乗数・加速度モデル

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乗数・加速度モデル(じょうすうかそくどモデル、テンプレート:Lang-en-short)とは、景気循環を説明するモデルである。ハンセン=サミュエルソンの乗数・加速度モデルとも呼ばれる。ポール・サミュエルソンテンプレート:Harvtxt)が発表し、J. R. ヒックステンプレート:Harvtxt)が発展させた。発展させたものはサミュエルソン=ヒックスの乗数・加速度モデルと呼ばれる。

概要

乗数・加速度モデルは乗数原理と加速度原理を合わせ、景気循環を説明しようというものである。以下はサミュエルソンによる乗数・加速度モデルであるテンプレート:Sfnテンプレート:Sfnテンプレート:NumBlk テンプレート:NumBlk テンプレート:NumBlk ただし、

  • Y: GDP
  • CCtはt期の消費。Cは基礎消費。
  • IItはt期の投資。Iは独立投資。
  • c: 消費性向
  • t: t期(時間)
  • v: 加速度係数

をそれぞれ指す。

ここで、(1)Yt=Ct+Itはt期の国民所得Ytが消費されるか投資されるかのいずれかであることを示している。(2)Ct=C+cYt1はt期の消費Ctがどのように決定されるかを示している。(3)It=I+v(Yt1Yt2)はt期の投資Itがどのように決定されるかを示している。(3)式は加速度原理を表しているテンプレート:Sfn

(1)、(2)を(3)に代入すると、 テンプレート:NumBlk という2階差分方程式を得る。これを(4)式とする。

AC+I

とおいて、(4)式を整理すると、 テンプレート:NumBlk (4')式の不動点を求めると、 テンプレート:NumBlk これを(5)式とする。

(4')式の特性方程式は、 テンプレート:NumBlk この特性方程式を(6)式とする。(6)式の判別式をDとすると

D=(c+v)24v

よって、(c+v)24vが正のとき実根が存在し、負のとき複素根が存在する。 (6)式の特性根は

λ1,λ2=(c+v)±(c+v)24v2

このモデルで示される経済は、(6)式の特性根が実根の場合、時間とともに単調に発散するか、単調に不動点に収束することになる。このモデルで示される経済は、(6)式の特性根が複素根の場合、変動が存在する。 複素根が存在するとして、これらの複素根を

α+iβ,αiβ

と置く。さらに、特性根の絶対値をρ=α2+β2とすると、

  • tanθ=βα
  • α=ρcosθ
  • β=ρsinθ

となる。これらの式から、

λ1=ρ(cosθ+sinθ)
λ2=ρ(cosθsinθ)

同次部分の一般解を求めると、

a1λ1t+a2λ2t=2kρtcos(tθ+ε)

(6)式の特性根の式から、

α=c+v2
β=4v(c+v)22

なので、

ρ=v

となる。このとき、v<1ならば解の軌道は時間とともに振動しながら不動点に収束し、v>1ならば解の軌道は時間とともに振動しながら発散するテンプレート:Sfn

このサミュエルソンの乗数・加速度モデルの特性方程式が複素根を持つ場合に対して、J. R. ヒックスは床と天井の概念を導入したテンプレート:Sfn

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

関連項目

参照文献