三塩化ヒ素

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テンプレート:Chembox 三塩化ヒ素(Arsenic trichloride)は、AsCl3という化学式を持つ無機化合物である。毒性を持つ油状の物質で無色であるが、不純物を含むものは黄色を呈する。有機ヒ素化合物を製造する際の中間体となる[1]

構造

三塩化ヒ素は、C3v対称性を持つピラミッド状の分子である。As-Cl結合は2.161Åの長さで、Cl-As-Clの角は98°25'±30である[2][3]。三塩化ヒ素は、ν1(A1) 416、ν2(A1) 192、ν3 393、ν4(E) 152 cm-1の4つの通常振動モードを持つ[4]。三塩化ヒ素はほぼ共有結合であり、そのため融点は低い。

合成

三塩化ヒ素は、三酸化二ヒ素塩化水素で処理し、その後蒸留することによって製造される。

AsA2OA3 +6HCl2AsClA3 +3HA2O

また、ヒ素を80〜85℃で塩素化することによっても得られるが、この方法には、ヒ素元素が必要である[1]

2As +3ClA22AsClA3

酸化ヒ素と一塩化硫黄の反応によっても得られる。この方法は単純な器具しか必要とせず、また効率よく進む[5]

2AsA2OA3 +6SA2ClA24AsClA3 +3SOA2 +9S

反応

による加水分解で、亜ヒ酸塩酸になる。

AsClA3 +3HA2OAs(OH)A3 +3HCl

三塩化ヒ素は三塩化リンよりも感湿性が弱いが、それでも湿気を含んだ空気中では気化する[6]

三酸化二ヒ素で処理することで、無機ポリマーのAsOClを形成する。塩素源の下では、三塩化ヒ素は [AsCl4]-を含む塩を形成する。臭化カリウムヨウ化カリウムと反応させると、それぞれ三臭化ヒ素三ヨウ化ヒ素が得られる。有機ヒ素化合物の合成に有益で、三塩化ヒ素からトリフェニルアルシンが合成される[7]

AsClA3 +6Na +3CA6HA5Cl As(CA6HA5)A3 +6NaCl

安全性

ヒ素化合物は非常に毒性が高いが、三塩化ヒ素はその揮発性や溶解性のために、特に毒性が高い。

出典

テンプレート:Reflist

テンプレート:ヒ素の化合物

  1. 1.0 1.1 Sabina C. Grund, Kunibert Hanusch, Hans Uwe Wolf "Arsenic and Arsenic Compounds" in Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, VCH-Wiley, 2008, Weinheim.テンプレート:DOI
  2. P. Kisliuk; C. H. Townes. "The Microwave Spectra and Molecular Structure of Phosphorus and Arsenic Trichloride". J. Chem. Physics 1950, 18.
  3. Jean Galy; Renee Enjalbertl Pierre Lecante; Andrzej Burian "AsCl3: From the crystalline to the liquid state. XRD (176< T (K) < 250) and WAXS (295K) studies" Inorg. Chem 2002, volume 41, pp. 693-698.テンプレート:DOI
  4. Klapoetke, Thomas M. "The vibrational spectrum of arsenic trichloride" Main Group Metal Chemistry 1997, volume 20, pp. 81-83.
  5. R. C. Smith, "Manufacture of Arsenic trichloride" The Journal of Industrial and Engineering Chemistry 1919, volume 11, pp. 109-110. テンプレート:DOI
  6. Holleman, A. F.; Wiberg, E. Inorganic Chemistry Academic Press: San Diego, 2001. ISBN 0-12-352651-5.
  7. テンプレート:OrgSynth. Describes the preparation of As(C6H5)3.