シュトルツ=チェザロの定理

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シュトルツ=チェザロの定理(シュトルツ=チェザロのていり、テンプレート:Lang-en-short)とは、数学における数列収束性を証明するための定理である。定理の名前はオーストリアの数学者オットー・シュトルツイタリアの数学者エルネスト・チェザロに因む。単にシュトルツの定理といわれることもある。

シュトルツ=チェザロの定理はチェザロ和あるいはチェザロ平均の一般化とみなすことができる。また、ロピタルの定理の数列版と考えることもできる。

定理

{an}n1{bn}n1実数数列とする。bn狭義単調増加(または狭義単調減少)で非有界であり、極限

limnan+1anbn+1bn=

が存在すれば、

limnanbn=

である。

証明

ak+1akbk+1bk=ηkと書く。limnan+1anbn+1bn= が存在すると仮定しているので、任意の ε>0 に対して、ある テンプレート:Mvar が存在して、テンプレート:Math ならば、

|ak+1akbk+1bk|=|ηk|<ε

となる。

さて、任意の テンプレート:Mvar に対し、

akak1=(bkbk1)(+ηk)

である。 ここで nN とすると、anaN は、上式を テンプレート:Mvar について テンプレート:Math から テンプレート:Mvar まで足し合わせることにより、

anaN=(bnbN)+k=N+1n(bkbk1)ηk

と書ける。さらに aN を移項して両辺を bn で割ることによって次式を得る。

anbn=aNbn+(1bNbn)+k=N+1nbkbk1bnηk(2)

数列 (bn) は非有界に狭義単調増加(減少)するので、この右辺の第1項は 0 に収束する。また第2項は に収束する。第3項が0に収束することは以下の関係により示せる。

|k=N+1nbkbk1bnηk|k=N+1nbkbk1bn|ηk|
<1bnk=N+1n(bkbk1)ε<(1bNbn)εε

したがって、(2)式、すなわち数列の比は に収束する。

非可逆性

この定理、すなわち「数列の差分の比の極限が存在する⇒その数列の比の極限が存在する」の逆は真であるとは限らない。例えば、二つの数列、

{an}={10,10,100,100,1000,1000,},
{bn}={10,11,100,101,1000,1001,}

に対して、

limnanbn=1

であるが、

limnanan1bnbn1=0,limnanan1bnbn1=1

となるので、数列

anan1bnbn1

極限値は存在しない。

一般化

二つの数列 an=k=1nrkbn=k=1ndk{rn}{dn} で規定されるとする。ここで、

  • dn=1n は調和数列
  • 各数列の要素が正の有限値、あるいは、各数列は増加的
  • {bn} が単調増加

であるとき、極限、

limnrndn=anan1bnbn1=

が存在すれば、

limnk=1nrkk=1ndk=limnanbn=

である。

関連項目

外部リンク

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