ブレベトキシン

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ブレベトキシン (brevetoxin, BTX) は神経性貝毒に分類される毒で、有毒渦鞭毛藻カレニア・ブレビスKarenia brevis、旧分類では Gymnodinium breve)が産生する環状ポリエーテル化合物である。神経細胞の電位依存性ナトリウムチャネルに特異的に結合し、活性化を促して正常な神経伝達を阻害する。

構造

ブレベトキシンは多数のエーテル環が trans 縮環した梯子状の構造を持つ。大きな分子であるが重合体ではない。現在までに10の異なるブレベトキシン類が報告されており、これらはグループAとBの二つに大別される(いずれにも属さない誘導体もある)。ブレベトキシンAは最大9員環を含む10個の環を、同じくBは8員環までを含む11個の環を持つ。

ブレベトキシン A ブレベトキシン B
構造
ブレベトキシンA
ブレベトキシンA
ブレベトキシンB
ブレベトキシンB
サブタイプ
  • ブレベトキシン-1 (PbTx-1): R = CHA2C(=CHA2)CHO
  • ブレベトキシン-7 (PbTx-7): R = CCHA2C(=CHA2)CHA2OH
  • ブレベトキシン-10 (PbTx-10): R = CHA2CH(CHA3)CHA2OH
  • ブレベトキシン-2 (PbTx-2): R = CHA2C(=CHA2)CHO
  • ブレベトキシン-3 (PbTx-3): R = CHA2C(=CHA2)CHA2OH
  • ブレベトキシン-8 (PbTx-8): R = CHA2COCHA2Cl
  • ブレベトキシン-9 (PbTx-9): R = CHA2CH(CHA3)CHA2OH

他のブレベトキシン:

ブレベトキシンの構造解明や、その合成は容易な試みではなかった。ブレベトキシンBは中西香爾によって1981年に初めて構造が決定され[1]1995年にはキリアコス・コスタ・ニコラウらによって123の段階を経て全合成された[2][3][4][5][6]。一方、ブレベトキシンAは清水譲とジョン・クラーディによって1986年に構造決定され[7]、1998年に同じくニコラウらが全合成している[8]

ブレベトキシンは複雑な骨格から有機合成化学者のターゲットとなっており、ニコラウらによる全合成の達成以後も、中田忠ら[9]や山本嘉則ら[10]によるブレベトキシンBの全合成や、Crimminsら[11]によるブレベトキシンAの全合成が報告されている[12]

参考文献

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関連項目

外部リンク

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