ヒドロニウム

ヒドロニウム（テンプレート:Lang-en-short）とは化学式 H₃O⁺ と表されるカチオンおよびその塩である。H₃O⁺ はオキソニウムイオンの一種であり、オニウムイオンの一種でもある。水やアルコールなどプロトン受容性酸素原子を持つ分子からなる溶液中では酸としてはたらく。溶媒和されたプロトンという見方もでき、実際にはさらに水和された H₉O₄⁺ として水溶液中に存在していると考えられている。

ヒドロニウム塩の例には過塩素酸一水和物 ($\mathrm{H}\mathrm{C}\mathrm{l}\mathrm{O}{\phantom{A}}_4\cdot \mathrm{H}{\phantom{A}}_2\mathrm{O}/\mathrm{H}{\phantom{A}}_3\mathrm{O}{\phantom{A}}^{+}\cdot \mathrm{C}\mathrm{l}\mathrm{O}{\phantom{A}}_4{\phantom{A}}^{-}$) などがある。

ヒドロニウムイオンとアンモニアは等電子的である。

水溶液中におけるヒドロニウムイオン

水溶液中においては、自己解離または溶媒よりも強酸を加えることによって生じる：

$2\mathrm{H}{\phantom{A}}_2\mathrm{O}⟶\mathrm{H}{\phantom{A}}_3\mathrm{O}{\phantom{A}}^{+}+\mathrm{O}\mathrm{H}{\phantom{A}}^{-}$ または $\mathrm{H}\mathrm{A}+\mathrm{H}{\phantom{A}}_2\mathrm{O}⟶\mathrm{A}{\phantom{A}}^{-}+\mathrm{H}{\phantom{A}}_3\mathrm{O}{\phantom{A}}^{+}$

$\mathrm{H}{\phantom{A}}_3\mathrm{O}{\phantom{A}}^{+}$はライオニウムとしてはたらき、リエイトである水酸化物イオン濃度とは25 テンプレート:℃において以下の関係が成り立つ。

$K_{\mathrm{w}}=[{{\mathrm{H}}_{\mathrm{3}}\mathrm{O}}^{+}][{\mathrm{O}\mathrm{H}}^{-}]=10^{-14}\mathrm{m}\mathrm{o}{\mathrm{l}}^{\mathrm{2}}{\mathrm{L}}^{\mathrm{-}\mathrm{2}}$

$K_{\mathrm{w}}$ は水のイオン積または水の自己解離定数と呼ばれる。

水溶液の酸性度を表すpHは $\mathrm{H}{\phantom{A}}_3\mathrm{O}{\phantom{A}}^{+}$ の活量により定義される。

$\mathrm{p}\mathrm{H}=-{\log }_{10}{a}_{{\mathrm{H}}_{\mathrm{3}}{\mathrm{O}}^{\mathrm{+}}}$

希薄水溶液中では近似的に活量は濃度に等しく、計算を簡単にするために通常は下記のように活量の代わりにモル濃度を用いることが多い。

$\mathrm{p}\mathrm{H}=-{\log }_{10}\frac{[{\mathrm{H}}_{\mathrm{3}}{\mathrm{O}}^{\mathrm{+}}]}{\mathrm{m}\mathrm{o}\mathrm{l}{\mathrm{L}}^{\mathrm{-}\mathrm{1}}}$

酸塩基平衡に関する化学反応式においては便宜的に H⁺（水素イオン、プロトン）で表されることが多い。

関連項目

• 酸と塩基
• オキソニウムイオン
• オニウムイオン
• 水酸化物イオン