硝酸水銀(I)

テンプレート:Chembox 硝酸水銀(I)（しょうさんすいぎん(I)、テンプレート:Lang-en-short）は水銀の硝酸塩で、化学式Hg₂(NO₃)₂で表される無機化合物。

反応

水銀と希硝酸との反応により得られる。この際濃硝酸を使用すると硝酸水銀(II)が生じる。還元性を持ち、空気に触れると酸化する。水溶液にすると酸化を遅らせることができる。

$\text{Hg2(NO3)2}+\mathrm{H}{\phantom{A}}_2\mathrm{O}⟶\text{Hg2(NO3)(OH)}+\mathrm{H}{\phantom{A}}^{+}$

熱湯との接触や光の曝露により不均化反応が起き、硝酸水銀(II)と水銀に分解する。

$2\mathrm{H}\mathrm{g}{\phantom{A}}_2(\mathrm{N}\mathrm{O}{\phantom{A}}_3){\phantom{A}}_2⟶\text{Hg}+\mathrm{H}\mathrm{g}(\mathrm{N}\mathrm{O}{\phantom{A}}_3){\phantom{A}}_2$

安全性

日本の毒物及び劇物取締法では毒物に、消防法では第1類危険物（酸化性固体）に分類される。ラットに経口投与した場合の半数致死量(LD50)は170mg/kg、経皮投与した場合のLD50は2330mg/kgである。眼や皮膚への腐食性がある。摂取した場合は主に腎臓や神経系に影響が及ぶ。

これ自体は不燃性であるが、酸化剤であり周囲での燃焼を助長する。加熱による分解で腐食性・毒性のある煙霧を生じることがある。