大気拡散

大気拡散 (Atmospheric dispersion) とは、大気中に放出された物質が拡散していくことである。この現象を予測するために様々な数理モデルが考えられており、主に大気汚染予測などの分野で用いられている。

煙突における大気拡散は、正規分布形で表されることが多い。

煙突から横方向にたなびく煙に対して、風下方向をx 軸、水平幅方向をy 軸、鉛直方向をz 軸とし、煙突が建っている地点の地表を原点とする。このとき、煙の濃度C は次式で表される：

$C=\frac{Q}{2\pi {\sigma }_y{\sigma }_{z}U}\exp (-\frac{y^2}{2{\sigma }_y^2})\{\exp (-\frac{(H_{\mathrm{e}}-z{)}^2}{2{\sigma }_z^2})+\exp (-\frac{(H_{\mathrm{e}}+z{)}^2}{2{\sigma }_z^2})\}$

ここで

• σテンプレート:Sub , σテンプレート:Sub ：煙の水平方向および鉛直方向の拡散幅を表す量（標準偏差）
• U ：風速（x 方向に吹くものとする）
• Q ：煙源強度、煙突から単位時間に排出される汚染物質の量
• Hテンプレート:Sub ：煙突の実高さ

拡散幅σテンプレート:Sub 、 σテンプレート:Sub は気象条件によって左右される。

• 風下距離とともに増大する。
• 大気安定度が不安定だと大きく、安定だと小さい。

さらにσテンプレート:Sub については、以下の条件もある：

• 測定時間（捕集時間）が長いほど大きい。
• 風速が遅いほど大きい。
• 地形が複雑だと大きい。都会は農村地帯より大きい。

大気汚染防止法では、拡散幅σテンプレート:Sub 、 σテンプレート:Sub を拡散係数Cテンプレート:Sub 、 Cテンプレート:Sub に置き換えたサットンの式を採用している。