一様有界性原理

提供: testwiki
ナビゲーションに移動 検索に移動

一様有界性原理(いちようゆうかいせいげんり、テンプレート:Lang-en-short)は、数学の関数解析学における重要な定理の一つである。バナッハ空間上の線形作用素の集合が各点ごとに有界であれば、それらは一様に有界であるということを主張する。1927年にステファン・バナッハとフーゴ・シュタインハウスによって公表されたため、バナッハ=シュタインハウスの定理(Banach–Steinhaus theorem)とも呼ばれる[1]。

本定理は、開写像定理、閉グラフ定理と並び、関数解析学における「バナッハ空間の三種の神器」の一つに数えられる[2]。

定理の主張

X をバナッハ空間、Y をノルム線型空間とする。X から Y への有界線形作用素からなる族 ℱ⊂ℒ(X,Y) を考える。

任意の x∈X に対して

supT∈ℱ‖Tx‖Y<∞

が成り立つ(各点有界)ならば、作用素ノルムについて

supT∈ℱ‖T‖ℒ(X,Y)<∞

が成り立つ(一様有界)[3]。

証明の概略

この定理の証明には、完備距離空間に関するベールのカテゴリー定理が本質的に用いられる[4]。

  1. 任意の正の整数 n に対して、集合 Xn={x∈X∣∀T∈ℱ,‖Tx‖≤n} を定義する。
  2. 各 T の連続性により、Xn は閉集合である。
  3. 各点有界性の仮定により、すべての x∈X はいずれかの Xn に属するため、X=⋃n=1∞Xn となる。
  4. X はバナッハ空間であり完備であるから、ベールのカテゴリー定理により、少なくとも一つの Xn0 は内点を持つ。
  5. 内点の存在により、ある球体 B(x0,r)⊂Xn0 上で作用素の族が一様に有界となる。
  6. 線形性と三角不等式を用いることで、単位球上の有界性、すなわち作用素ノルムの一様有界性が導かれる。

意義と応用

一様有界性原理は、局所的な情報の集積から全体的な有界性を導くことができるため、解析学の広範な分野に応用される。

  • 収束作用素の有界性: 有界線形作用素の列 Tn が各点収束する場合、その極限作用素 T も有界線形作用素となる。
  • フーリエ級数の発散: 連続関数のフーリエ級数が各点で収束しない例の存在証明に用いられる[5]。
  • 数値解析: 近似解法における安定性の解析において基礎的な役割を果たす。

完備性の必要性

本定理において、定義域 X がバナッハ空間(完備)であるという条件は省略できない[3]。X が完備でないノルム空間である場合、各点有界であっても作用素ノルムが無限大に発散する反例が存在する。例えば、有限個の成分を除いて 0 である実数列の空間 c00 に最大値ノルムを導入した空間において、Tnx=nxn と定義される作用素列などが挙げられる。

関連項目

脚注

テンプレート:Reflist

参考文献

テンプレート:Functional Analysis

  1. ↑ Banach, S.; Steinhaus, H. (1927), "Sur le principe de la condensation de singularités", Fundamenta Mathematicae, 9: 50–57.
  2. ↑ 黒田成俊『関数解析』共立出版、1980年、163-165頁。ISBN 978-4-320-01106-9。
  3. ↑ 3.0 3.1 Rudin, Walter (1991). Functional Analysis (2nd ed.). McGraw-Hill. pp. 42–43. ISBN 0-07-054236-8.
  4. ↑ 藤田宏, 伊藤清三, 黒田成俊『関数解析』岩波書店、1991年、88-91頁。テンプレート:ISBN。
  5. ↑ Katznelson, Yitzhak (2004). An Introduction to Harmonic Analysis (3rd ed.). Cambridge University Press. pp. 13–16. ISBN 0-521-54359-2.