空間的自己相関

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空間的自己相関(くうかんてきじこそうかん、テンプレート:Lang-en)とは、空間的な意味での自己相関のことであるテンプレート:Sfn。ある地域における事象が、周辺の他の地域における事象の影響を受けて相互作用が発生する場合、空間的自己相関があるというテンプレート:Sfn

空間的自己相関は、計量地理学において重要な課題の1つであるテンプレート:Sfn

指標

テンプレート:See also 空間的自己相関の指標では、グローバルなテンプレート:Efnものとローカルなものの2種類があるテンプレート:Sfn。グローバルな指標は、分析対象地域全体の一般性の探求のために用いられるテンプレート:Sfn。地理学ではテンプレート:仮リンクテンプレート:仮リンクがよく用いられるテンプレート:Sfn。一方、ローカルな指標は、分析対象地域における局所的なクラスターの抽出などに用いることができるテンプレート:Sfn

モランのI統計量

テンプレート:Main モランのI統計量は、テンプレート:Harvtxtにより提案され、テンプレート:Harvtxtにより改良された統計量であるテンプレート:Sfn。この統計量では、空間的自己共分散を標準化しているテンプレート:Sfn。モランのI統計量は、式(テンプレート:EquationNote)で表されるテンプレート:Sfnテンプレート:NumBlk なお、nは小区域数、xiは区域iの属性値、x¯は平均、wijは重み係数テンプレート:Efnであり、W=i=1nj=1nwijとするテンプレート:Sfn

モランのI統計量を用いることで、ある属性の凝集の程度を知ることができるテンプレート:Sfn。ここでI>0のとき、Iがより大きくなるほど、隣接する小区域と属性が似通うことになるため、面フィーチャ分布は凝集型となっていくテンプレート:Sfn。逆に、I<0のときは、Iがより小さくなるほど、隣接する小区域と属性が相異なることになるため、面フィーチャ分布は均等型となっていくテンプレート:SfnI0のときは、それぞれの小区域の属性は他の小区域とは関係がなく、面フィーチャ分布は完全ランダム型となっていくテンプレート:Sfn

ゲイリーのC統計量

テンプレート:Main ゲイリーのC統計量は、テンプレート:Harvtxtにより提唱された統計量であるテンプレート:Sfn。式(テンプレート:EquationNote)で表されるテンプレート:Sfnテンプレート:NumBlk

ここでc<1のときはxiは正の空間的自己相関をもち、c=1のときはxiはランダムに分布し、c>1のときはxiは負の空間的自己相関をもつテンプレート:Sfn

ローカルな空間的自己相関測度

テンプレート:Harvtxtにより提唱された測度であり、式(テンプレート:EquationNote)・式(テンプレート:EquationNote)で表されるテンプレート:SfnGiは、xjxiが含まれない場合であるが、Gi*では、xjxiも含まれるテンプレート:Sfnテンプレート:NumBlk テンプレート:NumBlk ここでwijは区域iと区域jの区域間結合の強さを意味し、距離逓減関数で求められることが多いテンプレート:Sfn

ローカル・モラン統計量

ローカル・モラン統計量は、近接する地区i、地区jにおける属性値xixjを利用してxの空間的自己相関を評価するための指標であるテンプレート:Sfnテンプレート:Harvtxtにより提唱された統計量であり、モランのI統計量のローカル統計量バージョンにあたるテンプレート:Sfn。ローカル・モラン統計量Iiは、式(テンプレート:EquationNote)で表されるテンプレート:Sfnテンプレート:NumBlk

ローカル・モラン統計量は、地理的事象の詳細な分布を厳密に捉える手段として利用することができるテンプレート:Sfn

このほか、ローカル・モラン統計量を拡張させたものとして、2変量ローカル・モラン統計量がある。これは、2変量xyについて、xiyjの空間的自己相関を評価するための指標となり、式(テンプレート:EquationNote)で求められるテンプレート:Sfnテンプレート:NumBlk ただし、zxizyjxiyjを標準化させた後の値、wijは2区域ijの地域間結合の強さを示す値であるテンプレート:Sfn

ローカル・ゲーリー統計量

ローカル・ゲーリー統計量は、テンプレート:Harvtxtにより提唱された統計量であり、ゲーリーのC統計量のローカル統計量バージョンにあたるテンプレート:Sfn。ローカル・ゲーリー統計量ciは、式(テンプレート:EquationNote)で表されるテンプレート:Sfnテンプレート:NumBlk

検定

空間的自己相関の有無の判定においては、仮説検定を行うと良いテンプレート:Sfn。空間的自己相関が存在しないという帰無仮説を立て、帰無仮説を棄却することで空間的自己相関が存在すると判定することになるテンプレート:Sfn

モランのI統計量を用いて空間的自己相関の有無を判定するときの検定統計量は、式(テンプレート:EquationNote)で表されるテンプレート:Sfn。なお、E(I)I期待値Var(I)I分散であるテンプレート:Sfnテンプレート:NumBlk

ゲイリーのC統計量の場合は、検定統計量は式(テンプレート:EquationNote)で表されるテンプレート:Sfnテンプレート:NumBlk

ローカルな空間的自己相関測度で、仮説検定を行うときの標準化変量は、式(テンプレート:EquationNote)・式(テンプレート:EquationNote)で表されるテンプレート:Sfnテンプレート:NumBlk テンプレート:NumBlk

研究史

空間的自己相関は、当初は空間データにおける統計分析を行ううえでの前提条件を満たしているかどうかの確認方法として用いられていたテンプレート:Sfn。空間データについて統計分析を行う場合、距離減衰効果により近隣の個体標本間での相互作用の影響を受ける特徴をもつため、観測地間での独立性の前提が成立しないという問題があり、例えば回帰分析を行うときの残差で、絶対値が大きい値が集中する傾向にあったテンプレート:Sfn。これらは最小二乗推定値に悪影響を及ぼすため、非ランダム性の存在を表す指標を考案することで、空間的自己相関の影響を除去し、悪影響を回避することを試みていたテンプレート:Sfn。当時は空間的自己相関についてネガティブなイメージが強かったといえるテンプレート:Sfn

一方、テンプレート:Harvtxtの刊行後は、空間的自己相関は地理学の研究課題として重視されるようになったテンプレート:Sfn。空間パターンが形成される原因としての空間的自己相関の影響や、空間的自己相関が空間パターンの構造や形成プロセスなどの分析で利用できることが明らかになっていったテンプレート:Sfn。空間パターンの説明変数としての重要性が認識されるようになり、ポジティブなイメージに変化していったテンプレート:Sfn

ここまではグローバルな空間的自己相関の研究が行われていたが、テンプレート:Harvtxt以降、ローカルな空間的自己相関の研究が進行するようになったテンプレート:Sfn

脚注

注釈

テンプレート:Notelist

出典

テンプレート:Reflist

参考文献

テンプレート:統計学