極位相

数学の関数解析学の分野における極位相（きょくいそう、テンプレート:Lang-en-short）あるいは $𝒜$ -収束の位相または $𝒜$ の集合上の一様収束位相とは、双対組のベクトル空間に対して定義されるある局所凸位相のことをいう。

定義

実数あるいは複素数の体上のベクトル空間 $X$ と $Y$ の双対組を $(X, Y, ⟨, ⟩)$ と表す。

集合 $A \subseteq X$ が $X$ において $Y$ に関して有界であるとは、各元 $y \in Y$ に対する値の集合 ${⟨ x, y ⟩; x \in A}$ が有界であることをいう。すなわち、次が成り立つことをいう。

\forall y \in Y \sup_{x \in A} | ⟨ x, y ⟩ | < \infty .

この条件は、 $Y$ 内の集合 $A$ の極

A^{\circ} = {y \in Y : \sup_{x \in A} | ⟨ x, y ⟩ | \leq 1}

が $Y$ 内の併呑集合であることと同値である。すなわち、次と同値である。

⋃_{λ \in 𝔽} λ \cdot A^{\circ} = Y .

今 $𝒜$ は $X$ 内の $Y$ に関する有界集合の族とし、次の性質が成り立つものとする：

\forall x \in X \exists A \in 𝒜 x \in A,

\forall A, B \in 𝒜 \exists C \in 𝒜 A \cup B \subseteq C,

\forall A \in 𝒜 \forall λ \in 𝔽 λ \cdot A \in 𝒜 .

このとき、次のセミノルム

‖ y ‖_{A} = \sup_{x \in A} | ⟨ x, y ⟩ |, A \in 𝒜,

は $Y$ 上のハウスドルフな局所凸位相を定義する。これを、集合族 $𝒜$ によって生成される $Y$ 上の極位相という^[1]。集合

U_{A} = {x \in V : ‖ φ ‖_{A} < 1}, A \in 𝒜,

はこの位相の局所基を形成する。元のネット $y_{i} \in Y$ がこの位相において元 $y \in Y$ に収束するための必要十分条件は、次が成り立つことである。

\forall A \in 𝒜 ‖ y_{i} - y ‖_{A} = \sup_{x \in A} | ⟨ x, y_{i} ⟩ - ⟨ x, y ⟩ | \underset{i \to \infty}{⟶} 0 .

このことにより、極位相はしばしば $𝒜$ の集合上の一様収束位相と呼ばれる。セミノルム $‖ y ‖_{A}$ は極集合 $A^{\circ}$ のゲージである。

$𝒜$ が $X$ 内のすべての $Y$ に関して有界な集合からなる族なら、 $Y$ 上の極位相は強位相と一致する。
$𝒜$ が $X$ 内のすべての有限集合からなる族なら、 $Y$ 上の極位相は弱位相と一致する。
任意の局所凸空間 $X$ の位相は、双対空間 $X^{'}$ 内のすべての同程度連続な集合 $A \subseteq X^{'}$ の族 $𝒜$ によって $X$ 上定義される極位相として表現できる^[2]。

↑ テンプレート:Harvtxt
↑ 言い換えると、 $A \in 𝒜$ であるための必要十分条件は、 $A \subseteq X^{'}$ かつあるゼロの近傍 $U \subseteq X$ が存在して $\sup_{x \in U, f \in A} | f (x) | < \infty$ が成り立つことである。