バッキンガム・ポテンシャル
バッキンガム・ポテンシャル(テンプレート:Lang-en-short)は、直接結合していない2原子間の相互作用におけるパウリの排他原理とファンデルワールスエネルギーを記述するためテンプレート:仮リンクによって提案された数式で、テンプレート:仮リンク テンプレート:Mvar の関数 テンプレート:Math として表される。原子間ポテンシャルの一種。
テンプレート:Mvar, テンプレート:Mvar, テンプレート:Mvar は定数である。右辺の2つの項は、テンプレート:Mvar についての一階導関数の符号が負と正であるため、それぞれ斥力と引力を意味する。
バッキンガムは気体状態のヘリウム、ネオン、アルゴンの状態方程式を理論的に研究する中で、レナード-ジョーンズ・ポテンシャルを単純化してこの式を提案した[1]。
バッキンガムの原論文のほか、ジェンセンの教科書2.2.5節などでも説明されているように[2]、この斥力は閉殻電子が相互に侵入しあうことによって生じる。「したがって、(このポテンシャルの)斥力部として指数関数を選ぶことにはある程度の正当性がある 」とされる。バッキンガム・ポテンシャルは分子動力学シミュレーションで広範に用いられてきた。
指数関数項が テンプレート:Math において一定値に収束する一方で テンプレート:Math の項は発散するため、テンプレート:Mvar が小さくなるとバッキンガム・ポテンシャルは引力的になる。これにより、原子核どうしがあるしきい値を超えて近づくと(物理的にはあり得ないことだが)距離ゼロで強く結合してしまうため、原子間距離が非常に短い構造を扱う場合に問題になることがある[2]。
クーロン–バッキンガム・ポテンシャル

クーロン-バッキンガム・ポテンシャルはバッキンガム・ポテンシャルの拡張でイオン系(セラミック材料など)に用いられる。相互作用の式は以下のようになる。
ここで テンプレート:Mvar, テンプレート:Mvar, テンプレート:Mvar は適当な定数である。追加された項はテンプレート:仮リンクを表す。
上式は次のようにも書くことができる。
ここで テンプレート:Math はエネルギーが最小値を取る距離、テンプレート:Mvar は未確定の無次元パラメータ、テンプレート:Mvar はエネルギー最小値の深さである。