理論 (数理論理学)

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数理論理学において、理論(りろん、テンプレート:Lang-en-short)とは、形式理論とも呼ばれ、形式言語におけるテンプレート:仮リンクの集合である。多くの場合、まず文脈からテンプレート:仮リンクが了解されており、それによって言語と演繹規則とを組み合わせた形式体系が生じる。演繹的に閉じた理論 T の元 ϕ∈T は、その理論の定理と呼ばれる。多くの演繹的体系では通常、理論 T の「公理の集合」と呼ばれる部分集合 Σ⊆T が存在し、この場合その演繹的体系は「公理系」とも呼ばれる。定義により、すべての公理は自動的に定理である。一階の理論とは、公理の集合に体系の推論規則を適用して再帰的に得られる一階の文(定理)の集合である。

一般の理論(形式言語で表現されたもの)

基礎論的な目的のために理論を定義する場合には、通常の集合論的な言葉遣いが適切でないことがあるため、いっそうの注意が必要である。

理論の構成は、言明(statement)と呼ばれる元をもつ、空でない特定の概念クラス ℰ を指定することから始まる。これらの最初の言明は、そこから導出されうる他の言明と区別するために、しばしばその理論の原始的要素あるいは初等的言明と呼ばれる[1]。

理論 𝒯 とは、これらの初等的言明のうちの特定のものからなる概念クラスである。𝒯 に属する初等的言明は 𝒯 の初等的定理と呼ばれ、真であるといわれる。このようにして、理論は真である言明のみを含む ℰ の部分集合を指定する方法とみなすことができる[1]。

このような一般的な理論の指定の仕方は、その初等的言明のいずれについても、その真理性は 𝒯 に言及することなしには知られないと規定する。したがって、同じ初等的言明が、ある理論に関しては真であり、別の理論に関しては偽でありうる。これは日常言語において、「彼は正直な人である」といった言明が、「彼」が誰であるか、そしてこの理論のもとで「正直な人」とは何であるかを解釈することなしには真とも偽とも判断できないのと似ている[1]。

部分理論と拡大

理論 𝒮 が理論 𝒯 の部分集合であるとき、𝒮 は 𝒯 の部分理論であるという。𝒯 が 𝒮 の部分集合であるとき、𝒮 は 𝒯 の拡大あるいは上位理論と呼ばれる。

演繹的理論

𝒯 が帰納的クラスであるとき、すなわちその内容が何らかの形式的演繹体系に基づいており、その初等的言明のいくつかが公理として取られているとき、その理論は演繹的理論であるといわれる。演繹的理論においては、1つ以上の公理の論理的帰結である文もまたその理論の文である[1]。より形式的には、⊢ をタルスキ流の帰結関係とすると、𝒯 が ⊢ について閉じている(したがってその各定理がその公理の論理的帰結である)のは、理論 𝒯 の言語のすべての文 ϕ について、𝒯⊢ϕ ならば ϕ∈𝒯 が成り立つとき、かつそのときに限る。同値なことだが、𝒯′ が 𝒯 の有限部分集合(有限公理化可能な理論の場合には 𝒯 の公理の集合でありうる)であって 𝒯′⊢ϕ ならば ϕ∈𝒯′、したがって ϕ∈𝒯 となるときである。

無矛盾性と完全性

統語論的に無矛盾な理論とは、その基礎となる言語のすべての文が(通常は文脈から明らかな何らかのテンプレート:仮リンクに関して)証明できるわけではないような理論である。爆発律を満たす演繹的体系(一階述語論理など)においては、これは、φ とその否定の両方がその理論から証明できるような文 φ が存在しないことを要求するのと同値である。

充足可能な理論とは、テンプレート:仮リンクをもつ理論である。すなわち、その理論のすべての文を充足する構造 M が存在するということである。充足可能な理論はすべて統語論的に無矛盾である。というのも、その理論を充足する構造は、各文 φ について φ とその否定のうちちょうど一方を充足するからである。

無矛盾な理論は、統語論的に無矛盾な理論として定義されることもあれば、充足可能な理論として定義されることもある。最も重要な場合である一階述語論理については、完全性定理から2つの意味が一致することが従う[2]。二階述語論理のような他の論理では、ω無矛盾性のように、統語論的に無矛盾でありながら充足可能でない理論が存在する。

