ダランベールの式

ダランベールの式（ダランベールのしき、テンプレート:Lang-en-short）とは、数学の特に偏微分方程式の分野における次の形の一次元波動方程式の一般解を与える式である。

$\{\begin{array}{c}{u}_{tt}-c^2{u}_{xx}=0,\\ u(x,0)=g(x),\\ u_t(x,0)=h(x).\end{array}$

ここで テンプレート:Math, テンプレート:Math である。名称は数学者ジャン・ル・ロン・ダランベールの名にちなむ。

解説

この偏微分方程式の特性曲線は テンプレート:Math である。したがって、変数変換 テンプレート:Math2 によりこの偏微分方程式を書き換えると、テンプレート:Math となる。この一般解は $u(\mu ,\eta )=F(\mu )+G(\eta )$ と表せる。ここで テンプレート:Mvar と テンプレート:Mvar は テンプレート:Math 級関数である。テンプレート:Math 座標に戻すと次のようになる。

$(*)u(x,t)=F(x+ct)+G(x-ct)$

（関数 テンプレート:Mvar と テンプレート:Mvar が テンプレート:Math 級なら、テンプレート:Mvar も テンプレート:Math 級となる。）

この解 テンプレート:Mvar は、一定速度 テンプレート:Mvar によって テンプレート:Mvar 軸に沿って反対方向に進む二つの波と解釈できる。

今、コーシーデータ $u(x,0)=g(x)$、$u_t(x,0)=h(x)$ に対する解を考える。$u(x,0)=g(x)$ より、$F(x)+G(x)=g(x)$ が得られる。$u_t(x,0)=h(x)$ より、$c{F}^{\prime }(x)-c{G}^{\prime }(x)=h(x)$ が得られる。この二つ目の式を積分すると、次が得られる。

$cF(x)-cG(x)=\underset{-\mathrm{\infty }}{\overset{x}{\int }}h(\xi )d\xi +c_1.$

この系を解くことで、次が得られる。

$\begin{array}{cc}F(x)& =\frac{-1}{2c}[-cg(x)-(\underset{-\mathrm{\infty }}{\overset{x}{\int }}h(\xi )d\xi +c_1)],\\ G(x)& =\frac{-1}{2c}[-cg(x)+(\underset{-\mathrm{\infty }}{\overset{x}{\int }}h(\xi )d\xi +c_1)].\end{array}$

ここで上述の式 (∗) より、次のダランベールの式が得られる：

$u(x,t)=\frac{1}{2}[g(x-ct)+g(x+ct)]+\frac{1}{2c}\underset{x-ct}{\overset{x+ct}{\int }}h(\xi )d\xi .$

関連項目

• ダランベール演算子

外部リンク

• 非同次波動方程式の解法の一例（www.exampleproblems.com による）