マーシャル・ラーナー条件

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マーシャル・ラーナー条件(: Marshall-Lerner condition)は、一国の実質為替レートの下落がその国の貿易収支を改善させるかどうかについての条件式を与えるものである。経済学者アルフレッド・マーシャルアバ・ラーナーによって提唱された。

概説

経常収支CAは輸出額EXと輸入額 qEX との差である。qは実質為替レートであり、 EX は外貨で測定された輸入額である。

CA=EXqEX

経常収支と輸入額は共にqと国内の所得レベルYの関数である。海外の所得を一定だと仮定しているのでEXqのみの関数である。ここでは国内の可処分所得は一定という仮定をおいている。経常収支の式の全微分を考えて

dCA=EXqdqq(EXqdq+EXYdY)(dq)EX

を得る。ここで、実質為替レートに対する輸出需要の弾性値と輸入需要の弾性値をそれぞれ

ζqEXEXqζqEXEXq

と定義する。さらに初期状態においては経常収支はプラスマイナスゼロだと仮定する。

EX=qEX

この場合、経常収支の実質為替レートに関する1階の偏微分 CAq がゼロより大きくなる条件は

ζ+ζ>1

であり、これがマーシャル・ラーナー条件である。

参考文献

  • A. Rose, Journal of International Economics, 30, 301, (1991), North-Holland
  • P. Krugman, M. Obstfeld, クルーグマンの国際経済学 理論と政策、金融編、ピアソン、第8版

関連項目