完全で無矛盾な理論(あるいは単に完全な理論)とは、その言語のすべての文 φ について、φ が 𝒯 から証明可能であるか、𝒯 ∪ {φ} が矛盾しているかのいずれかであるような無矛盾な理論 𝒯 のことである。論理的帰結について閉じた理論については、これはすべての文 φ について φ かその否定のいずれかがその理論に含まれることを意味する[3]。不完全な理論とは、完全でない無矛盾な理論である。

(より強い無矛盾性の概念についてはω無矛盾性も参照。)

理論の解釈

理論の解釈とは、理論の特定の初等的言明と、ある主題に関する特定の言明との間に多対一の対応があるときの、その理論と主題との関係のことである。理論のすべての初等的言明に対応するものがあるとき、それは完全な解釈と呼ばれ、そうでないときは部分的解釈と呼ばれる[4]。

構造に付随する理論

テンプレート:出典の明記

各構造にはいくつかの付随する理論がある。構造 A の完全理論とは、A のシグネチャ上の一階のテンプレート:仮リンクのうち A によって充足されるものすべての集合である。これは Th(A) と表される。より一般に、σ-構造のクラス K の理論とは、K に属するすべての構造によって充足される一階の σ-文すべての集合であり、Th(K) と表される。明らかに Th(A) = Th({A}) である。これらの概念は他の論理に関しても定義できる。

各 σ-構造 A について、A の領域の各元に対して新しい定数記号を1つずつ加えて σ を拡張した、より大きなシグネチャ σ' におけるいくつかの付随する理論がある。(新しい定数記号を、それらが表す A の元と同一視すれば、σ' は σ ∪ A と取ることができる。)したがって σ' の濃度は、σ の濃度と A の濃度のうち大きい方である。

A のダイアグラムは、A によって充足される原子的あるいは否定された原子的な σ'-文のすべてからなり、diagA と表される。A の正のダイアグラムは、A が充足する原子的な σ'-文すべての集合であり、diag+A と表される。A の初等ダイアグラムは、A によって充足されるすべての一階の σ'-文の集合 eldiagA であり、同値なことだが、A をシグネチャ σ' へ自然に拡大したものの完全な(一階の)理論である。

一階の理論

一階の理論 𝒬𝒮 とは、一階の形式言語 𝒬 における文の集合である。

一階の理論における導出

一階述語論理には多くの形式的導出(「証明」)体系がある。それらにはテンプレート:仮リンク、自然演繹、シークエント計算、タブローの方法、導出などがある。

一階の理論における統語論的帰結

論理式 A が一階の理論 𝒬𝒮 の統語論的帰結であるとは、非論理的公理として 𝒬𝒮 の論理式のみを用いる A の導出が存在することをいう。そのような論理式 A は 𝒬𝒮 の定理とも呼ばれる。記法「𝒬𝒮⊢A」は A が 𝒬𝒮 の定理であることを示す。

一階の理論の解釈

一階の理論の解釈は、その理論の論理式に意味論を与える。解釈が論理式を充足するとは、その解釈に従ってその論理式が真であることをいう。一階の理論 𝒬𝒮 のモデルとは、𝒬𝒮 のすべての論理式が充足されるような解釈である。

等号をもつ一階の理論

一階の理論 𝒬𝒮 が等号をもつ一階の理論であるとは、𝒬𝒮 が等号関係記号「=」と、この記号に対する反射律および代入の公理図式を含むことをいう。

一階の理論に関連する話題

理論の指定

テンプレート:出典の明記

理論を指定する直接的な方法は、形式言語において公理の集合を定義することである。すると理論はそれらの公理と、その証明可能な帰結とを含む。この方法で得られる理論には ZFC やペアノ算術がある。

理論を指定する第二の方法は、構造から出発し、その構造によって充足される文の集合を理論とすることである。これは意味論的な経路によって完全な理論を作り出す方法であり、例としては、N を自然数の集合とする構造 (N, +, ×, 0, 1, =) のもとで真である文の集合や、R を実数の集合とする構造 (R, +, ×, 0, 1, =) のもとで真である文の集合がある。前者は真の算術の理論と呼ばれ、いかなる枚挙可能な公理の集合の論理的帰結の集合としても書き表すことができない。(R, +, ×, 0, 1, =) の理論はタルスキによって決定可能であることが示された。それは実閉体の理論である。

関連項目

脚注

テンプレート:Reflist

参考文献

テンプレート:論理的真理 テンプレート:Mathematical logic