プロトキン限界

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プロトキン限界: Plotkin bound)とは、バイナリ符号のパラメータ(符号語の数)の限界値の1つ。

定義

2進数の符号 C符号語の長さが n、すなわち 𝔽2n の部分集合であるとする。C における最小ハミング距離d とすると、次が成り立つ。

d=minx,yC,xyd(x,y)

ここで d(x,y)xyハミング距離である。符号語の長さが n で最小ハミング距離が d のときの可能な最大符号語数を A2(n,d) とする。

定理 (プロトキン限界):

d が偶数で 2d>n の場合、

A2(n,d)2d2dn

d が奇数で 2d+1>n の場合、

A2(n,d)2d+12d+1n

d が偶数の場合、

A2(2d,d)4d

d が奇数の場合、

A2(2d+1,d)4d+4

となる。ここで  床関数を意味する。

証明

xyハミング距離d(x,y) とし、C に存在する符号語数を M とする(つまり、MA2(n,d) は等しい)。するとプロトキン限界は、x,yCd(x,y) について2種類の方法で限界を求めることで得られる。

まず x として選択肢が r 個あるなら、y の選択肢は r1 個になる。定義から全ての xy について d(x,y)d であるから、次が成り立つ。

x,yCd(x,y)M(M1)d

また、C の符号語を並べた M×n の行列を A とする(行が符号語に対応)。Ai番目の列にあるゼロの個数を si とする。つまり、i番目の行には Msi 個の1がある。d(x,y)=d(y,x) であるため、x,yCd(x,y) という総和におけるある行の1や0の寄与は常に 2 である。従って、次が成り立つ。

x,yCd(x,y)=i=1n2si(Msi)

M が偶数なら、右辺は si=M/2 のときに最大となり

x,yCd(x,y)12nM2

となる。以上の x,yCd(x,y) の上限と下限を組み合わせると、次式が導かれる。

M(M1)d12nM2

2d>n の場合、この式は次のように変形できる。

M2d2dn

M が偶数の場合なので、次が成り立つ。

M2d2dn

一方、M が奇数なら si=M±12 のときに i=1n2si(Msi) が最大化する。従って、次が成り立つ。

x,yCd(x,y)12n(M21)

以上の x,yCd(x,y) の上限と下限を組み合わせると、次式が導かれる。

M(M1)d12n(M21)

または、2d>n なら

M2d2dn1

となる。Mは整数なので

M2d2dn1=2d2dn12d2dn

となり、限界の証明が完了する。

参考文献

  • Binary codes with specified minimum distance, M. Plotkin, IRE Transactions on Information Theory, 6:445-450, 1960.

関連項目