次数分布

提供: testwiki
ナビゲーションに移動 検索に移動

テンプレート:ネットワーク科学 次数分布(じすうぶんぷ、テンプレート:Lang-en-short)とは、グラフやネットワークの研究において、ネットワーク中のノードが持つ他のノードとの接続数である次数について、それらがネットワーク全体でどのような確率分布に従うかを表したものである。

定義

ネットワーク中のノードの次数(しばしば誤って連結度 (グラフ理論)と呼ばれる)とは、そのノードが他のノードとの間に持つ接続、すなわちテンプレート:仮リンクの数である。ネットワークが有向である場合、すなわち辺が一方のノードからもう一方のノードへ向きを持つ場合、ノードは2種類の異なる次数を持つ。すなわち、入ってくる辺の数である入次数と、出ていく辺の数である出次数である。

ネットワークの次数分布 P(k) は、ネットワーク中で次数 k を持つノードの割合として定義される。したがって、ネットワーク全体に n 個のノードがあり、そのうち nk 個が次数 k を持つとすると、次のようになる。

P(k)=nkn。

同じ情報は、次数が k より小さいノードの割合を表す累積次数分布、あるいは C を累積次数分布とみなした場合にその補集合となる、次数が k 以上のノードの割合を表す相補累積次数分布(1 − C)の形で示されることもある。

観測された次数分布

次数分布は、インターネットや社会的ネットワークといった実在のネットワークと、理論的なネットワークの両方を研究する上で非常に重要である。例えば最も単純なネットワークモデルである(エルデシュ・レーニイモデルの)ランダムグラフでは、n 個の各ノードが確率 p(あるいは 1 − p)で独立に接続される(あるいはされない)ため、次数 k は二項分布に従う。

P(k)=(n−1k)pk(1−p)n−1−k,

(あるいは、平均次数 ⟨k⟩=p(n−1) を一定に保ったまま n を大きくする極限では、ポアソン分布になる。)しかし、現実世界のほとんどのネットワークの次数分布は、これとは大きく異なっている。その多くは強く右に歪んでおり、大多数のノードは低い次数しか持たない一方、「ハブ」と呼ばれるごく少数のノードが高い次数を持つ。インターネット、World Wide Web、および一部の社会的ネットワークなど、いくつかのネットワークは、次数分布がおおよそ冪乗則に従うと主張されてきた。

P(k)∼k−γ

ここで γ は定数である。このようなネットワークはテンプレート:仮リンクと呼ばれ、その構造的・動的な性質から特に注目を集めてきた[1][2][3][4]。

過剰次数分布

過剰次数分布とは、ある辺をたどって到達したノードについて、そのノードに接続している他の辺の本数に関する確率分布である[5]。言い換えれば、ある辺をたどって到達したノードから出ていくリンクの分布である。

あるネットワークが次数分布 P(k) を持つとする。ある1つのノードを(無作為かどうかにかかわらず)選び、その隣接ノードの1つへ移動する(少なくとも1つの隣接ノードを持つと仮定する)とき、そのノードが k 個の隣接ノードを持つ確率は、P(k) では与えられない。これは、不均一なネットワークにおいてあるノードが選ばれた際、そのノードの既存の隣接ノードの1つをたどることで、ハブに到達する確率がより高くなるためである。このようなノードが次数 k を持つ真の確率は q(k) であり、これはそのノードの過剰次数と呼ばれる。ノード間の相関を無視し、すべてのノードがネットワーク中の他のあらゆるノードと同じ確率で接続していると仮定するテンプレート:仮リンクでは、過剰次数分布は次のように求められる[5]。

q(k)=k+1⟨k⟩P(k+1),

ここで ⟨k⟩ はこのモデルの平均次数である。ここから、あるノードの隣接ノードの平均次数は、そのノード自身の平均次数よりも大きいことが導かれる。社会的ネットワークにおいては、これは「自分の友人は、平均して自分よりも多くの友人を持つ」ことを意味する。これはテンプレート:仮リンクとして知られている。平均過剰次数が1より大きい場合、そのネットワークはテンプレート:仮リンクを持ちうることが示せる。

∑kkq(k)>1⇒⟨k2⟩/⟨k⟩−1>1⇒⟨k2⟩−2⟨k⟩>0

なお、これら最後の2つの式はテンプレート:仮リンクについてのみ成り立つものであり、現実世界のネットワークの過剰次数分布を導出するには、次数相関も考慮に入れる必要がある[5]。

