水素爆発
水素爆発
旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所事故や福島第一原子力発電所事故など、核分裂反応を利用する原子力発電所の事故(冷却機能の喪失)により起きる爆発は上記1である[1]。燃料被覆管のジルカロイが高温の水蒸気と反応して水素が発生し、次いで水素が酸素と反応して爆発する。
原子力事故におけるこのような爆発はしばしば2の核爆発と混同されるが、全く別の現象である[2][3]。
この反応は900テンプレート:Nbsp℃で顕著になるが、それ以下でも水が急速に沸騰することで水蒸気爆発が起こる。
これらのほか、廃棄物系バイオマス施設(バイオガス生成設備)において嫌気性生物の産生するガス中に含まれる非意図的な水素 (テンプレート:Chem)[4][5]が大気中の酸素と急速に反応し爆発を生じた事例が報告されている[5]。
従来水素は空気中において4テンプレート:Nbsp%以上75テンプレート:Nbsp%以下であると爆発する[6][7]とされていたが、慶應義塾大学等は水素ガスは10テンプレート:Nbsp%以下であれば爆発することはないことを明らかとした[8][9]。同論文では、水素ガスは生体内において抗酸化作用を示すことから[10][11]、水素ガス吸入機が市場に出ているが、これらの多くは66テンプレート:Nbsp% - 99テンプレート:Nbsp%以上の水素を生成しているため爆発の危険性があると警鐘を鳴らしている。水素ガス吸入機の希釈方法としては、水素の発生源に希釈ガスを送風する方法と、水素を発生させた後に途中で希釈する方法がある。前者の方法は、水素ガス吸入機の内部においても爆発濃度の水素がないため爆発に対する安全性が担保されているが、後者の方法は、水素ガス吸入機の内部で爆発する危険性が依然として残る[12][13]。実際に消費者庁の事故情報データバンクによれば、水素濃度が99.99%や67%の高濃度の水素を生成する水素ガス吸入機の爆発によって顔面内骨折、聴力低下、耳鳴りなどの重大事故事例が複数報告されている[14]。このように、高濃度水素ガス吸入機の水素爆発は、爆発の引き金となる着火源と事故の発生が同時刻に起こる瞬間型の爆発・破裂事故というだけでなく、事故現場と人の距離が接近していることからも、人的被害が生じやすく危険性が極めて高い[15]。
さらに2024年9月30日には、水素と酸素を2:1で混合した高濃度水素ガスを用いて吸入を行っていたところ、パンという音と共に口から大量出血を起こし救命救急センターに搬送された。検査の結果、内臓破裂と気管支の裂傷を起こす重大事故が消費者庁の事故データバンクに報告された[16]。
2024年、高濃度水素ガス吸入機と電磁波を照射する温熱療法機を併用して乳癌の治療を試みた際、患者の胸部内部で水素爆発が発生し、その後、喀血する事態が起きた。CT検査の結果、肺胞中心に肺挫傷が認められ、吸入性燃焼肺障害と診断されて入院に至った[17]。この事故は、高濃度水素ガスを吸入することで、肺内でも水素濃度が爆発限界に達し体内で水素爆発が起きる可能性があることを示唆するものである。
したがって、家庭や医療機関における高濃度水素ガス吸入による人体内水素爆発事故を防止するためには、水素ガスの水素濃度が爆発濃度以下(10%以下)の水素ガスを生成する吸入機を使用する必要がある。
脚注
関連項目
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- ↑ テンプレート:Cite journal 今中はチェルノブイリ原発事故で起きた爆発を即発臨界で大量のエネルギーが放出されたことによる爆発であると解釈し、その現象を「一種の『核爆発』」と表現したが、それも核兵器による核爆発とは異なるものである。
- ↑ 福島第一原子力発電所の事故についての Q and A - 北海道大学大学院工学研究院
- ↑ 水野修, 大原健史, 野池達也、「嫌気性細菌による食品加工廃棄物からの水素生成」『土木学会論文集』 1997年 1997巻 573号 p.111-117, テンプレート:Doi, 土木学会
- ↑ 5.0 5.1 堆洋平, 李玉友、「廃棄物系バイオマスからの非意図的水素生成ポテンシャルとその安全管理」 『廃棄物学会論文誌』 2007年 18巻 5号 p.335-343, テンプレート:Doi, 廃棄物資源循環学会
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