の経路上で limzz0f(z)=v となると仮定すると、 その経路上で ϵ>0,z𝕌δ,|f(z)v|<ϵ が成り立ち、仮定に反する。従って、limzz0|F(z)| の値は接近経路に依存するが、無限大となることはない。このため

limzz0(zz0)F(z)=0

は成立し、リーマンの定理により z0F の除去可能な特異点であることになる。従って、 z𝕌δ,F(z)=G(z) を満たし、 z0 で正則な関数 G が存在する。 Gz0 でテイラー展開可能であり、

f(z)=1G(z)+v(z𝕌δ)

となるが、これは f𝕌δ有理型となることを意味する。すなわち、 z𝕌δ(zz0)nf(z) が有界となる自然数 n が存在することになり、定理の仮定に反する。

出典

  1. John J O'Connor and Edmund F Robertson, "The MacTutor History of Mathematics archive: Felice Casorati"