母関数法

母関数は、ランダムなネットワークのさまざまな性質を計算するために利用できる。あるネットワークの次数分布と過剰次数分布をそれぞれ P(k) および q(k) とすると、次の2つの形式でべき級数を書くことができる。

G0(x)=∑kP(k)xk および G1(x)=∑kq(k)xk=∑kk⟨k⟩P(k)xk−1

G1(x) は G0(x) の導関数からも得ることができる。

G1(x)=G'0(x)G'0(1)

確率分布 P(k) の母関数が分かっていれば、微分することで P(k) の値を求めることができる。

P(k)=1k!dkGd⁡xk|x=0

モーメントなどの性質は、G0(x) とその導関数から簡単に計算できる。

  • ⟨k⟩=G'0(1)
  • ⟨k2⟩=G′'0(1)+G'0(1)

そして一般には次のようになる[5]。

  • ⟨km⟩=[(x⁡d⁡dx⁡)mG0(x)]x=1

ER グラフのようなポアソン分布に従うランダムネットワークでは G1(x)=G0(x) となり、これがこの種のランダムネットワーク理論が特に単純である理由である。第1近傍および第2近傍に関する確率分布は、それぞれ関数 G0(x) と G0(G1(x)) によって生成される。これを拡張すると、第 m 近傍の分布は次のように生成される。

G0(G1(...G1(x)...))

ここで、関数 G1 はそれ自身に対して m−1 回反復して作用する[6]。

第1近傍の平均数 c1 は ⟨k⟩=dG0(x)dx|x=1 であり、第2近傍の平均数は次のようになる。c2=[ddxG0(G1(x))]x=1=G1′(1)G'0(G1(1))=G1′(1)G'0(1)=G′'0(1)

有向ネットワークにおける次数分布

ウィキペディアのハイパーリンクグラフにおける入次数・出次数分布(対数スケール)

有向ネットワークでは、各ノードはそれぞれそのノードに出入りするリンクの本数である、いくつかの入次数 kin といくつかの出次数 kout を持つ。無作為に選んだノードが入次数 kin と出次数 kout を持つ確率を P(kin,kout) とすると、この同時分布に対応する母関数は、2つの変数 x と y を用いて次のように書くことができる。

𝒢(x,y)=∑kin,koutP(kin,kout)xkinykout.

有向ネットワークにおけるすべてのリンクは、必ずいずれかのノードから出て別のノードへ入るため、あるノードに入ってくるリンクの正味の平均数はゼロになる。したがって、

⟨kin−kout⟩=∑kin,kout(kin−kout)P(kin,kout)=0

となり、これは母関数が次を満たさなければならないことを意味する。

∂𝒢∂x|x,y=1=∂𝒢∂y|x,y=1=c,

ここで c はネットワーク中のノードの平均次数(入次数・出次数の双方について)であり、⟨kin⟩=⟨kout⟩=c である。

関数 𝒢(x,y) を用いることで、これまでと同様に、入次数・出次数分布および入過剰次数・出過剰次数分布に対する母関数を改めて求めることができる。G0in(x) は、無作為に選んだノードに到着するリンクの本数に対する母関数として定義でき、G1in(x) は、無作為に選んだリンクをたどって到達したノードに到着するリンクの本数として定義できる。同様に、そのようなノードから出ていくリンクの本数に対する母関数として G0out(y) と G1out(y) を定義することもできる[6]。

  • G0in(x)=𝒢(x,1)
  • G1in(x)=1c∂𝒢∂x|y=1
  • G0out(y)=𝒢(1,y)
  • G1out(y)=1c∂𝒢∂y|x=1

ここで、第1近傍の平均数 c(先に c1 として導入したもの)は ∂𝒢∂x|x,y=1=∂𝒢∂y|x,y=1 であり、無作為に選んだノードから到達可能な第2近傍の平均数は次で与えられる。c2=G1′(1)G'0(1)=∂2𝒢∂x∂y|x,y=1。これらの式は x と y について明らかに対称であるため、これらは同時に、ある無作為なノードへ到達しうる第1近傍・第2近傍の数でもある[6]。

符号付きネットワークにおける次数分布

符号付きネットワークでは、各ノードはそれぞれ正次数 k+ と負次数 k− を持ち、これらはそのノードに接続する正のリンクの数と負のリンクの数をそれぞれ表す。したがって P(k+) と P(k−) は、符号付きネットワークの正次数分布と負次数分布をそれぞれ表す[7][8]。

関連項目

脚注

テンプレート:Reflist

参考文献